徹底した気遣いで築き上げた10年間。リピート率95％のサロン ネイリスト・山内亜巳さん
３人のお子さんを育てながらネイリスト、美容サロンビジネス講師、ネイルサロンの経営と多岐にわたって活躍する山内亜巳さん。
前編ではライフステージによって働き方を変えてもお客さまがついてきてくれる仕事に対する姿勢についてお伺いしました。後編は、人気のネイリストであり続けるために行っている、お客さまへの徹底した気遣いについて伺います。
今回、お話を伺ったのは…
山内亜巳さん
ネイリスト、美容サロンビジネス講師
愛知県豊田市出身。ネイリストとして複数のサロンでの勤務を経て2010年に独立。自宅にてプライベートネイルサロンをオープンする。その後は店舗を構えオーナーとして経営を行ったり、ビジネス講師としてサロンの経営者にアドバイスを行ったりとネイルに関するさまざまな働き方を経験。現在は愛知県豊田市にある自宅にてサロンワークを行いながらオンラインで講師していたが、2023年6月に新店舗をオープン。3人の子どもを育てながらネイリスト、経営者、ビジネス講師として活躍する。そのほか、保育士の美容をサポートする「保育士ネイリスト協会」の理事も務める。
お客さまの立場を考えて動くことでリピート率は驚異の95％を達成！
1つひとつの接客や施術の丁寧さが亜巳さんの魅力
――前編ではさまざまな働き方をしながらもお客さまとの関係を続けてきたお話をお伺いしましたが、経営していたサロンのリピート率はどのくらいでしたか？
自宅でのプライベートサロンと店舗を持ってからの10年間、ほとんど変わらずリピート率は95％ほどをキープしています。
――95％！ほとんどのお客さまがリピーターなんですね。それほどまでに愛されるネイリストになるために大切にしていることを教えてください。
とにかくお客さまを大切にすることです。そのためにはポイントがたくさんあって、まずはどのようなお客さまに来ていただきたいのか、ターゲットを決めて、メニューの設定や空間づくりを行います。店舗を構える際にはテナント選びからきちんと戦略を立てることが大切です。
実際の接客については第一印象がとても重要になります。お客さまの多くが初めて行くサロンに対して緊張しているはず。その緊張をほぐすように笑顔で迎えるようにしています。マスクが必須のときでも挨拶のときだけは少しずらして笑顔を見せるようにしていました。また、1つひとつのご案内や施術を丁寧に行うことも大事。たとえば「スリッパ履いてくださいね」とか「段差がありますよ」とか、スタッフにとって当たり前でも初めてのお客さまはとまどうことがたくさんあるんです。それは施術中も同じで、つねにお客さまの立場に立って気持ちの良い時間を目指しています。
――お客さまからの反響はいかがですか？
多くの方に「こんなに丁寧に手を触ってもらえたのは初めて」と言われることが多く、気持ちが伝わっているようでうれしいです。
――ほかにもポイントがあれば教えてください。
技術や知識については周辺の地域のなかでナンバーワンだと自負しています。これはネイルケア講師として生徒さんに教えるうえで自分自身常に学びを深めていることが大きいですね。仕上がりの美しさにも定評があります。このようにいろんなことに気を配りながらお客さまと接することで、信頼関係を築くことができました。
長期休みの間もSNSは欠かさず、忘れられない存在になる
ワンカラーだけでも美しく印象が変わる
――出産などで長期のお休みをされる際も待ってくださる方が多かったのでしょうか。
そうですね。復帰したらすぐに以前のリピーターさんが駆けつけてくれることもありました。おやすみ中も忘れられないように、発信を欠かさなかった結果だと思います。以前はフェィスブック、最近ではインスタグラムを活用しています。
――発信の際のポイントは？
ネイリストさんのなかにはメニューのすごさや技術力の高さをアピールしている方や、自分のデザインのギャラリーだけになっている方が多い印象です。それだとほかのネイルと埋もれてしまうので、ネイル1つひとつのストーリーを発信することを大切にしています。
たとえば「このネイルは〇〇が好きなお客さまのために作りました」や「〇〇さんの好みに合わせてデザインを提案しました」など、自分がどこにこだわって、なぜこのデザインにしたのかを発信すれば、自分だけの特別なデザインを求める人に必ず刺さります。
それから自分の軸を大切に、ぶれずに発信することも重要。サロンづくりにも共通しますが、きちんとターゲットを決める必要があります。一気に多くの人に届けたいと思うと誰にも刺さらないんですよ。しかしたったひとりの具体的な人を思い浮かべて作った文章や写真は「あ、自分に言われている！」と多くの人に刺さることが多いんですよ。
仕事も育児も両立できるサロンをつくる
亜巳さんがオリジナルに開発した爪にやさしいマニキュア
――「ママが働きやすい環境をつくる」ことも目標に掲げているとのことですが、具体的に教えていただけますか。
2023年6月に新しくオープンするサロンのスタッフは現在みなさん子育て中で、仕事にも育児にも力を入れたいという方ばかりです。子どもの発熱など急なお休みが発生しても対応できるようにスタッフの人数を増やしてフォロー体制を整えること、それに罪悪感を抱かずに、お互いが協力しあえる環境をつくることを課題として取り組んでいます。
実際に私は3人の子どもの妊娠、出産を経験したのですが、仕事との両立がとても難しかったんですよ。私は子育て期間中は自宅で自分のペースで働くことを選んだのですが、ママネイリストがみなさんそれができるわけではないと思うので、ママでもしっかりと働けるサロンを作りたいと思いました。
――担当やご指名もあると思いますがお客さまへのフォローはどのようにお考えですか？
お店のPRの際に「ママが働きやすいサロン」であることをきちんと説明するなど、事前にご理解を得たうえでご予約をしていただこうと思っています。お客さまに納得していただくためにも、スタッフ全員のレベルをあげて、誰が対応しても心地よい時間になるように徹底したいです。
オーナーである私が積極的に発信していくことで、お客さまの受け取り方もまったく変わってくると思うので、そこはお伝えしながらうまく運営していきたいと思っています。
リピート率の高いネイリストになる3つのポイント
1.お客さまを大切にするため、あらゆることに気を遣う
2.長期休暇の際も忘れられないように発信を続ける
3.ネイリストとしての軸をもって、ターゲットを詳細に設定する
子育てなどライフステージが変わることでネイリストでいることを諦めてほしくないと語る亜巳さん。ご自身が苦労された経験があるからこそ、多くの女性に刺さるネイリストとして活躍を続けられるということがわかりました。新しくオープンするサロンにも注目が集まります。
