【美容師のカット技術】broocH 栁亜矢子さん流 『女っぽミディウルフ』#1

第一線で活躍するヘアスタイリストに、今イチオシのスタイルの作り方をインタビュー。今回ご登場いただくのは、一般誌や業界誌でのスタイル提案、ヘアコンテストの審査員などもつとめる、broocHのディレクター 栁亜矢子さん。前編では、忙しいサロンワークのなかで技術を磨くヒントと、今提案したいヘアスタイルを教えていただきました。

broocH 栁さんにインタビュー

「broocH」ディレクター 栁亜矢子さん

フロアで「見て」学んだ若手時代

——美容師を目指したきっかけを教えてください。

小さいころからファッション誌を読むのが好きで、美術や工作などの「作る」ことも好きだったんです。中学生のころは、漠然と「ファッション誌のなかの何かしらの仕事がしたいな」と思っていたんですが、ある日ヘアスタイルの特集を見て「イチから髪形を作り上げる美容師ってすごい」と思って。高校生になるときには、美容師になろうと決めていました。だから、高校卒業後すぐ国際文化理容美容専門学校に入って、卒業して都内のヘアサロンに入社しました。26才くらいで一度サロンを辞めて、ヘアメイクに転向しようと思っていたところ、矢部さん(broocH代表)にヘアメイクも美容師もできる待遇で声をかけてもらって。2006年、一緒にbroocHをスタートしました。

——アシスタント時代、技術を磨くためにしていたことは?

アシスタント時代は、当時のサロンのカリキュラムを、ひたすらこなしていましたね。オーナーのアシスタントについていたうえ、特例でスタイリストデビューが早かったこともあり、みんなが3年かけて学ぶことを1年半で学んだ感じでした。先輩と一緒にどんどんフロアに出されていたし、サロンワークのなかで先輩の仕事を見て、自分から勉強するしかなくて。

——練習時間をとるのも大変だったのでは?

そうですね。基本的に営業中は練習できないので、営業後に毎日のようにモデルさんを呼んで、先輩に頼んで見てもらったり、学びたいことがあれば自分から先輩に「教えてください」と言いに行ったり。何を学びたいかによって、それが得意な先輩の仕事をよく見て吸収することを心がけていました。今になって、仕事の早さならこの人、デザイン的な部分はこの人と、誰に刺激を受けてきたのかわかりますね。とくにデビューから2年くらいのころは、オーナーのアシスタントも兼任していたので、けっこう大変で。自分のお客様を他の人に任せて、オーナーの仕事を手伝ったり…。今だったらあり得ないことですけど(笑)。でも、オーナーの仕事を近くで見られたことは、すごく影響が大きかったと思います。すごい怒られたし怖かったけど、ある一線を越えたらすごく信頼してもらえるようになって…。それが自分の自身につながりました。何より、誰よりも忙しい方だったので、学ぶことがたくさんありました。忙しい中での仕事のスピードや、お店全体をコーディネートすることとかは、そのころに養われたなと思います。

服に似合う「リアル」なヘアスタイルの発信

——一般誌や業界誌でのスタイル発信も多いですよね。

前のお店では、一般誌の撮影はありましたが、業界誌は経験がなかったんです。broocHを始めたころも、知り合いのライターさんから依頼されたヘアカタログとかをたまにするくらいでしたね。徐々に一般誌の撮影が増えるようになって、初めての業界誌は20代後半。一般誌を見た業界誌の方が髪を切りに来てくれて、声をかけてくださって。何度か撮影に参加したあと、まだまだ無名だった私を表紙に選んでくださったんです。そこから、だんだん業界誌の撮影も増えるようになりました。

——発信するスタイルは、媒体によって変えていますか?

はじめは、業界誌への勝手なイメージで、一般誌とは違う、デザインに寄ったスタイルを提案しなきゃいけないのかなと思っていました。でも、個人的にはその感じが苦手で(笑)。『Ocappa』というリアルに寄ったテイストの業界誌で「好きなようにやっていいよ」と言ってもらえて、ファッションページを読む感覚で見れるような作品を作ったら、評価してもらえたんです。それからは、一般誌でも業界誌でも、「一般の人でも可愛いと思える作品を作る」というのを心がけています。昔から、「洋服とヘアとメイクは、共通しているものだ」っていう感覚が自分のなかであったので、トータルで可愛く見えるスタイル提案を続けています。

——作品を考えるときのインプットと、アウトプットのし方は?

インプットは、インスタグラムで海外のヘアスタイルが可愛い女の子をフォローしたり、コレクションや雑誌の写真を見たりすることが多いです。インスタグラムは素人の人が作った世界観、コレクションや雑誌はプロが作るもの。「リアル」はもちろん、「プロの仕事」を見ることも大切だと思うんです。自分らしいスタイルって、ずっと昔から変わらないスタイルというより、トレンドを取り入れたスタイルを作ることだと思っているので、できるだけ敏感に情報をキャッチしていきたいなと思っています。取り入れた情報は、「なぜ可愛いのか」を考えて、キーワードで拾っていきます。「この前髪可愛いな」と思ったら、質感は? 幅は? と考えていって、「抜け感」が出るから可愛いんだ、という感じ。そのキーワードを作品の中で、うまくリアルに落とし込んでいくことを意識しています。

——接客面で心がけていることは?

私の場合、8割が女性のお客様。同性ということもあるので、「押し付ける」のではなく「共有する」という意識を持つように心がけています。ご自分で好きなスタイルが確立されている方も多いので、お客様の世界観やセンスと、自分が持っているものを上手く掛け合わせるような提案のし方ができたらなと。着ている洋服がもっと決まって見えるような、お客様の個性をより良く引き出してあげられる提案をしていきたいです。

——では、最近のヘアスタイルの傾向を教えてください。

レイヤーが入ったスタイルは、相変わらず人気ですよね。今っぽさを出すなら、レイヤーは入れたいところです。アイロンで巻いた感じより、トップからくずすスタイルのほうが今っぽいので、パーマの需要も高まっています。ショートやボブも、定番になってきたなという印象。重めのウルフカットも、やっと一般に浸透してきたなと感じますね。全体で見ると、「動きが出る」というのが共通項かなと思います。

——今、提案したいスタイルは?

引き続き人気のレイヤースタイルを、より女性らしくしたスタイル。ウエイトが低めのほうが今っぽいし女性らしいので、裾がくびれすぎない程度にレイヤーを入れる感じ。スタイル的にはローウエイトでも、顔周りを切り込むことで高めのレイヤーに見えるので、おしゃれ度もアップして周りと差がつくと思います。

栁さんが提案する『女っぽミディウルフ』

人気のウエイト低めのウルフカットを、夏に向けてオーダーの多い肩上スタイルに。ウルフカットでも重さを残すことで女性らしく、顔周りを短めに切り込みつなげることでレイヤー感がアップ、エッジの効いた印象に仕上がる。髪質やクセに応じて、パーマをプラス。髪色は夏の終わりから秋を意識したカッパーブラウンに。

栁さん流『女っぽミディウルフ』のいいところ

1.切り込んでいても大人っぽく挑戦しやすい

2.簡単に動きが出せてオシャレに

3.朝のスタイリングが時短になる

トレンド感満点のミディウルフカットを提案してくれた栁さん。一気にオシャレになれる『女っぽミディウルフ』は、これまでのスタイルに飽きてイメチェンしたい人にもオススメです。後編では、提案いただいたデザインの詳しいカット法をご紹介します。

▽後編はこちら▽
【美容師のカット技術】broocH 栁亜矢子さん流 『女っぽミディウルフ』#2>>

取材・文:山本二季
撮影:奥村亮介(スタジオバンバン)
ヘア&メイク:栁亜矢子(broocH)
モデル:モハメッド・ヤスミン

教えてくれたのはこの人!

栁亜矢子さん

broocH ディレクター

撮影やセミナー講師、コンテスト審査員などで活躍し、サロンワークと両立させている。ライフスタイルや好みに合わせたセンスの良いスタイルは、アーティストやファッション業界からのファンが多く熱く支持されている。
インスタグラム https://www.instagram.com/ayakoyanagi/

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Salon Data

broocH(ブローチ)

住所 東京都渋谷区神宮前5-2-5 MAX&Co.ビル5F
TEL 03-5778-0438
URL http://brooch.jp/

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