明治38年創業の老舗企業。伝統と革新を大切にしながら体現している「Hatsuko Endo」久米大介さん
美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回は、明治38年(1905年)創業のトータルビューティーカンパニー「Hatsuko Endo」の美容・エステ部門で、統括を務める久米大介さんにお話をお聞きします。
前編では「Hatsuko Endo」の成り立ちや企業理念、社員への想いなどについて伺いました。日本初の総合美容室として銀座で創業した「Hatsuko Endo」。100年以上経った現在も業界のトップランナーとして、エステやヘアメイク、着付け、貸衣裳などのサービスを提供し、女性の美をトータルで演出してきました。
永年にわたり愛されてきた背景には、日常業務のなかで大切にすべき基本姿勢や行動指針が記載されているクレド、「Heart of Gold」の存在がありました。いったいどのような内容で、サービスにどのように活きているのかなどを話していただきます。
今回、お話を伺ったのは…
「Hatsuko Endo」美容・エステ部門 統括
久米大介さん
熊本県出身。生後9ヶ月から11歳までをアメリカで過ごす。美容専門学校を卒業後、2014年にHatsuko Endoに新卒入社。名古屋店で活躍するなか、2017年にハワイでのブライダル事業立ち上げに参加。帰国後から本社勤務となり、2022年からは現在まで美容・エステ部門の統括を務めている。
まもなく創業120周年。トータルビューティーの先駆け
――まずは「Hatsuko Endo」のコンセプトを教えてください
Hatsuko Endoはトータルビューティーカンパニーです。大きく分けて、衣裳、ブライダルヘアメイクなどの婚礼、美容・エステの3つの部門があり、日常から結婚式まであらゆる場面の女性を美しくするサービスを提供しています。
――企業の成り立ちをお聞かせいただけますか?
弊社は明治38年(1905年)に日本初の総合美容室として銀座に創業しました。はじめは「美顔術」という現代のフェイシャルエステの先駆けである美容技術の提唱からスタート。その後、時代に合わせて婚礼衣裳のレンタルや着付け、ヘアメイク、ネイルなどのサービスを展開し、トータルビューティーを手がける企業として発展していったのです。現在まで多くのお客様にご愛顧いただいたおかげもあり、来年には120周年を迎えます。
――日本初の総合美容室だったんですね!企業として発展のターニングポイントとなったのはどのようなことでしょうか。
いくつかありますが、ひとつ挙げるとすると婚礼の貸衣裳が始まったときです。当時は戦後だったため、結婚式の衣裳を調達することが難しい時代でした。そこで弊社は、それまでの日本にはなかった婚礼衣裳のレンタルを始めたんです。着付けなども含めて多くの方に利用いただき、認知が広まっていきました。
クレド「Heart of Gold」が悩んだときにヒントをくれる
――Hatsuko Endoが長年愛される企業になれた秘訣は?
満足度の高い上質なサービスを提供してきたからだと思います。サロンワークだけでなく着付けなどのサービスを展開していることから、店舗の多くが、デパートやホテルといった高級志向の施設を中心に展開しているんです。それぞれのお客様にふさわしい技術と接客を提供できているからこそリピートにつながり、長年愛されてきたと思います。
――上質なサービス提供のため企業として取り組んでいることは何ですか。
クレドとして「Heart of Gold」という冊子を社員全員に配布しています。「その日、向かい合う人を心より美しく。文化の香りを尊び、本物を志向する。」という企業理念をはじめ、日常業務のなかで大切にすべき基本姿勢や行動指針が記載されているんです。
接客や社員同士でのコミュニケーションなど悩みを持ったときに読むと、必ず何かヒントを与えてくれます。社員の心の支えであるとともに、ホスピタリティあるサービスを提供できている秘訣です。
――久米様も「Heart of Gold」に支えられた経験はありますか?
ありますね。名古屋店でアシスタントとして働いていたときに、お客様とのコミュニケーションのとり方について悩んでいたんです。そこで、当時のマネージャーが「Heart of Goldの『その日、向かい合う人を心より美しく』という言葉通りに接客すればいいんだよ」とアドバイスをくださって。カットなどの施術だけでなく、接客もお客様を美しくする一部だと気づいてからは、お客様に提案する話題や距離感が分かって、安心してコミュニケーションがとれるようになりました。
――なるほど。
あとは、新入社員接遇研修もサービスにつながっていると思います。弊社では、入社して最初に新入社員接遇研修に参加するのですが、そこで接客のベースとなる考え方などを学べるんです。
プライベートの充実が仕事の質を上げる。ウェルビーイングな環境づくり
――企業として大切にしていることを教えてください。
ウェルビーイングを大切にしています。ウェルビーイングとは、仕事もプライベートも充実している状態のことです。人生全体が充実しているからこそ、質の良い仕事をすることができると考えています。そのため、社員全員がオンとオフのメリハリをつけ、ワークライフバランスを保って働けるように心がけています。
――ウェルビーイングを実現するための具体的な制度は何ですか?
制度でいうと、特別有給です。弊社では毎年必ず健康診断を実施しているのですが、当日は有給休暇にしています。健康診断を特別有給休暇とすることで、その日1日を自らの心身を考え、労わる日として穏やかに過ごしていただきたいという想いと従業員の健診負担の改善を期待し、決定した制度となっております。
――嬉しい制度ですね。
はい。あとは、育児がしやすい環境づくりにも力を入れています。育児休暇の取得はもちろん、復帰後はお子さんが12歳になるまで時短勤務することが可能です。保育園や幼稚園の送り迎え、小学校で何かあったときにも対応しやすくなっています。
――「Hatsuko Endo」で働くスタッフに求めていることをお聞かせください。
どの職業にも当てはまりますが、身体が元気でないと仕事は続けられません。とくに美容師という仕事は、元気がなければ明るい接客や他スタッフとのコミュニケーションが難しくなります。繰り返しになってしまいますが、仕事もプライベートも充実した人生を送って欲しいです。
明治38年創業の歴史あるトータルビューティーカンパニー「Hatsuko Endo」。「Heart of Gold」というクレドやウェルビーイングなど、スタッフが働くなかで迷ったり悩んだりすることのない環境があるからこそ、上質なサービスを提供し続けることができ、長く愛されてきたと感じました。後編では、久米さんが実際に受けた研修内容や失敗談など新人時代についてのお話を伺います。ぜひチェックしてみてくださいね!