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羽子板市は、浅草寺のご縁日「納めの観音」の門前市って知ってました? 【縁起物・後編】

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美を司る人へ–縁起物から学ぶ、江戸の美意識  師走その2

さて、また昔の話のつづきです。ヘアカットを終えて、きれいにしていただき「ではよいお年を」「こちらこそ」などと、年末のあいさつを交わしながら、サロンの方が「これをどうぞ」と。さしだされたのは、小さな金の小判!

これも、浅草寺の羽子板市の日に出ているお守りと教えてもらって、さらに「縁起物好奇心」に火がついたものです。そうして翌年の羽子板市に出向けば……この光景にちょっとびっくり!

小判

浅草・浅草寺、観音様の師走は、特に羽子板市が立つあたりから、境内のあちこちには、この黄金色した小判の山が出現! 実は、この小判は、年末にしか授与されない、浅草寺の縁起物。

その、めでたさ満載な意匠とか、ご利益の深い意味とかをひっくるめ、新しい年を迎えるにあたり、ぜひいただいておくべき! ……と、強く、おススメしたい御守りなんです。

毎月18日は、観音さまのご縁日。そして、12月18日は「納めの観音」です

浅草寺の18日は、毎月特別。それは、お祀りしている観音様のご縁日だからですが、とにかく正月から師走まで、何かと行事が用意されていて忙しい。

それもいよいよ年の瀬となる12月。その18日は、一年の締めくくりの意味を込め「納めの観音」と、特別に呼ばれております。そして「羽子板市」は、このご縁日の門前市という関係。なんとなく「羽子板市」のほうが有名ですが、主となるのは、あくまで「納めの観音」と呼ばれるご縁日のほうです。

そして、「納めの観音」にお参りしたら、羽子板市の様子とともに、忘れず眺めたいのが先ほどの小判の山。……ではなくて、その「小判」をひとつ授与いただきたい。

これは、「羽子板市」の初日、12月17日から年末にかけて期間限定で授与される浅草寺の縁起物。その名もストレートに「縁起小判」というものです。

小判

切り餅と言われた小判の包みに赤で描かれた大黒様の福福しい笑顔。手に取れば、けっこうずっしりと重く、江戸時代に流通してた小判を正確に再現したか?と、ちょっと大げさな気分になってしまう。

とにかく、カタチも重さも、なんとなく景気良さを醸す小判の御守りですが、授与いただくにはひとつ数百円! あんがい安くてびっくり! なんて言ったら、さらに罰当たりの上塗りでしょうか?

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「縁起小判」のご利益は、新年の「福」と「徳」

「福」に加えて「徳」までも!? リーズナブルな御守りだというのに、ご利益は、ばっちりな感じですね。この御守りはお札などと同様に、家の南向きの高いところに飾って拝むものだそうですが、ほかのものとちょっと違って、1年後に、寺に納めてお焚き上げする必要はないそうです。というより、この「縁起小判」を授与いただいたら、毎年少しずつ貯めてゆくのが正しい作法のようです。

「ひとつから、はじめて、毎年「福」と「徳」重ねていってくださいね。」と授与所の方に教えていただきました。

そう知ると気になってくる、ご利益の「福」と「徳」の意味

この「縁起小判」の作法に照らして、ご利益の「福」と「徳」のことを、よくよく考えてみれば、非常に深い意味を持っているように思いませんか?

「福」だけのご利益ならば、なんとなく大黒様と観音様から与えていただくモノかしら?などと、ちょっと棚ぼた待ちの印象は否めません。つまり、「福」は、運がよければ勝手にやって来てくれそうな印象。

しかし、「徳」は自ら積むものです。「福」のあとに「徳」とつけられるとやや意味合いが変わってくる。

“大黒さまの小判に見守られつつ、毎日、自ら努力せよ”というのが、この御守りの持つ本来の意味=ご利益に思えてきてしまいます。

御守りがあればオッケーの他力本願ではなくて、「私をきっかけとして、努力してね」というもの。ああ、そうなんでしょうねきっと。

ということで、私は、今年で3年目。「縁起小判」は、3つになりました。

小判

私の「福」に「徳」。少しは積むことができたかしら? と、毎年この時期になると「縁起小判」をじっとみつめ、自らを振り返るきっかけにもなっております。そうゆう意味でも、「御守り」の効果が抜群といえるかもしれませんね。

この時期、もうひとつの期間限定!貴重な御守り「有卦干支羽子板」

こちらは、浅草寺ではなく、数年前から東京歳乃市羽子板商組合が出している羽子板型の御守りです。羽子板市が立つ一角にこんな風に売られていて、豪華な押絵細工の羽子板とはまた違った、すっきり粋な佇まいを纏っております。

有卦干支羽子板

「有卦干支羽子板」の「有卦」は、「うけ」と読んで、幸運が続くことなんだそうです。御守りが入った袋の裏に、丁寧に解説されておりました。ひとつ求めますと、小さな冊子もついてきて、そちらには、「押絵羽子板」や「羽子板市」の由来もあります。

有卦干支羽子板

この表紙の絵柄が、その年の干支にちなんだもので、それが毎年変わるのも楽しい。今年は、未(ひつじ)年だったのを受けて三国志の「関羽」の絵。歌舞伎十八番の演目のひとつでもあり、「関羽」は、江戸時代より未年の題材なんだとか。さて、平成28年バージョンは、どんな絵柄になるんでしょう。楽しみです。

ところで、羽子板の形は、逆さにすると、末広がりの縁起の良い形ともいわれ、昔から富士山にも見立てられてきました。この、羽子板の御守りは、その縁起の良い形に、縁起の良い「有卦」の名を付け、幸運を重ねまくった縁起物といえます。

裏側には、干支でカウントした年があしらってあります。

有卦干支羽子板

これと、羽子板市で買った、「突羽根(つくはね)」(詳しくは、師走その1をご覧ください)「縁起小判」と3つそろえて飾れば、そのまま、お正月の室礼にも使えそうです。ということでちょっと予行練習をしてみました。

有卦干支羽子板

ご利益も、突羽根=「厄除け・病除け」、縁起小判=「福と徳」ときて「有卦干支羽子板」=「幸運が続く」…と、何重にも縁起の良いものが重なり、申し分なしです。

さすが、江戸東京の師走を飾る、浅草寺のご縁日の縁起物。やはり、来る年が健やかで幸福に満ちた年になりますよう、万難を排して出かけなきゃと思いませんか?

※「有卦干支羽子板」に描かれた「乙未」(きのとひつじ)は、今年平成27年の干支です。12月17・18・19日の羽子板市に出かけられ、この「有卦干支羽子板」を求めれば(この3日間のみの授与です)、平成28年の干支「丙申」(ひのえさる)と描かれているものが授与されます。

文・写真

タオミチル

旧暦ライフスタイル研究ライター、ブックレビュアー。ブログ「ミチル日々」http://michiruhibi.com/にて、年中行事、縁起物などを含む、旧暦ライフスタイルを発信中。

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