映画のセットのような店内でスタイリングできる高円寺の『〜ing』
高円寺駅北口から徒歩5分、庚申通り商店街の中ほどにある～ing（カライング）は、特にショートカットに定評のある人気のサロンです。オープンしてからまだ2年目とは思えないアンティーク感たっぷりの広い店内は、まるで映画のセットのよう。こんな素敵なお店を作った理由をオーナースタイリストである畠山竜哉（はたけやまたつや）さんにお話を伺いました。
ヴェネツィアのイメージを造ってくれた職人さんとの出会い
――まず、このような内装にしようと思ったのは何故なんですか？
「このお店はまだできてから2年目なんですが、前身となったお店『～ing deux（カライングドゥ）』で7年、その前も含めると高円寺で14年サロンをやっていました。その頃から紆余曲折あってたどり着いたのがこのお店なのですが、イメージはイタリアのヴェネツィアです。行ったことないんですけど（笑）。この仕上がりになったのは、内装を手掛けてくれた職人さんと出会えたことが大きかったですね。この店を実現したくて、７年前に『ドゥ』を出した時に、こんな内装をできる人がいるのかな、と思って職人さんを探していたんですね。そしたら見つけちゃって、今はすっかり親友なんですけど。思った通りの内装に仕上げてもらえたんで本当によかったです。シャンプー台の奥には職人さんが描いてくれた絵があって、ヴェネツィアの風景の中にこの店がある、という風景なんです。壁は全部コンクリートで造形してあるんですよ。壁にはレンガとか木材は使っていないんです」
――前身となった『～ing deux』も、このイメージなんですよね。
「この店を出そうと思ったきっかけは、おかげさまで人気が出てきちゃって手狭になったのでもっと広いお店を、ということになりまして、ならば店舗のイメージも踏襲しようと」
多店舗経営よりも家族＝お客様、スタッフとの時間を大切にしたい
――2店舗にしたことのメリットはなんですか。
「よかったことは、スタッフが増えたことで、スタッフ同士、お互いの勉強になっているということですね。僕は独立する前から後輩の指導が苦手だったんです。後輩が間違っていても指導しなかった。そのくせ先輩には反抗してたんですね。でもオーナーになると指導しなくちゃならない立場になるじゃないですか。人数が少ない時はオーナーはピラミッドのトップでもよかったんですが、人数が増えてくるといろんなところで小さなピラミッドができて、それぞれのトップがいて、オーナーはさらにそのトップになるわけです。僕が直接指導したり注意したりするよりも間に入ってもらう方がいいのかな、と最近思えるようになりました。技術に関しても人間関係にしても子供を育てるような目でスタッフを見ている自分がいる、と感じられるようになったのも俺にとっての成長している部分ですね」
――ではデメリットも教えてください。
「強いて言えば、ありがたい話なのですがお客様が増えたことで、スタッフとのコミュニケーションの時間が少なくなってしまったことですね。僕、家族が大好きなんですよ。仕事も家族も大好き。スタッフも家族の一員と思っているので、自分の子供とコミュニケーションが取れないのも悲しいんですが、スタッフとのコミュニケーションが少ないのも淋しい。うちのお店は毎年、新卒を採用しているのですが、毎年新人の子の年が下がっていくのに自分の気持ちが追い付いていなかったんです。今年で42歳になるんですが、ジェネレーションギャップで歳を感じてしまったことがデメリットといえばデメリットでしょうか（笑）」
――3店舗めもお考えですか？
「全く考えていません。フェイスブックで知り合った多店舗展開のオーナーからよく飲みに誘われるんですが、基本的にお断りしてるんです。家族が大好きなので。それでも何かの具合で断り切れなくて飲みに行き、『（多店舗経営は）考えていない』と言うと、皆さんびっくりされるんです。俺は多店舗経営に興味がないんですよ。現場が好きなのもあるんですけど、何より家族が優先です。スタッフが望むのなら３店舗目も考えますが、僕自身は興味がない。家族＝スタッフ、お客様との時間を大切にしたいんですよね」
水の都に佇むアットホームな家族の元で過ごす穏やかな時間…『～ing』はそんな素敵な非日常空間なのかもしれません。
Salon data
～ing（カライング）本店
東京都杉並区高円寺北3-33-14 小笠原ビル1F
03-5356-8770
http://kouenji-ing.com/
東京以外からも通うお客が多い一方、地元での評判も高く、幅広い年齢層が集う人気サロン。中でもショートスタイルには定評があり、リクエストする女性も多いとか。
