出張撮影、パーマ・カラーを行う訪問理美容で他業者との差別化に成功!「ディライト」代表・団野圭輔さん
訪問理美容サービスを立ち上げ、サロン勤務時代より稼働時間を減らしながらも収入が倍になったという団野圭輔さん。前編では、訪問理美容サービスを立ち上げるまでの具体的な準備や、最初の1年はほとんど仕事がなかったという団野さんに、どのようにその窮地を乗り越えたかを伺いました。
後編では、訪問理美容を軌道にのせ、人気を得るまでに団野さんが実際にやってきたことを伺います。個人宅の訪問先を増やすためポスティングに力を入れてきたという団野さん。チラシの内容にもこだわり、一番手に取ってもらいやすい形を見つけたといいます。また訪問理美容と出張撮影を組み合わせて提供するようになり、他社との差別化にも成功したそうです。
今回、お話を伺ったのは…
団野圭輔さん
理美容師/訪問理美容サービス「Delight」代表/出張撮影ディライトメモリーズPhotograper
理容師、美容師免許を取得後、生まれ故郷である兵庫県三田市のサロンでキャリアを積む。憧れていた東京のサロンに勤めるも、思うように成果をあげることができず、三田市に戻る。その後、2017年4月に訪問理美容サービス「Delight」を立ち上げ。地道に訪問先を増やしていき、事業を軌道に乗せる。コロナ禍で訪問先に制限がかかったときに、出張撮影も行うサービスを生み出し、メディアで取り上げられるなど評判を呼ぶ。現在は出張撮影カメラマンとしても活躍中。
ポスティングを効果的に行い、訪問先を拡大
――ポスティングを活用して訪問先を増やしてきたと伺いました。チラシはご自身で作っていたのでしょうか?
最近やっと外注するようになりましたが、それまではすべて自分で作っていました。ポスティングした際はかならず、どの地域に何枚配って、何件予約につながったかという反響率も調べていたので、どんなチラシだと反応がいいかを確認しながら改良を加えてきました。
最初はA4縦の形で作っていたのですが、そこから徐々に形を変えていき、最終的にはA4を3つ折りしたものが一番反応がいいということに気が付いたんです。手に取りやすいですし、保存がしやすいというメリットがあります。
――どのくらいの頻度でポスティングをされてきたのでしょうか。
時間が空けば、とにかくずっとポスティングをしていました(笑)。たとえばどこかのお宅に伺ったときには、少しだけ車を停めさせてもらって、その周辺にポスティングをさせてもらうこともよくありましたね。今の訪問先はこのようにして足で稼いだところがほとんどです。
出張撮影を組み合わせたメニュー提供で、差別化に成功
――競合がほかにもいる訪問理美容で、人気を集められているのはどのような理由だと分析されていますか?
理容師と美容師、両方の免許があるのでカミソリを使った本格的なお顔そりや、カラーやパーマができること、また移動式のシャンプー台を導入していることから移動の負担がなくシャンプーやブローまでがその場で完結すること、髪をきれいにした直後にご本人だけでなく家族と一緒に記念撮影ができることなど、ほかの業者さんと差別化している点が一番大きいのかなと思います。出張撮影を一緒に行うメニューは、コロナ禍に施設の訪問が難しくなったときに、個人宅への訪問に力を入れたいという思いから考えたものです。独立当時、仕事がなかったときにカメラマンさんのアシスタントの仕事をさせていただき、撮影の技術を学ばせてもらいました。それもあって以前から個人宅に訪問理美容に伺った際に、施術後のお姿をスマホのカメラで撮影して、それを次の訪問時にプリントしてお渡しするサービスをたまにやっていたんです。それをとても喜んでくださる方が多かったため、訪問理美容と出張撮影を組み合わせてみようと考えました。
撮影は一眼レフや照明機材も使って、行います。訪問理美容の特性上、撮影をしたお写真が遺影に使われることもあるので、ご家族の方からも「いいお写真があってよかった」と喜んでいただくことも多いです。ちなみに今では介護施設のイベントにカメラマンとして参加したり、業務委託として学校関係の行事撮影もさせていただいております。
――カラーやパーマでの差別化ということですが、そういったメニューは提供していない業者が多いのでしょうか?
業者によってはカットしか対応していないところや、明るいカラーができない、シャンプー設備がないなどの理由でお客さまの希望に沿えない場合もあるようですが、ディライトではお客さまや環境に応じて臨機応変に対応させていただいております。施設の場合はとくに、業者が固定になってしまっているというところが多くて、営業をかけても立ち入る隙がないと思っていましたが、こういった対応ができるので、固定の業者さんがいても要望があるときだけ個別に呼んでいただくこともあります。
訪問理美容の可能性をもっと広げていきたい
――訪問理美容師として心がけてきたことは、どんなことでしょうか?
その場で求められていることを察して、臨機応変に対応することを心がけています。訪問理美容は一般的な美容師と違って、デザイン性だけでなく、機能性を求められることもありますし、施術の時間をとにかく短くしなくてはいけないケースなど、その時々でニーズが大きく変わる仕事です。
たとえばですが寝たきりの方で、髪の毛が長いと絡んでしまったり、かぶれてしまうという方もいらっしゃいます。そういう場合には機能性を重視しなくてはいけなくなります。施術の時間の短縮を求められるのは、病院のケースが多いですね。呼吸器をつけていらっしゃる方や、暴れてしまう方、体が硬直してしまっている方などもいらっしゃいますから、体に負担がかからないよう早めに仕上げるようにしています。
でもそんななかでも、なるべくデザイン性についてもこだわりたいとは思っています。なかなか難しいケースも多いのですが、とにかく短くすればいいとは僕は思っていなくて。きれいでいることは内面からポジティブな変化を生んで、健康寿命をあげることにもつながると思うんです。
――臨機応変さが大切なのですね。
はい。逆に個人宅に伺うときは、とにかく会話をしたいという方もいらっしゃるので、限られた時間のなかではありますが会話を楽しむようにしています。個人宅に伺う訪問理美容の仕事は信頼関係が何より大切なので、安心してお話してもらえるよう心がけていますね。施術終わりにケーキをご馳走になったり、おみやげをいただいたりと本当にありがたいなと思っています。
――最後に、これから訪問理美容に挑戦してみたい方にアドバイスをお願いします。
訪問理美容のいいところは、僕のように専業で始めなくても副業として小さく始められることです。美容師の仕事のかたわらでもできますし、美容師を一度辞めてしまったママさんが隙間時間で始めることも可能だと思います。実際今の僕は自分ひとりですべての仕事を受けられなくなってしまったため、知り合いの訪問美容師さんに業務委託という形で協力してもらっています。
訪問理美容を必要としている人はたくさんいますが、まだまだ一般的に認知されていません。必要とする人へ届けられるように、訪問理美容に携わる人を増やしていきたいと思っています。お客さまの人生の最期まで寄り添えるやりがいのある仕事ですので、興味のある方にはぜひ挑戦していただきたいです。僕の経験から伝えれることであればなんでもお答えしますので、気軽にご相談下さい。
訪問理美容サービスで成功した団野さんの3つのポイント
1.反響率を調べながら効果的にポスティングを行い、訪問先を増やした
2.出張撮影や、カラー、パーマの提供などで、差別化に成功した
3.求められていることに臨機応変に対応し、満足度をあげた
独立後は苦境に立つこともあったそうですが、地道な努力で訪問先を増やしていき、理想的な働き方を実現できたという団野さん。訪問理美容について真摯に話す姿から、多くの高齢者の方の信頼を得ているのも納得でした。いつか独立をしたいと思っている方、訪問理美容に興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね。