カラーといえばkakimoto arms。その中で際立つ秘策が「ハイライト」【kakimoto arms AZABUDAI HILLS 兒玉朋華さん】#2
新人時代をどう乗り越えてきたのかを伺うこの企画。前編に続いて、kakimoto arms AZABUDAI HILLSのカラーリスト、兒玉朋華さんのインタビューをお届けします。
前編では、インフルエンサーの安保彩世さんへの憧れからカラーリストを目指し、ついにはご本人のカラーリングを受け持つことになったことをご紹介しました。
後編では、カラーリストのカリスマたちが身近にいるメリット、SNSでご自身の個性を発信することで見いだしたことなどを伺います。
お話しを伺ったのは…
kakimoto arms AZABUDAI HILLS
カラーリスト・チーフ
兒玉朋華さん
国際理容美容専門学校を卒業後、kakimoto armsに入社。青山店勤務の後、2023年11月にオープンしたAZABUDAI HILLS店にカラーリスト・チーフとして配属される。今年、入社7年目を迎える。
カリスマの技も接客もお手本にできる恵まれた環境
――スタイリストの勉強はカットだったりパーマだったり、何となく想像がつきますが、カラーリストの場合はどんなことを学ぶんですか?
2年間のカリキュラムの中で、ベースになるテクニックはもちろんですが、論理的な学びも多かったですね。とは言え経験を積まないと分からないことが多いので、毎日毎日モデルさんを呼んで染めていました。想像していた色と違うことがあるので、経験を積んだ方が自分の自信にもつながると思います。
――毎日モデルさんを呼ぶのは大変だったでしょう?
そうですね。何人かモデルさんをお願いしているうちに、口コミで「良かったよ」とか広めてくださったので、そんなに苦労しないで済みました。
――自分が染めたいイメージと、モデルさんのイメージが違う場合はどうしましたか?
カウンセリングのときに自分のやりたいことをモデルさんにプレゼンして(笑)、「似合うと思うのですが、いかがですか?」って、決めていただきました(笑)。
もちろん、お客さまのリクエストに応える練習も必要ですから、自分主体とお客さま主体の両方のカウンセリングをしていました。おかげでカウンセリング力が磨かれたと思います。
――カラーリストになるまで、辛かったことは何ですか?
お客さまとコミュニケーションがうまくとれなくて、「思っていた仕上がりと違う」などのお言葉をいただいたことですね。でも、そうおっしゃってくださるのは、ある意味、信頼されていると思ったので、そのお言葉をしっかり受け止めようと思いました。
――どうやって克服したんですか?
自分の何が足りなかったのか、伝え方が悪かったのか、カラーリストの先輩や同僚、後輩、一緒に組んでいるスタイリストにも、いろいろなスタッフに相談してアドバイスや意見をもらいます。少しでも改善したいので。逃げることはしません。コミュニケーションを取り直せるようにして自分の足りない部分と向き合うようにしました。
どんなことでもポジティブに捉えるようにしています。
――先輩方などスタッフとのコミュニケーションを大切になさっているんですね。
自分の視点に偏っていない意見はとても新鮮です。仕事の話とかデザインの話とか、ディスカッションすることも多いですね。
ものすごいキャリアの先輩と一緒に仕事をしているので、影響はたくさん受けています。素敵な仕上がりのお客さまがいらっしゃったら、担当したスタッフに、何を使ったのか、どうやって染めたのか、詳しく教えてもらっているんですよ。
特に先輩方のお客さまに対する姿勢はすごく参考になります。みなさん「お客さまファースト」で、お客さまのために何ができるかというスタンスがすごく好きなんです。人間性も大好きです。
SNSでスタイルを発信するなかで自分の個性を発見!
――カラーリスト・チーフになるために、ご自身の技術をどうやって磨いてきましたか?
世の中にはきれいなヘアカラーがたくさんあります。私が「きれい」と感じたものは、真似たり、取り入れたりしています。これからも上質なものをたくさん見て、私がきれいだと感じるものをもっともっと洗練させていきたいですね。それから心惹かれるものをどんどん吸収できる柔軟性も磨いていきたいです。
――今までで最大のピンチはありますか?
ピンチというより困ったことはあります。ニューヨーク在住のアジア系の女性で「全体的に金髪にしたい」というご希望だったんです。
その方は黒髪だったので、全頭ブリーチしないと金髪にはなりません。お客さまには「当店ではダメージを考慮して、全頭ブリーチはできません」ってお話をしたのですが、英語だと細かなニュアンスが伝わらなくて。「どうしよう…」と困っていたら、留学経験のある先輩が対応してくださったんです。ハイライトをたくさん入れてダメージを最小限にして、全体を明るくするカキモトが強みとする方法があることをお客さまに説明してくれました。ヨーロッパでは、細かいハイライトをたくさん入れてブロンドっぽく見せるスタイルは結構あるようですね。
――黒髪がブロンドっぽく見えるまでハイライトを入れるのに、どのくらい時間が?
5時間はかかりました(笑)。今でもそのお客さまは東京に出張で来日するたびに寄ってくださって、私が担当しています。先輩の助けがなくても、スムーズにコミュニケーションが取れるようになりました。
――スタイリストを指名してサロンに来店する方は多いと思いますが、カラーリストの指名もあるんですか?
もちろんあります。指名していただくために、SNSで作品やお客さまの写真をアップしています。SNSからのご指名は、私のハイライトを気に入ってくださった方が多いですね。
――感性を磨き続けて、さらに発信し続けることって大切なんですね。
私のヘアカラーを求めてくださるお客さまがいて、人として尊敬できる同僚がいることにやりがいを感じています。ヘアカラーを自由に楽しんでいらっしゃる方が増えてきて、カラーリストになってよかったと思います。
――これからカラーリストとして、どんなお仕事をしていきたいですか?
kakimoto arms AZABUDAI HILLSを、世界中から人が集まる場所にしていきたいです。kakimoto arms AZABUDAI HILLSはヘア以外にヘッドスパ、ネイル、アイブロウ、アイラッシュ、メンズグルーミングもあるトータルビューティサロンなので、たくさんの方にサロンの魅力を感じて、リラックスして、楽しんでいただける場所にしたいですね。
それと同時にスタイリスト、カラーリストという職業のよさをもっとたくさんの方に知ってほしいですね。
――これからカラーリストを目指そうと考えている方にアドバイスをお願いします。
カラーリストは誰かの人生を彩れる素敵な仕事だと思います。私たちにしかできないやり方で、一緒にお客さまに寄り添いましょう。
兒玉さん流! 壁を突き破るための3つのポイント
1.叶えたいことは周りに伝えて応援してもらう
2.困りごとは周りに相談し、積極的にアドバイスや意見をもらう
3.普段からコミュニケーションをとりお互いの理解を深めておく
何ごとにもポジティブに向き合う兒玉さん。何かあればすぐに先輩や同僚に相談するとおっしゃっていましたが、ご自身も同僚や後輩たちから相談されることが多いそう。兒玉さんが前向きな解決策やヒントをたくさん持っていることを、みなさんご存知なんだろうな…と感じました。
撮影/森 浩司
Salon Data