美容師は退職金をもらえるの?美容室経営者向けの共済や確定拠出年金について紹介

美容師が仕事をやめるとき、退職金は支給されるのでしょうか。実は、サロンによって対応が異なるため一概にはいえません。

もちろん雇う側としても、これまで働いてくれた感謝の意味も込めて、できれば退職金を支払ってあげたいもの。しかし、用意するのが難しい場合はどうすればいいのか、退職金を捻出する方法について知識をつけましょう。


そもそも退職金とは?

昔は、「終身雇用」が一般的で、会社に入社したら定年するまで勤めあげ、退職金をもらって退職するのが当たり前でした。しかしながら、現代は不景気ということもあり、退職金制度を導入しない、もしくは廃止したという企業も増えています。

りそな年金研究所が作成したデータによると、中堅および中小企業で退職金がもらえる割合は

・2002年:88.8%
・2012年:77.7%
・2022年:71.5%

というように、20年で17.3%も減少しています。

引用元
統計でみる退職金・企業年金の実態(2023年版) ~大企業および中堅・中小企業の動向~|りそな銀行

美容師は退職金を貰えるの?

法律としても、従業員やスタッフが職場をやめる際に退職金を支払わなければならないという決まりはなく、勤務先によっては支払われない場合もあります。オーナー側で自由に決められるので、退職金を受け取れるかどうかは、求人募集要項や契約書を確認することが大事です。

雇用保険は基準を満たせば加入義務がある

退職金とは別ものですが、「雇用保険」というものがあります。雇用保険とは、労働者を雇う場合に原則として強制的に適用される保険制度。1週間に20時間以上、かつ31日以上の雇用が見込まれる際には加入する義務があります。

スタッフの入社時に加入し、退職した際には要件を満たすと国から「失業給付」という保険金が支払われます。

引用元
雇用保険制度の概要|ハローワークインターネットサービス
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省

関連記事
美容師が知っておきたい失業保険の基礎知識|どこでもらうの? 申請する場所と手続き方法を解説 | モアリジョブ

失業保険をもらうにはハローワークで手続きしよう

失業給付を受け取るためには、美容師をやめたのちにハローワークに行き、所定の手続きをしなければなりません。住所地にあるハローワークで求職の申し込みと「離職票」の提出を行いましょう。

受け取るには要件があるため、受給資格があることが確認されたら、受給説明会に参加します。「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、「失業認定日」の確認をしましょう。

求職活動を行いながら、4週間に1回の認定日ごとにハローワークに行きます。認定が下りれば、その都度(支給期間内)保険金が支払われるという仕組みです。

引用元
雇用保険手続きのご案内|ハローワークインターネットサービス


「中小企業退職金共済」を採用しているサロンもある

一般的に退職金というと多額の現金の払い出しを行うため、限られた規模の企業では資金繰りが難しい場合が多いです。そこで、中小企業を対象にした「中小企業退職金共済」というものがあります。

加入条件は業種によって異なりますが、美容室は「サービス業」に該当すると考えられるため、常用従業員数100人以下、資本金5,000万円以下であれば加入できます。掛け金は月額2,000円~30,000円の範囲内で選択することが可能です。

従業員は全員加入するのが原則ですが、短時間労働者や期間限定雇用の場合などは加入させなくてもかまいません。国が掛け金の一部を助成してくれる・法人なら掛け金を損金にできる(非課税のため節税にもなる)といったメリットもあります。

引用元
制度の概要|中小企業退職金共済事業本部
加入の条件|中小企業退職金共済事業本部
(試算)退職金シミュレーション|中小企業退職金共済事業本部

確定拠出年金制度を取り入れるのもおすすめ

まず、企業年金連合会が公表している「確定拠出年金」の定義は下記の通りです。

「確定拠出年金(DC)とは、加入者ごとに拠出された掛金を加入者自らが運用し、その運用結果に基づいて給付額が決定される年金制度です。掛金額(=拠出額)が決められている(=Defined Contribution)ことから、確定拠出年金(DC)と呼ばれています。また、「掛金建て年金」とも言われます。」

確定拠出年金には「企業型DC」と「個人型DC(iDeCo)」の2種類があり、掛け金を投資信託などの金融商品で運用して貯めていこうとする仕組みです。美容室の退職金制度として利用するサロンも増えてきています。

企業型では掛け金の上限が個人型(2万3,000円)よりも高く(5万5,000円)、オーナー自身が加入する場合は経費として落とせます。企業型DCと個人型DCの両方に加入することもできるので、ぜひ検討してみてください。

引用元
確定拠出年金のしくみ|企業年金連合会

自営業の場合は「小規模企業共済」制度も

個人事業主や小規模企業が加入できる「小規模企業共済」というものもあります。退職時に向けて毎月積み立てを行う仕組みです。サービス業では、従業員5人以下の事業主や共同経営者、役員が加入できます。

引用元
共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)

掛け金と金額

掛け金は、月額1,000円から7万円まで500円刻みで決めることができます。長期間運用することで、受け取れる金額は最大で「掛けた総額の1.2倍」になるという点が魅力です。

節税ができる

小規模企業共済の掛金は所得控除の対象となるため、掛け金が多いほど節税にも有効です。

「小規模企業共済」の注意点

掛け金の納付月数によっては共済金を受け取ることができません。最低でも12ヶ月間は継続しないと、掛け捨てになってしまいます。また、20年以上納付しないと元本割れになってしまう点にも注意しましょう。

共済や制度を利用し退職金として積み立てよう

雇用している美容師の退職金が用意できないサロンも、今回見てきたように、退職金代わりに積み立てができる共済や制度がいろいろとあります。自店に合うものはどれか検討し、ぜひ採用してみてください。


この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの美容師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄