身につけた技術は誰にも奪われない!動画クリエイターまるるさん流「SNSでの可能性を広げるためにできること」【元ネイリスト/動画クリエイター まるるさん】#2

ネイリストとしてサロンワークを経験したのちに、動画クリエイターとして主にTikTokやYouTubeでネイルについてのコンテンツを発信しているまるるさん。サロンワークから離れた今でも、ネイルを通して多くの人を笑顔にしたいという想いを持って、SNSでの発信に力を入れているとのこと。

後編では、動画制作の際に心がけていることや、動画クリエイターとして今でもネイルについて発信している理由についてお伺いしました。

教えてくれたのは…
元ネイリスト/動画クリエイター・まるるさん

元ネイリストとして5年半のサロンワークを経験。30歳のときにがんが見つかったことでサロンワークから離れ、現在は動画クリエイターとしてネイルのコンテンツを発信中。YouTubeの登録者数は4万5,000人以上、TikTokでは16万人以上のフォロワーを抱えている。

ネイルを通して、SNSでもみんなを笑わせたい

――動画クリエイターとしての道を歩み始めたまるるさん。動画を投稿しようと思ったきっかけを教えてください。

TikTokって昔はそんなに人気はなくて、突然爆発的に人気になってたと思うんですけど、見ていてとっても楽しいですし、あっという間に時間が過ぎる。私にとっても新感覚のSNSだったんですよね。

自分がいざ投稿し始めたってなったときに、やっぱり「楽しんでほしいな」っていう想いがありました。きっと普通に生活してても、みんなしんどいことってあると思うんですよね。そんなときに私の動画を見て、クスッと笑えるようなことがあったら嬉しいなって思って。見てくれた人のコメントも、自分のなかで動画投稿を続ける上でのモチベーションになってたっていうのはあります。「面白かった」「楽しかった」っていうコメントは、すごく嬉しかったですね。

――みなさんのコメントや反応が前向きな気持ちにしてくれたり、心の支えにもなったりしていたんですね。

そうですね。自分も誰かの心のよりどころ、支えになりたいっていう想いがあって。

サロンワークをしてた頃は、対面でお話したりしてお客さんを喜ばせてあげることができてたんですけど、今はSNSでたくさんの人に楽しいことや笑いを提供できる。ネイルってかわいいよねっていうこともどんどん発信できる、そういう場だと思っています。

――動画制作や運用で心がけていることはありますか?

同じようなネイルのジャンルで投稿している方の多くが、ネイルの仕上がりや方法を解説する動画だったり、美しいネイルを見せていると思います。でもネイルのジャンルで面白い人って見たことがないんですよ。でも私はそこに行けると思ったんです。

最初にお話した通り、私は“並の技術”なんですよ。ネイリストを5年半やっても並の技術のままだったので、自分の技術を見せるために発信しているわけではありません。

ただ、今はネイルが私にとって何か伝えたりする“手段”になっているんです。だから動画をつくる上で、ネイルをしたい・今からネイルに挑戦しようと思ってる人たちが、私の動画を見つけて「これだったらできる」「この人が言ってることだったら自分でもできる」と思ってもらえたらなって

私自身、一番自信があることって“喋ること”なので、HOW TO寄りの動画にはならないように意識しています。それと、あまり専門的な用語は使わないこと、教える方に偏りすぎないこと、最後まで喋りきらないで動画をブチ切ることを決めています。完成されてないものに対して、人って惹きつけられることはあるのかなと思うので、自分なりに動画は最後綺麗に終わらせないようにしていますね(笑)。

――ネイルにもともと興味がなくても、まるるさんの動画を見てネイルに興味を持った人は多いのではないかなと思います。

私はネイルのことを真剣に教えていないけど、ネイルに興味関心を持ってくれる人が私の動画をきっかけに増えていったら、そんな嬉しいことはないなと思ってます。

私自身特別なところは何もないけれど、私という人柄を通してより親近感を持ってもらえることが、ネイルへの興味関心を高めることに繋がるのかなと。

今はセルフでネイルを楽しんでる人も多いと思うんですけど、すごいところを見せるんじゃなくて、上手にできないことも見せたりする。そういう身近に感じられる部分も出してあげることによって、「自分もできるかも」「やってみたいな」って思ってもらえるんじゃないかなと思いますね

――サロンワークをしていたときも、TikTokに投稿していましたよね。そのときと今を比べてみてどう感じますか?

自分の働いていたサロンもコロナの影響を受けて一時休業することになったので、その時期にYouTubeとTikTokの両方を始めたんですね。そのときはサロンに勤めていたということもあって、声も変えて自分だとわからないようにして投稿していました。それに当時は、自分のなかにあるプロ意識が変な方向に行ってしまい、凝り固まった考えになってしまっていて。

それに比べて今はのびのびと動画をつくれるようになりましたし、当時プロの業界でなんとなくタブー視されていた100円ショップのネイル製品を使った動画も発信しています。

たとえばプロの方が発信するとなると、どうしても“プロすぎる目線の意見”になっちゃうと思うんですよ。あれはダメ、これはダメとか、正しいとか、間違いとか。もちろん、プロとして安心安全なネイルを届けるのは1番大切なことなんですが、私が大事にしている「楽しむ」からはかけ離れていたように感じて。そこは自分が一旦サロンワークという“プロの現場”を離れたからこそ、柔軟な思考を持てたと思っています

プロとしての経験も生かしつつ、みんなの本音を聞いて寄り添いながら、自分の考えも言えるようになったかなと思いますね。

みんなが笑ってくれるのなら、いい意味でバカになれる

――持ち前のトーク力で多くの人を魅了するまるるさんですが、ご自身の一番の強みを教えてください。

一番の強みは、“バカなところ”じゃないですかね(爆笑)。いい意味でバカなところ、バカになれるところだと思っています。

プロ意識を持ってシャキッとしてる方に憧れはあるんですけど、私の場合はみんなに愛想を振りまいて、笑かして、ちょっとヘラヘラしてるぐらいの感覚の方が合う人間性ではあるので。飾り気ない自分をみなさんに表現して、とっつきやすいような雰囲気を作り出せるのは、一番強みだと思っています。

それと自分が“すごい人”だと思わないってことですね。私は先生になりたいとか尊敬されたいというタイプではなくて、みんなと肩を並べてとことん寄り添いたいと思っているので、ずっと愛される人でありたいから調子に乗らないこと。それはすごく大事にしています。

――まるるさんの動画を見て、親近感が湧いてる人って多いと思います。

間口を広げて「何でも話しかけていいよ」みたいな雰囲気を出しすぎた結果、とんでもない質問とか相談が届いたりするんですよ(笑)。でもそれって何かを抱えてる人にとっては、「こういうバカみたいな人がいてよかったな」「話せる人がいるな」っていう雰囲気になってくれてるんでよかったなと思っています。

みんな悩みごとがあったり、しんどいことあったり、行き詰まっていたりとか、色々生きにくい世の中だと思うんですよ。みんなの話を全部聞けるわけじゃないんですけど、私はいくらでも自分のバカな部分を表現できますし、「みんなが笑ってくれるのであれば」っていう想いで、“自分を崩せる”っていうところが強みだと思います。

技術職は一度手にしたら、誰にも奪われることはない

――さまざまなコンテンツのテーマがあるなかで、動画クリエイターとしてネイルについて発信している理由を教えてください。

私は、何事も長く続けられなかった人間なんですね。何かやってもすぐ辞めちゃうとか、すぐ挫折しちゃうとか。うまく続けられないタイプだった私が、唯一ずっと熱心に続けてこられたのが“ネイル”だったんです。

技術、知識、経験って自分が一度手にしたら、もう誰にも奪われることもないですし、またそれを様々な形で誰かに提供することもできる。自分が持てる素晴らしいスキルだと思うんですね

私のこれまでの経験はすべて動画というものに変わっていっているんです。今では、自分が長く、一番熱心に頑張れたネイルが「みんなを笑顔にしたい」「みんなの日々のなかに、ちょっとした笑いの時間を提供したい」っていうことをするための“手段”になっています。サロンワークを離れた今でも、これまで学んだことは十分に活かされていますね

サロンワークから離れて違うことしようって思ってる人にも伝えたいんですけど、一度自分が手に入れたものは絶対に誰にも奪われないものなので、自分の活かし方次第でどんな形にしてでも届けられる。誰かを喜ばせたいという気持ちは変わらず、これまでの経験をフルに活かして舞台を変えて活躍できるのがSNSという場だと思います。

それと自分が女性ならではの大きな病気をしたという経験は、これから一生かけて伝えていきたいと自分のなかで使命感があります。このことについては、絶対に伝えていかなきゃいけないことだと思ってて。ネイルって、女性の方がよく見てくださるコンテンツなので、「検診に行きましょう」「自分の体を大事にしましょう」とか、そういった発信はこれからも続けていきたいと思っています。

自分の可能性を広げる場がSNSにはある

――今後の目標や方向性について、考えてることがあれば教えてください。

先ほど話したように、病気の予防に努めてもらいたいので、どんどんフォロワーさんを増やして、影響力をつけていけたらなと考えています。多くの女性に自分が経験したことを伝えて、同じ病気で苦しむ人がいなくなってほしいという想いがあるので、そういったことをもっともっと広く伝えられるようにしたいですね。

あとは、最初に言った通り自分もネイルが大好きなので、ネイルに興味関心を持っててくれる人が増えて、セルフもプロも関係なくネイル業界がもっと盛り上がってくれることを望んでます。

それと指先って常に目に入るし、見るだけで気分が上がると思うので、すべての企業の福利厚生でネイルをできるようにしてもらいたい。それを推進していきたいと思っています!

――まるるさんなら実現できると思います!

いや私もなんか知らんけど、すごい自信がありますね(笑)。なんか知らんけど。

――技術職をしてきた方のなかには、“この道でやっていくしかない”と思っている方も多いはず。そんななかで、自ら新しい道を切り開いてきたまるるさんの姿は、これからの人生に不安を抱えている方に希望を与えていると思います。

女性視点でいうと、結婚したり、妊娠、出産もあったり、その時々のライフステージでさまざまな変化があると思います。技術職を頑張ってきた方も、諦めざるを得ない状況がきたりとか、昔はやってたけど今は離れているっていう人もいっぱいいると思うんですね。

でもそういう方たちにも、あらゆる表現の場があるっていうこと、可能性を広げるチャンスが“SNSにある”ということを伝えたいです

たくさんの人に声をかけてもらったり、今日も貴重な取材を受けることができたのは、すべてSNSを頑張ってきた成果の一つだと思っています。これからもこれらのことを思い出しながら、頑張れるような気がします!


【3か条】元ネイリストの動画クリエイターのまるるさんが大事にしてること

1.たくさんの人に楽しいことや笑いを提供すること。

2.プロの経験を活かしつつも、ユーザーの声に寄り添うこと。

3.ネイルだけでなく、自身が経験した病気の啓蒙活動にも力を入れること。

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取材・文/菊地菜々

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