ときには地雷を踏む勇気も。いかにパーソナルスペースの端にいられるか「grow」清水愛貴さん

数々のサロンで美容師のキャリアを積み、現在は業務委託美容師として「grow大宮」のマネージャーを務める、清水愛貴さん。その前に働いていた「grow恵比寿」では300名ほどの顧客を抱えていた清水さんですが、大宮に移るときも半分以上の顧客がついてきてくれたといいます。それを可能にしたのが、お客さまとの信頼関係。プライベートな話はなかなかしづらくなっている昨今ですがときにはあえて地雷に踏み込むことで、「パーソナルスペースの端っこにいる美容師」になれるような、存在感を示せるそうです。

今回、お話を伺ったのは…

清水愛貴さん

美容師/「grow大宮」マネージャー

専門学校卒業後、業務委託契約を含めた複数店舗を経て、2018年より業務委託サロン「grow」に所属。大宮店のマネージャーとして店舗立ち上げに携わる。

instagram:@grow_shimizu

電車で1時間の距離を超えても通ってくれる、「嘘のない」信頼感

仕上げにはブローやアイロンなどは使わないという清水さん。嘘がなく、だれにでも再現できることを大切にしているという

――元々は恵比寿、現在は大宮店に所属されているとのことですが、店舗の移籍はスムーズでしたか?

恵比寿で集客には成功していて、300人くらいのお客さまを抱えていましたし、ありがたいことにその半分以上の方が大宮店についてきてくださったので、そこまでの苦労はありませんでした。

――大宮と恵比寿ですと電車で1時間くらいの距離がありますよね。なぜそんなにもたくさんの方がついてきてくれたのだと、分析されていますか?

だれでも再現できる、「嘘のない仕上がり」にこだわっているのが理由の1つではないかと。仕上げをするときも基本的にハンドブローのみで、ブローをすることはほとんどありません。縮毛矯正をしたときも同様です。アイロンを使い、艶出しスプレーをかければだれでも艶のある美しい仕上がりは可能で、それは確かにインスタなどでは目を引きますが、本当にお客さまのためになっているのかということですよね。ただ乾かしただけで再現できるヘアスタイルを作らなければ、本当の意味でのお客さまの満足はないのかなと思っています。

と、ここまで取材用にかっこいい理由を話してみましたが、お客さまが僕に求めているのは多分、ただただ話してるのが楽しいくらいの理由しかないのではないかと思いますね(笑)。その証拠に僕の指名のお客さまは、髪の話をほとんどしませんし、ヘアスタイルに対する注文は1つか2つくらい。「こういう感じで、あとはお任せ!」というようなお客さまばかりなんです。

初回で信頼を得るため、声の大きさ、立ち位置、目線に心を配る

初回の接客はとくに気を配るという清水さん。2回目以降のスムーズなコミュニケーションにつながるという

――髪の話はしないんですね(笑)。ちなみに新規のお客さまに対しても同じですか?

いえ、新規のお客さまの場合は切り替えています。初回ではものすごく丁寧に接しますし、「この人だったら大丈夫」と思ってもらえるような信頼関係を作ることが何より大事だと思います。そうすれば2回目以降は、ほとんどお任せしてもらえる関係になれると思いますね。

――どのようにして信頼関係を作るのですか?

緊張している人も多いので、圧迫感を与えないように声のトーンをおさえる、お客さまと適度な距離を保つ立ち位置、話すときはかならず椅子に座って目線の高さを合わせる、の3点を心がけています。

あとは、自分が提供している技術を「この人にしかできない技術」だと思ってもらえるようにセルフブランディングしていくことも大切です。もちろんお客さまの髪の状態や履歴の見極めなどある程度経験がものをいいますが、縮毛矯正の薬剤は今とても進化していて、大きく失敗することは少ない、そこまで難易度が高い技術ではなくなっています。

でもお客さまには高い技術だと思ってもらえるように伝えます。言い方は少し悪いですが、いかにもっともらしく伝えられるか(笑)。具体例を出しながら技術を説明し、納得してもらうことなども心がけています。

目指すのは「うまい美容師」ではなく、パーソナルスペースの端にいられる美容師

ときには地雷に踏み込むことで、関係性を築けることもあるという

――美容師として一番大切にしていることはどんなことですか?

お客さまの生活のなかに、必要な存在になれるかということです。技術の信頼感はある程度の美容師であれば前提としてあると思っていて、どこで差別化をはかっていくかといえば、結局は美容師の人となりしかなのではないかと。ただ、必要としてもらうための距離の取り方は、難しいと思っています。ぐいぐいいき過ぎても、距離が遠すぎてもだめ。話し過ぎても、話さな過ぎてもだめ。すごく絶妙なバランスが必要だと思いますね。

――ましてや時代柄、プライベートな話にはなかなか踏み込みづらくなり、関係性を築くのが難しくなった気がします。

ただ僕はあえて、超プライベートな地雷を踏みにいくこともありますね。たとえば泣きはらした目をしていたときに「何かあったの?」と聞くようなこともあります。

――それはなぜですか?

当たり障りのないことを聞いていても、「上手な美容師さんだったな」で終わってしまうと思うんです。今の時代、技術がうまい美容師はたくさんいるので、長くつきあう美容師になるのは難しい。全部の地雷を踏むのはもちろんNGですし、信頼関係によって踏み込める部分も変わってきますが、少しは存在感を出して関係性に揺さぶりをかけることもときには必要だと僕は思います。そうでなければ、お客さまのパーソナルスペースの端っこにいられる美容師にはなれませんから。


清水さんが人気を集める3つの理由

1.ブローなどは行わず、だれにでも再現できる「噓のない仕上がり」を生み出す

2.新規のお客さまには、動作にまで気を配り信頼感を築く

3.ときにはあえて地雷に踏み込み、パーソナルスペースの端にいられる美容師を目指す

後編では数々のサロンで働いてきた清水さんが行き着いた業務委託サロン「grow」について詳しく伺います。高い歩合率を実現し、インボイス制度施行後の3年間は、消費税の支払いまでフォローしてくれる手厚さが魅力だったと話す清水さん。現役としてはさみを握り続けるオーナーの、美容師目線の経営が活きているそうです。後編もお楽しみに!

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Salon Data

grow大宮
instagram:@grow_omiya_
住所:埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-5-13O・Yビル2F
電話:048-662-9622
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