トップスタイリストに聞く 独立の経緯と今後のビジョン ♯2
多数の雑誌掲載の他、ご自身のサロン「LONESS」の代表も務める片山良平さんに、トップ スタイリストになるまでの経緯をインタビュー。前半では、美容師になろうと思ったきっか けを伺いました。後半では独立の経緯や、今後のビジョンについてお聞きします。
LONESS のイメージする女性像をもとに、コンセプト作りからスタート
――前サロンでクリエイティブディレクターを経験された後、独立して LONESS を立ち上げ られたとのことですが、LONESS で片山さんが表現したかったことを教えて下さい。
お客様に伝えたいことを形として表現できる、コンセプトに基づいたお店にしたかったので、2年ほどかけて自分たちが作りたいサロンのイメージにぴったりなワードを考え抜 きました。そして最終的に決まったスタイルのコンセプトが『by your side, be your self(あ なたに寄り添い、あなたらしく)』、空間のコンセプトが『Re:switch』。 コンセプトが決まっ てからは、それに基づいた内装・スタッフ・メニューなどを決めていきました
――しっかり考え込まれたお店作り、とても素敵です。コンセプトについて詳しく教えて頂け ますか?
まず、お店を作るにあたって足を運んで頂きたい女性像というのを追求し、その後にターゲットとする女性たちに紐づいたスタイルと空間のコンセプトを決めていきました。スタ イルのコンセプトである『by your side, be your self(あなたに寄り添い、あなたらしく)』 は、マイベーシックに少しの今っぽさを加えたヘアで、今日の続きの明日がちょっとだけ素 敵になるように、僕たちが力添えできればという思いを込めています。空間のコンセプトの『Re:switch』は、LONESS が来てくださるお客様のスイッチを切り替 える場所になるようにという意味を込めています。お客様に癒しの空間を提供できるよう、店内も自然と都会が融合した西海岸にある家をイメージして作っていて、家具なども全て オーダーメイドにこだわりました
――独立し、代表となってこれまでとは考え方や働き方は変わりましたか?
代表とはいえ、僕は実際に現場にも出ているので、スタッフのいい所が見える分、大変さも目に見えて分かります。その時に『代表として正しい指示が出せているか』ということは常に悩みどころ。スタッフの距離感にしても、歩みよりすぎると上下関係に甘えが出てしまうので、ある程度緊張感を持って働くことも大切だと思うんです。とはいえ、自分が採用したスタッフにはしっかり成長してほしいと思うので、言葉選びや接し方は、今まで以上に気 をつかうようになりました
トップスタイリストの秘訣とは…
――日々のサロンワークはどこからインスピレーションを受けているのでしょうか?
常に新しい髪の質感を求めるようにしています。それを見つけるきっかけは、お客様との会話の中で出て来るワードだったり、雑誌だったりと様々。雑誌はスタイリストになりたての頃から月一回は必ずじっくり読む時間を作るようにしています。自分が直感で“カワイイ” と思ったものを作品作りにおとしこみます
――お忙しい日々を過ごされているでしょうに、すごい!
美容師という仕事をしている限り常に“勉強”だと僕は思います。いっぱいいっぱいな状態 なのは今もこれからも変わらないので、限界だからといって諦めてしまうのはすごく勿体 無い。忙しい中でも時間を割いて、どれだけベストを尽くせるかが重要だと思います
――メディアにも引っ張りだこの片山さんですが、美容師をしていてやりがいを感じるのは どんな時ですか?
お客様の髪に携わらせて頂いている時が一番のやりがいですね。美容師は技術職ですが、提供するもの・接客も全て自分という不思議な職業。こちらの一方的なデザインを提供しても、お客様に満足してもらえなければそのデザインは正解ではないんです。お客様に気に入ってもらえた時に初めてデザインとして成立するので、お客様のヘアを作って喜んで頂け た時が、美容師をしていて最も嬉しく、輝ける瞬間であると思います」
――片山さんの考える“トップスタイリスト”とは?
周りからの支持を何十年も保ち続けている人です。お客様から支持されるスタイリスト は、僕たちスタイリストへの発信力もあるんです。 “カワイイ”ヘアスタイルというのは、周期で常に変わるものなので、追及していくことはと ても労力が必要。その中でも自分の“カワイイ”の固定観念にとらわれず、常にゼロの状態か ら新しいものを吸収し、学んでいる人は格好いいなと憧れますね
――どうしたらトップスタイリストになれると思いますか?
僕は“美容にはまること”がトップスタイリストへの一番の近道であると思います。元々 のセンスや感覚は人それぞれ差があっても、時間は皆対等ですよね。一日24時間をどれだ け美容に費やすかで、いずれ大きな差が生まれると思います。加えて大切なのは美容を楽しむこと。時間をかけてでも、楽しみながら美容を極めることこそトップスタイリストへ繋がる道のりなのではないでしょうか
――貴重なお話を有難うございます。最後に片山さんの今後の目標を教えて下さい!
今は人の成長を見ることが楽しいんです。だから、現在 LONESS で一緒に働くスタッフ たちをスタイリストとして成長させ、さらにその上を目指してゆけるスタッフへと育成していくことが目標です。今のスタッフをきちんと幸せにし、いずれ成長したスタッフたちが 新たなメンバーを成長させてゆけるようになってもらえたら嬉しいですね
取材・文/小沼 奈央 撮影/中村 早
LONESS 代表 片山良平さんのトップスタイリストまでの道のり ♯1>>