キーワードは基本動作と環境整備!『Nalu pu loa』のサロン作りに迫る
1997年に渋谷でオープンした『Nalu pu loa』グループ。現在は原宿、表参道に『Nalu pu loa ohana』『ROOMOO』『Tsum』『BOTAN』の4店舗を展開しており、激戦エリアでハイセンスな方々から支持を集めています。そんな『Nalu pu loa』が、長年お客さまから愛され続けている背景には、サービスの質を高める基本動作の取り組みや、チーム力を高める環境整備がありました。
今回は、代表の西山裕さんにインタビュー。前編では、強い基盤を持つサロン作りに迫ります。
一流企業が取り入れている、基本動作の取り組みとは?
————まず、『Nalu pu loa』が成長を続けている理由は、どのようなポイントにあるのでしょうか?
「『環境』と『教育』を大切にしているからだと思います。『環境』は基本動作と環境整備にとくに力を入れており、基本動作とは挨拶をはじめ、名刺の渡し方、上座下座、クレーム対応をはじめとするマナーなどです。ちなみに基本動作への取り組みはセミナーへの参加がきっかけになり、その講習のなかでは帝国ホテルなどの一流企業が始業前に基本動作の確認を行っていることを伝えていました。
講習内容についてもう少し詳細を説明すると、チーム作りには『262の法則』という考え方があります。『262の法則』とは、どれほど優秀な人間を集めても、その組織は自然と『優秀:標準:不調の比率が、2:6:2になるという』法則です。一流のホテルなどでもこれは同じですが、お客さまは不調の2割が気になりません。つまり、最低限のレベルが圧倒的に高い。
その組織レベルの底上げの第一歩になるのが基本動作の徹底とのことで、そこで『サロンでも取り入れてみよう』と。ちなみに他のセミナーでは、社会人の能力を車にたとえて、こんな指摘を受けたこともありました。『片側の車輪を技術、もう一方をマナーとすると、美容師さんは技術の車輪だけ大きな車に見えます。それだと、前進するのが大変だと思いますよ』と。その時に、『確かに、真っ直ぐに走れるようにならないとダメだな』と思いました。
私たちはこんな風な格好なのでギャップがあるくらいにきちんとしようと思い、今は毎日始業前にスタッフ全員で基本動作の確認をしています」
環境整備でチーム力を高める
————続いて、環境整備について教えてください。
「環境整備は毎日始業前に10分間の掃除をしており、ただきれいにするのではなく、やり方に工夫があります。ポイントは2つで、まずはチーム力を高めるためにみんなで一カ所を掃除すること。続いて細かな汚れを見つけるために、椅子の裏などの狭い所を掃除することです。つまり『みんなで小さなことに取り組む』。これが環境整備です。
ちなみに、導入した理由は『会社は環境整備で9割変わる!』という本を読んだことでした。そのなかには、環境を整えると利益が出ると書いてあって『これは、やるしかないな』と。はじめはスタッフに大切さを伝えても面倒くさがられてしまいましたが、ワゴンの中の配置をすべて統一するなど、細かな整備を続けたところ働きやすくなったことを実感してくれて(笑)。幹部からは『社長、これはすごいですね』と声が上がったこともありましたね」
40歳で経営の勉強を真剣にスタート
————ちなみに、西山さんはオープン当初から経営の勉強を続けてきたのでしょうか?
「いえ、実は40歳前からです。独立したのが27歳の頃なので、10年ほどは勢いだけで運営していたと思います。しかしスタッフが辞めてしまったり、インターネットが普及してきたりするなかで、『このままではダメだな』と。そこで、営業に訪れた材料屋さんに『私は経営の勉強を真剣にしたいんですけど、教えてくれる人を知りませんか?』と聞いたところ、セミナーや知り合いを紹介してくれるなど、そのなかの1社がとてもスピーディーに動いてくれました。
それから、勉強をして『お客さまの満足度追求のために働く』と『人財育成をしながら仕事を楽しむ』という理念を掲げました。そして、『社会に貢献できる企業になること』が私たちの最終的な目標です。
ちなみに今でも、いろいろ本を読んでいて気になったところにマーカーをしてLINEでスタッフに送っています。強制ではないので、『勉強したい人だけ読んでくれればいいな』と」
強い基盤を持つサロン作りの極意
20年働き続けているスタッフもいるという『Nalu pu loa』。強い基盤を持つサロン作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.基本動作への取り組みで、サロンレベルの底上げを図る
2.環境整備でチーム力を高める
3.外部に出て学んだ経営のスキルをスタッフに共有する
後編では、教育方法などに迫ります。
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