指名率アップにつながる敬語のツボ!第2弾 接客で求められる【言葉づかい&話し方セミナー #6】

正しいと思って使っているはずの敬語が、実は相手には失礼にあたっていた……というケースもあります。聞き流してくれることもありますが、場合によっては、お客様を失うことにもつながりかねません。今回は、よく耳にする「間違った敬語の使い方」を解説します。

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間違った敬語づかい、あるある!

×「記入してもらってよろしいですか?」

初めてのお客様に、お客様(顧客)カードに住所や電話番号などを書いていただくとき、「記入してもらって」は間違い。その後の「よろしいですか?」で表したつもりの敬意が台無しです。正しくは「ご記入いただいて」、です。

なお、「〜よろしいですか?」は、するかしないか相手の判断を聞くことになるので、「どっちにすればいいんだろう」とお客様を戸惑わせてしまうことも。

あまりていねいにしすぎず、「ご記入くださいませ」「ご記入願います」のほうがいいかもしれません。

そっけない感じがするなら、その前に「恐れ入りますが」をつけるか、「もし差し支えなければ、ご記入いただけますか?」でもいいもしれません。

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「ご記入くださいませ」「ご記入願います」
「恐れ入りますが、ご記入くださいませ」
「もし差し支えなければ、ご記入いただけますか?」

言葉づかい&話し方セミナー

×「◯◯様が申されたことは〜」

お客様と会話をするなかで、お客様の考えや意見に共感できると気持ちが通い合ったように感じて、より話が弾みますね。
そんなとき、「◯◯様が申されたことは〜」と言っていませんか?

「申す」に尊敬表現の「される」をつけたからOK、と思いがちですが、「申す」は「言う」の謙譲語。自分が「言う」ことを「申す」ならいいのですが、お客様や目上の人に対してはNGです。

正しくは「◯◯様がおっしゃったことは〜」です。

なお、「◯◯様がおっしゃられる通り」もよく耳にしますが、これは二重敬語となるのでNG。「おっしゃる」は尊敬語なので、尊敬表現の「られる」をつける必要はありません。

GOOD↓

「◯◯様がおっしゃったことは〜」
「◯◯様がおっしゃる通り」

×「大変参考になりました」「参考にさせていただきます」

お客様の話に感銘を受けたり、お客様の話によって新しい情報や知識を得られたときは、接客業の楽しさを実感するのではないでしょうか。

その場合、たしかにお客様の話は自分にとって「参考になる」ものだったのだと思いますが、お客様や目上の人に対して「参考になりました」「参考にさせていただきます」と言うと、失礼にあたります。

「参考」とは、考えをまとめたり、物事を決める際に、手がかりや助けとすること。または、その材料にすること(『大辞林 第三版』)。
したがって、お客様や目上の人に対して「参考になりました」と言うと、「あなたの話を、私の考えをまとめるための材料にします」という意味になり、失礼にあたるというわけです。

なお、「ご参考までに」という言葉を耳にしませんか?

これは「私の話(意見)を、あなたの判断の材料にしてください」ということで、お客様や目上の人に対して自分が「ご参考までに」と言うのならOKです。

GOOD↓

「大変勉強になりました」
「よいお話をありがとうございました」

×「結構ですか?」

「結構」は、ていねい語としてとても便利な言葉です。

何かを勧められたときに「はい、いただきます」の意味で「結構です」と言ったり、逆にいらない場合は「結構です」と言ったり。つまり、肯定と否定のどちらもていねいに表現できるのです。

ただし、使い方には注意が必要です。

自分が使うのは構わないのですが、お客様や目上の人だけでなく自分以外の人に「結構ですか?」という表現を使うのは誤り。正しくは「よろしいですか?」です。

GOOD↓

「よろしいでしょうか?」

×「ご紹介してください」

お客様から「友人が、こちらにうかがいたいと言っている」という話を聞いた、あるいはお客様の話を聞いていて、ぜひその人に会いたい、ぜひその店に行きたいと思ったとき、こんなふうに言っていませんか?

何となくていねいで、お客様に敬意を表しているように聞こえるかもしれませんが、「してください」の「して」が敬語表現になっていないのでNG。

かといって「して」を敬語表現にする必要はなく、単純に「して」を取るのが正解です。

GOOD↓

「ご紹介ください」

これだけは押さえておきたい!|大人の表現

友達や家族との間でなら問題なくても、公の場で使うのはNG。お客様が聞くと幼稚な感じがしてしまう言葉がこんなにたくさん。要注意です!

  • わたし、ぼく、自分 → わたくし
  • わたしたち → わたくしども
  • 誰 → どなた、どちらさま
  • どこ → どちら
  • こっち → こちら
  • あっち → あちら
  • さっき → さきほど
  • あとで → のちほど
  • 今日(きょう) → 本日
  • 明日(あす、あした) → 明日(みょうにち)
  • 昨日(きのう) → 昨日(さくじつ)
  • この前、この間 → 先日(せんじつ)、先だって、過日(かじつ)
  • どうですか? → いかがですか? いかがでしょうか?
  • いいですか? → よろしいでしょうか?
  • もらいます → 頂戴いたします
  • 来てもらって → お越しいただきまして
  • 行きます → 参ります、うかがいます
  • 会います → お目にかかります

いかがですか? 意識せず使っていた言葉もあるのではないでしょうか。
いきなり完ぺきな敬語を話すのはむずかしくても、これらの言葉の言い換えなら、すぐに実践できそうですね。

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言葉づかい&話し方 お悩み相談

クレーム対応で気をつけるべきことは?

言葉づかい&話し方セミナー

Q 先日、電話を取ったとたん、電話口でいきなり怒られました。「カットしてもらってから、髪が全然まとまらなくなった。これでは外に出かけられない!」とお客様はカンカン。よくよく話を聞くとこちらに非があるわけでもなさそうなのですが、あまりの剣幕におどろいて何も言えませんでした。何かお詫びを言ったほうがいいのかな…と思ったのですが、そのお客様は話し終わると「また電話するから!」と言って電話を切ってしまいました。次に電話がかかってきたとき、どのように対応すればいいのでしょうか。

A グッとこらえて、まずは同調、それからお詫びを

顔が見えない相手に、いきなりものすごい勢いで怒られたら、びっくりして何も言えないですよね。こちらにも言い分がある場合、時間が過ぎるにつれてだんだん腹が立ってくる……かもしれません。

一方的に感情をぶつけられると、自分もつい感情的になりがちですが、そうすると火に油を注ぐことになりかねません。感情的な相手にこそ冷静に対応する、というのがクレーム対応の際の鉄則です。

次に電話がかかってきたときは、深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせましょう。

そして、まずはお客様のクレームを受け止めます。
「それは大変な思いをされて…」
「ご不自由な思いをされているのですね」
という具合に。

次に、お詫びの言葉を続けます。
「このたびは大変ご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ございません」
その上で、相手の話をていねいに聞きます。その間、口をはさまないこと。
一方的なクレームの場合、こうして先方の話をすべて聞いているうち、相手の怒りは少しずつやわらいでくるでしょう。

その上で、もう一度来店してもらうなど対応策を提示すれば、たいていの人は納得してくれるはずです。

そして電話を切るときには、「このたびは、わたくしどもに勉強の機会を与えてくださいまして、まことにありがとうございました。またのご来店を心よりお待ち申し上げております」と、感謝の言葉を忘れずに。

一方的に怒られたのに、感謝するの? と思うかもしれませんが、クレームの電話はお客様の本音を聞くことができるチャンスと、とらえることもできます。

実際、「クレーム対応がよかったので、そのお店が好きになった」と、のちに熱心なファンになってくれた、という話もあります。

逆に、お客様からのクレームに対して「やってはいけないこと」は下記のとおりです。

  • 「そんなはずはありません」「本当ですか?」など、相手を責めたり疑ったり、否定するような言い方をする
  • 相手の話をさえぎる、口をはさむ
  • 「でも」「だって」「ですが」など、逆接の接続詞を使う

接客業においては、お客様からのクレームは「あって当たり前」。でも、応対の方法を間違えると店(会社)の信用を失いかねません。
クレーム内容を想定し、それにどう対応するのかマニュアルを作っておく、クレーム応対の際の必須ワード、NGワードを書いて電話の横に貼っておく、などの対策を講じておきましょう。

参考文献

「そのまま使える 敬語ハンドブック」鹿島しのぶ編著/知的生き方文庫(三笠書房)
「こんなとき、この言い方 人に好かれる言葉ハンドブック」今井登茂子/大和出版
「スラスラ話せる 敬語入門」渡辺由佳/かんき出版

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