エメリーボードとは?ネイルファイルの基本|種類・選び方・正しい使い方を解説

爪の形や長さを整え、美しい指先に仕上げるために欠かせない「エメリーボード」。今回は、ネイルケアの基本となるこの道具について、改めてご紹介します。

この記事では、ファイルの種類や粗さ(グリッド)の選び方から、二枚爪などのトラブルを防ぐ削り方のコツまで、基本から丁寧にご説明します。正しい知識は、日々のセルフケアの質を高めることはもちろん、サロンワークでの技術向上にもつながりますので、理想の指先作りにぜひお役立てください。

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エメリーボードはネイルファイル(爪やすり)の一種

エメリーボードとは、主に自爪(地爪)の長さや形を繊細に整えるために使われる、薄い板状の爪やすりのことです。木やプラスチックの芯材にやすりが貼り付けてあり、適度なしなりと細かい目のやすりが特徴で、爪への負担を抑えながら優しく削ることができます。

このエメリーボードは、「ネイルファイル」と呼ばれる爪やすり全体のカテゴリの中の一種です。ネイルファイルは、爪のケアにおいて以下のような様々な役割を担っています。

▼爪の長さ・形を整える

・爪の長さを調整する
・爪の形(スクエアやラウンドなど)をデザインする

▼爪の表面を整える・磨く

・爪表面の凹凸を滑らかにする
・ジェルネイルの密着を良くするための下準備(サンディング)
・爪の表面を磨いて自然なツヤを出す

▼人工爪(ジェルなど)を削る

・ジェルネイルや人工爪をオフする(削り落とす)

このように多くの役割がある中で、エメリーボードは特に「自爪の長さと形を整える」という工程に特化した、ネイルケアの基本アイテムと言えます。

ネイルファイルにはエメリーボード以外にも様々な種類があり、それぞれの特徴を理解し、用途に応じて正しく使い分けることで、より質の高いネイルケアが実現できます。

ネイルファイルの種類と用途

ネイルファイルは、削る対象(自爪・人工爪)や目的(長さ調整・表面を滑らかにする・ツヤ出し)によって使い分けます。ここでは代表的なネイルファイルの種類と、それぞれの用途を解説します。

①エメリーボード

エメリーボードは、比較的目が細かく、適度なしなりがあるため、力の加減を調整しやすいのが特徴です。主に自爪の長さや形の調整に使われ、繊細な作業に向いています。セルフケアの初心者からプロのネイリストまで、ネイルケアの基本アイテムとして欠かせません。

削る際に往復がけしてしまうと、爪の層が剥がれて二枚爪の原因となります。必ず一定方向に動かして削りましょう。

②アクリルファイル

アクリルファイルは、ゼブラファイルやウォッシャブルファイルとも呼ばれることがあります。エメリーボードよりも目が粗く硬いため、ジェルネイルやスカルプチュアといった人工爪(アクリル)を削るのに適しています。特に、硬いハードジェルをオフする際や、長さ・形を大きく変えたいときに使われます。

クッション性のあるスポンジが挟まれているタイプが多いですが、目が粗いため、力を入れすぎると自爪まで削ってしまう危険性があります。自爪には使用せず、力加減に注意して使いましょう。

③ソフトファイル(スポンジバッファー)

ソフトファイルは、スポンジバッファーやスポンジファイルなどと呼ばれることもあります。クッション性のある柔らかいやすりで、爪の表面の凹凸を滑らかにしたり、他のファイルで削った後のバリ(削り残し)を取ったりするのに使います。

また、ジェルネイルを塗る前の下準備(プレパレーション)で、自爪の表面に細かな傷をつけてジェルの密着を良くするためにも使用されます。

④シャイナー

シャイナーは、爪磨きとよばれることもある、やすりの目が極めて細かいネイルファイルです。爪を削るというよりは、爪の表面を磨き上げて、トップコートを塗ったような自然なツヤを出すために使います。

爪の表面に凹凸がある状態でシャイナーを使ってもきれいなツヤは出ないので、必ずソフトファイルで表面を滑らかに整えたあとに使うことが大切です。

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グリッドとは?数字で見るネイルファイルの粗さ

ネイルファイルの表面には、「180G」や「240G」といった数字が記載されていることがあります。これは「グリッド(G)」という単位で、やすりの目の粗さを示しています。

グリッド数が小さいほど目が粗く、よく削れる グリッド数が大きいほど目が細かく、仕上がりが滑らかになる

用途に応じて適切なグリッド数を選ぶことが、爪への負担を減らし、美しく仕上げるための鍵となります。

粗目(80~150G)はこんなときにおすすめ

80~150グリッドの粗いファイルは、主にジェルネイルやスカルプチュアなどの人工爪をオフする(削り落とす)際に使用します。

非常にパワフルなので、自爪に使うと削れすぎてしまい、爪が薄くなる原因になるため絶対に避けましょう。

中目(180~240G)はこんなときにおすすめ

180~240グリッドの中目のファイルは、自爪の長さや形を整えるのに最も適しています。

特に180グリッドは、プロの現場でもセルフネイルでも最も一般的に使われる粗さです。爪の表面の凹凸を軽く整える際にも使えます。

細目(300G以上)はこんなときにおすすめ

300グリッド以上の細目のファイルは、削る力が穏やかで、爪への負担を最小限に抑えたい場合に使用します。

爪が薄い方や二枚爪になりやすい方、または削った断面を滑らかに整える仕上げに適しています。

1,000グリッドを超えるものはシャイナーとして分類され、爪の表面を磨いてツヤを出す目的で使われます。 

エメリーボードを使う前には「面取り」をしよう

新品のエメリーボードは角や側面(エッジ)が鋭利になっていることがあり、そのまま使うと皮膚を傷つけてしまう危険があります。特にお客様に施術するネイリストは、安全のために必ず使用前に「面取り」という下準備を行います。

このひと手間が、安全で丁寧な施術につながります。

エメリーボードの面取りのやり方

面取りをする箇所は、表と裏の長いエッジの計4カ所が主です。

①削りカスが散らばらないよう、下にキッチンペーパーなどを敷きます。
②使い古しのファイル(または面取りしたいファイル同士)を用意します。
③古いファイルの面で、新品のファイルのエッジを数回、一定方向にこすって角を丸めます。
④4つのエッジすべてに行い、指でそっと触って滑らかになっているか確認すれば完了です。

エメリーボードの正しい使い方を再確認しよう!

エメリーボードは、正しい持ち方と動かし方を意識するだけで、仕上がりの美しさと爪への優しさが格段にアップします。

エメリーボードの持ち方は?

エメリーボードは強く握るのではなく鉛筆を持つように軽くつまむのがポイントです。親指と人差し指でボードの端をつまみ、中指を添えて支えると、余計な力が入らず、細かな動きをコントロールしやすくなります。

爪の削り方

①爪の先端から削る

爪の長さを調整するため、まずは先端から削ります。エメリーボードを爪の先端に対して90度に当て、一定方向に(右から左へ、など自分にとってやりやすい一方向でOK)動かして削ります。

②サイドを削る

次にサイドを削り、形を整えていきます。爪の先端の角からサイドラインにつながるように、エメリーボードを爪に対して45度の角度で当て、中心に向かって一定方向に削ります。

③必ず「一定方向」に動かす

エメリーボードを往復がけ(左右にギコギコ動かす)すると、爪の層に負担がかかり、二枚爪の大きな原因となります。必ず一方向に動かすことを徹底しましょう。

エメリーボード使用時のNG行為

良かれと思ってやっているケアが、実は爪を傷めているかもしれません。以下のようなNG行為は避けましょう。

■往復がけで削る

二枚爪の最大の原因です。必ず一方向に動かしましょう。

■力が強すぎる

爪はとてもデリケートです。優しい力で、少しずつ削るのが鉄則です。

■目が粗すぎるファイルで自爪を削る

150グリッド以下の粗いファイルは自爪には使わないでください。

■爪が濡れた状態で削る

入浴後など、爪が水分を含んで柔らかい状態で削ると、ダメージを受けやすくなります。必ず乾いた状態でケアしましょう。

タイプ別のコツを解説|スクエア・ラウンド・オーバル・ポイント

爪の形によって、指先の印象は大きく変わります。ここでは代表的な4つのスタイルを取り上げ、それぞれ美しく仕上げるコツを見ていきましょう。

スクエア・スクエアオフ

爪の先端が直線的な四角い形が「スクエア」です。まず爪の先端にファイルが直角になるように当ててまっすぐに削り、サイドも先端に対して直角になるように整えます。

スクエアの角に少し丸みをつけた形が「スクエアオフ」です。スクエアを作った後、角の部分だけをファイルの角度を変えながら丸く整えます。

<施術のポイント>

ファイルを爪に当てる角度を常に90度に保ち、手首を固定するのが成功の鍵です。先端の直線を削る際は、ファイルを細かく動かすのではなく、一方向にスーッと長く動かすと線がブレにくくなります。

より精度を高めるには、ファイルを床と平行に保つことを意識し、爪の持ち主の生活スタイル(PC作業が多いなど)に合わせて角の丸みを微調整すると、引っかかりにくく美しい仕上がりになります。

ラウンド

爪の先端がゆるやかなカーブを描く、自然な丸みのある形が「ラウンド」です。サイドはストレート気味に、先端に向かって卵のような丸みをつけることを意識して、少しずつ削り、左右対称になるように整えます。

<施術のポイント>

まず爪の先端の中心を決め、そこに向かって左右から均等に削ることを意識すると、バランスの良いカーブが作れます。指を裏返してみて、指先の肉の形に沿わせるように整えるのが、誰にでも似合う形を作る簡単なコツです。

さらに、爪の成長の癖なども考慮しつつ、10本全ての指のカーブが均一になるよう全体のバランスを見ながら整えるのがプロのテクニックです。

オーバル

ラウンドよりも全体的に卵型で、女性らしい印象を与えるのが「オーバル」です。サイドから先端にかけて、ラウンドよりもシャープな丸みをつけるように削っていきます。

<施術のポイント>

爪の両サイドで一番負荷がかかりやすい部分(ストレスポイント)は、強度を保つために削りすぎないよう特に注意が必要です。爪の根元の形(キューティクルライン)と先端のカーブが平行になる「美しい卵型」を常にイメージしながら、少しずつ形を整えていきましょう。

さらに、爪が元々持っている「Cカーブ(爪の断面のアーチ)」を活かし、平面的にならない立体的なフォルムを意識すると、強度としなやかさを両立した仕上がりになります。

ポイント

オーバルよりもさらに先端をシャープに尖らせた形が「ポイント(アーモンド)」です。爪が長く見え、指先を美しく演出します。サイドから爪の先端の中心に向かって、シャープな三角形になるよう直線的に削っていきます。先端が尖りすぎると衝撃に弱くなるため、最後の微調整は慎重に行いましょう。

<施術のポイント>

失敗を防ぐために、削り始める前に爪の先端の中心にアイライナーなどで軽く印をつけておくのがおすすめです。その印に向かって、左右のサイドから直線を引くイメージで削ると、中心がズレにくく綺麗な形に仕上がります。

より上級者を目指すなら、指の向きや骨格のバランスを見極め、最も指が長く美しく見える先端の位置を決めてから削り始めましょう。

仕上がったら横からチェックするのを忘れずに!

作業が終わったら、仕上がりの確認は必須です。その際、上や前からだけではなく、横からもチェックするようにしましょう。横から見ることで、先端の厚みやカーブの均一性が確認でき、上から見ただけではわからなかった形の微妙な違いに気づくことがあります。

<施術のポイント>

削っている途中でも、時々手を遠くに離して客観的に全体のバランスを見る癖をつけましょう。近くで見ているだけでは気づきにくい、左右の歪みや形のアンバランスを発見しやすくなり、削りすぎなどの失敗を防げます。

プロの現場では、横から見た際の「ハイポイント(爪の一番高い位置)」のフォルムまで意識することで、より完成度の高いネイルを提供しています。

【プロ向け】仕事の質を上げるネイルファイルの選び方

プロのネイリストは、施術の効率、仕上がりの美しさ、そして自身の体への負担まで考慮してネイルファイルを選んでいます。ここでは、ワンランク上のネイリストを目指すための選び方のポイントをご紹介します。

1. 疲れにくさと操作性で選ぶ

長時間のサロンワークでは、ファイルの重さや握りやすさがパフォーマンスに直結します。軽量であることはもちろん、自分の手の大きさや指の長さに合った、グリップの形状やファイルの”しなり”を重視しましょう。適度なしなりのあるファイルは、余計な力を入れずに爪のカーブにフィットさせやすく、手首や指への負担を軽減します。

2. 耐久性と品質の安定性で選ぶ

お客様に使用するため、研磨剤が剥がれにくく、削り味が長持ちする耐久性は非常に重要です。品質が安定しているメーカー品は、グリッド数の表記と実際の粗さにブレが少なく、常に一定の仕上がりを提供できます。

初期費用は多少高くても、結果的にコストパフォーマンスに優れるケースも少なくありません。

3. 用途に応じた最適なグリッド数を揃える

施術の目的ごとに最適なファイルを使い分けるのはプロとして基本です。

自爪を整える180G、ジェルのサンディングや表面を整える180~240G、ジェルオフに使う100~150Gなど、用途に合わせたグリッド数を複数揃えておきましょう。両面でグリッド数が異なるタイプのファイルも、持ち替える手間が省けサロンワークの効率化につながります。

このような道具へのこだわりも、お客様の満足度を高めるプロの仕事には欠かせません。

より詳しいネイリストの仕事内容については、こちらの記事も参考にしてみてください。

▼あわせて読みたい
ネイリストの仕事内容とは?1日の流れややりがい・なる方法を解説

エメリーボードを使いこなせるネイリストになろう

エメリーボードは、ネイルケアの基本であり、仕上がりの美しさを左右する重要なアイテムです。正しい知識と技術を身につけることで、お客様に感動を与えられるネイリストを目指せます。

セルフケアで楽しむ方はもちろん、プロのネイリストを目指す方は、ネイルスクールや通信講座などを活用して、基礎からしっかりと学ぶことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 交換時期は?何回くらい使える?
A. ファイルの表面を触ってみて、ザラザラ感がなくなり滑らかになってきたら交換のサインです。削れ味が悪くなったまま使い続けると、余計な力がかかり爪を傷める原因になります。使用頻度にもよりますが、セルフネイルなら数ヶ月~半年、プロがサロンワークで使う場合はより頻繁な交換が必要です。

Q. 洗ってもいい?
A. 「ウォッシャブルファイル」と記載のあるものは水洗いが可能です。しかし、エメリーボードの多くは芯が木でできているため、水洗いするとふやけてしまい、やすりが剥がれる原因になります。基本的に水洗いはできないと考え、ダストブラシなどで削りカスを払って保管しましょう。

▼あわせて読みたい
ウォッシャブルファイルの特徴とメリット・デメリットをおさらいしよう!|ウォッシャブルファイルのおすすめ商品を紹介

Q. 保管方法は?
A. 削りカスをきれいに払い落とした後、ファイル同士が擦れないように専用のケースやポーチに入れて保管するのがおすすめです。衛生的に保つため、他のネイル用品とは分けて保管しましょう。


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