どうやって物件を決めたの? 気になる独立のあれこれ #2

東京の清澄白河に美容室を開業して2年経つShort CUT hair & makeの一原充志さんに気になる独立のあれこれをインタビュー。前半では、独立準備までの流れをご紹介。後半では、独立に向けた最終準備、開業してみて分かった独立する上での心得などを伺いました。

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物件選びはスピード感が大事

――立地や物件が売り上げを左右すると言われていますが、物件はどうやって選びましたか?
「“30代~40代の主婦層が住んでいて、世帯的にも余裕のある人が多く住んでいそうな町”と設定し、気になるエリアをいくつか散策。当時、美容院が少なく、ギャラリーやカフェが増える時期でこれから注目を集めるエリアだと思い、清澄白河で探そうと決めたその日に不動産屋さんへ。ここを紹介されて、速攻契約。実はこの物件、何年か前に通った時にはギャラリーをやっていて、“いつかここで美容室ができたら最高だな”と思っていた物件なんです。ここだ! と思ったらすぐに契約をするスピード感が重要です」

――物件は運命的な出会いだったのですね。いよいよ開業準備の最終段階。お店の名前はどのようにして決めたのでしょうか?
「だいたいのお店が、好きな日本語を英語やスペイン語などに変換してみると思うのですが、インターネットで検索をかけるとこれが絶対出てくるんです。その次に、“造語にしよう”と思って作ってみるとだいたい次の日に忘れちゃうことが多くて。これだとお客様が覚えるはずがないと思い、店名を聞いただけで“人に伝えて覚えやすい”、“記憶に残りやすい”、“何かを連想しやすい”という3つのポイントにして考え、今の店名である“ショートカット”に至りました。実際にキャッチコピーの勉強をしてみるのも一つの手だと思います」

店内

地域に寄り添う姿勢が独立後を左右する

――開業後、お客様が来るか不安じゃなかったですか? 集客はどのようにしたのでしょうか。
「集客は一切していないんです。インターネットの広告等も出していません。物件の立地や雰囲気もあるかと思いますが、戦略を立てたのがうまくいったのかなと思います。そのうちの一つが、妻と2人で営業をするので、席を3席にして、常に店員2人とお客様2人の計4人がいるっていう状況にしたこと。外からお店をのぞいた人に“この店流行っているね! 今度行ってみようかな!”と思わせるような空間をつくったことが最大の広告だと思っています」

――戦略を立てることが重要なのですね。開業前と開業後の理想と現実のギャップはありましたか?
「特に理想と違ったと思うことはありません。開業して2年経ちますが、今でも理想とするお店ができていないと思った瞬間に、軌道修正をしています。個人店だからこそできる強みだとは思います。
しいて言うならば、カットの値段を下げなくてもよかったのかなと……。2年前にオープンをしたときに、エリア内で1番高いカット価格設定をしようと思いましたが、地域密着を前提にしていたので価格を下げました。今になってみると、労力に対しての対価が少々きついです」

――開業をしてみて分かった独立する上での心得があれば教えて下さい。
「前に勤めていたときのサロンのお客様を当てにしないということ。来てくださるかは分からないので、新天地でどれだけ集客が見込めるかのお店づくりを考えたほうが良いと思います。もっとも大事なのが、どんな地でオープンさせようとも、地域に寄り添うということ。技術以外の良し悪しの噂はすぐに広まって、独立後の売り上げを左右させてしまうと思います。開業前と後の挨拶、サロンに必要な備品とかは近隣のお店で買うなどしてお付き合いしていくことをおすすめします」

店内

一原さんは独立に向けて、経営学や自己啓発本を読み漁ったり、異業種交流会に参加したりなど、日頃から勉強して臨んだそう。日々の積み重ねが開業した今も、安定した経営ができている秘訣ですね。

取材・文/梅澤暁(レ・キャトル)
撮影/松木雄一

Salon Data

Short CUT hair & make

Short CUT hair & make

東京都江東区三好1-8-7 トレスビル1F
http://www.shortcut.tokyo/

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