技術の向上を実感できているのは、自分に合った転職先を選べたから!「LORONG下高井戸店」狩野沙也加さん
2017年12月に誕生した美容室「LORONG」は、無言接客サービスを掲げ、会話をしないスタイルの接客が人気のサロン。狩野沙也加さんは同店でスタイリストとして活躍しています。
前編では、狩野さんが美容師を目指した理由や、転職理由、「LORONG」を志望した決め手についてお話を伺いました。
後編では、内定が出た後の自主的な準備、入社後の研修について詳しくお聞きします。狩野さんは内定が決まった後、プライベートサロンでアシスタントがいないことを見越して、これまで習得してきた技術の総ざらいをしたそう。また、無言接客という形態のため、カウンセリングが重要になると感じ、自分の提案の幅を広げるためにカタログやSNSを見て勉強を重ねたといいます。
今回、お話を伺ったのは…
「LORONG下高井戸店」スタイリスト
狩野沙也加さん
群馬県出身。美容専門学校卒業後、地元の美容室に就職し、結婚を機に退職。2022年に「LORONG」に入社し、ナチュラルなスタイルで顧客からの支持を得ている。マッサージが好きでさまざまな手技を受けてきたため、ヘッドスパが得意。
接客も施術のスタイルも一変!入社前は入念に準備
――無事合格されたとき、オーナーさんからはどんなコメントがありましたか?
私は群馬で美容師をしていたこともあり、前のお客さんも東京に連れてくることはできませんでした。「お客さんがいない、0からのスタートで大変なところもあると思うけれど、がんばっていきましょう」と前向きな声を掛けてもらった記憶があります。
また「得意なヘッドスパをメニューに組み込んで、活躍してほしい」ということも言っていただきました。
――入社するまでに何か準備したことはありましたか?
プライベートサロンという形態上、1から10まで自分で担当しなければならないため、カットやカラーなどの基礎的な技術も、もう一度おさらいをしようと決めました。初心に立ち返り、マネキンでカットの練習をしたりもしましたね。また「LORONG」にはアシスタントがいないので、シャンプーやカットなどのタイムスケジュールを考え、時間内に施術が終わるようにタイムを計って練習をしました。
ヘッドスパにも期待を寄せてもらっていたので、夫の頭を借りて自宅で練習したこともあります(笑)。夫も美容師なので、改善策を具体的に教えてくれたのでとても助かりました。
――接客の面で、何か準備していたことはありましたか?
無言接客のため、カウンセリング以外はお客様とコミュニケーションを取ることができなくなるということを念頭に置いたとき、「どんな接客をするべきか」ということも考えていました。
カウンセリングも時間が限られているので、お客様に寄り添いつつ、ときには自分から提案することも意識しようと決めていました。提案をするためには、自分の引き出しを増やさなければならないと思い、ヘアカタログを見たり、SNSでトレンドを調査したりして勉強を重ねましたね。
――他には、どんな心構えで接客をしようと決めていましたか?
「専門用語を使わないで、お客様に説明をする」ということを意識していました。短い時間でお客様にイメージを伝えるためには、「お客様がわかる言葉」で説明しなければならないと思ったんです。話すのは得意ではありませんが、限られた時間でご要望を叶えるために、カウンセリングには注力しようと決めていました。
のびのびと得意を発揮できるのは、プライベートサロンならでは
――入社後はどんな研修がありましたか?
スタッフとして半月ほどお客様を施術し、接客後、別室に控えているオーナーに、アドバイスをもらうという形式の研修を受けました。
接客スタイルやカウンセリングの方法などにも細かくアドバイスをいただいて、とてもありがたかったです。最初は不安でしたが、研修を通して自信をつけていただきました。
――無言接客のスタイルについて、入社後、ギャップを感じましたか?
最初は無言接客になれず、そわそわしていました(笑)。「本当に話さなくていいのだろうか?」「このお客様は、実は喋りたいのではないだろうか?」と、少し戸惑ったタイミングもありました。
しかし実際に無言で接客を始めると、目の前の施術により集中できているのを感じられるようになり、大きなメリットを感じています。
――「LORONG」は、プライベートサロンですが、その点に関してキャップなどはありましたか?
時間配分の面で、少し壁にぶつかり、「マンツーマンではない前の店とは、形式が違うのだな」とややギャップを感じました。
マネキンで練習をしていたものの、実際のお客様は毛量の差などもありますし、予想外なことが起きたりして、施術に少し時間がかかったりする場面があり、必ずしも計算通りには進みませんでしたね。経験を重ねるごとにだんだんと時間の感覚が身につき、克服することができました。
またひとりで施術を行っていることから、自分の得意なことをのびのびとできるというメリットには、いい意味でギャップを感じました。たとえば「LORONG」は、私が入社してからヘッドスパのメニューを追加してくれました。柔軟にやりたいことをやれるのは、プライベートサロンならではのメリットだと感じます。
――確かに、周りのスタイリストと足並みをそろえなくてもよい、プライベートサロンだからこそのメリットですね。
はい。私以外にも所属しているスタイリストに得意な技術を聞いて、それを柔軟にメニューに組み込んでいます。自分の得意なことも磨けるし、集客にもつながるので、メリットが多いなと感じていますね。柔軟に対応してくれるオーナーには感謝の気持ちでいっぱいです。
技術面で成長できたのは、転職をしたから!
――狩野さんは、今どんなことにやりがいを感じていますか?
「技術的なレベルがすごく上がった」という実感があることが、やりがいにつながっています。最初はお客様がゼロからのスタートでしたが、新規のお客様が増え、そのお客様たちがリピートをしてくださるという好循環が生まれています。
とくに私が得意としている「ヘッドスパとカット」というメニューでの指名が増えており、得意を活かすことができていることにも喜びを感じますね。
――狩野さんは、「転職してよかったな」と思いますか?
はい、思います!今までの環境での勤務を続けていたら、美容師として埋もれてしまっていたのではないかなと思います。プライベートサロンという業態は、私にとって、技術を引き上げるよい方向に作用したと思っていますね。
――狩野さんにとって転職とはどのような経験でしたか?
自分を見つめ直すきっかけになりました。どんな技術を高めていきたいのか、どんなサロンで働きたいのか、どんなスタッフと一緒に働きたいのか、これから美容師としてどう生きていきたいのかということを見つめ直した時間だったように思います。
――転職を考えている方に一言アドバイスをお願いします。
「何をやりたいのか」、「どんな美容師でありたいのか」をよく考えてから転職を検討することをおすすめしたいです。転職を検討するときは悩んでしまうことも多いと思いますが、「人生の棚卸しの時間」だと思い、ゆっくりと自分と向き合ってみてほしいです!
狩野さんが転職を成功させた3つのポイント
1.入社前から、具体的な営業をイメージして準備を進めた
2.技術を高めることができる形態のサロンを選んだ
3.自分の理想や目標を明らかにして就職活動に臨んだ
自分の理想の美容師像に真摯に向き合う狩野さん。その活躍の裏には、誠実な努力があることを知りました。これから美容師として活躍を目指す方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。