評価給制度の導入で魅力的な人財を大切に!『Nalu pu loa』の組織作りに迫る
地道な日々の取り組みで、ファンをつかんでいる『Nalu pu loa』。安定した成果を残し続けている理由について「中期間、長期間の目標を設定して年に1回サロン全体で共有し、スタッフの目線を合わせることを意識しています」と、代表の西山さん。他にも『Nalu pu loa』が、お客さまから厚い支持を得ている背景には、新卒のスタッフには半年間の練習期間を確保する指導方法や、歩合制ではなく評価給制を導入する取り組みがありました。
後編では、強い組織作りに迫ります。
新卒のスタッフは半年間レッスンのみ!
————教育はどのように取り組んでいるのでしょうか?
「新卒のスタッフには、練習だけの期間を半年間作っています。現在のスタイルを導入したのは今年になってからで、それまでは営業時間中に3~4時間ほどレッスンを行っていました。ちなみに練習場所は店舗の1階です。あえて空きスペースにしていて、いつでも練習できる環境を整えています。
レッスン内容は座学、実技、社会人としての考え方についてなどです。とくに、美容師はどうしてもテクニックに走りがちなので、仕事に対しての心構えを伝えることは大切にしています。『自分だけうまくなればよい』という考えを持っている技術者を時折見かけることがありますが、それでは『長期間活躍できないかもしれないな』と。
チームプレイが多い仕事ですから、人からのアドバイスを受け止める素直な心や謙虚な姿勢、また感謝の気持ちや人にうまく伝える力も重要になります。私は技術だけではなく、こういった能力を育てることも大切だと思いますね。ちなみに『Nalu pu loa』ではスタッフの給与を技術だけで判断することはありません」
歩合制ではなく、評価給を導入している理由とは?
————それでは、給与の形態を教えてください。
「歩合制ではなく評価給を採用しています。評価給を導入した理由は、それぞれの強みを、きちんと給料に反映させるためです。たとえば営業はいまひとつでも教育がとても上手なスタッフがいたとします。そのスタッフは、歩合制ではそれほど評価をしてもらえないので『自分は会社に貢献できていない』と思ってしまうかもしれません。しかし、絶対にそんなことはありません。
美容師がひとりで売上げることができるのはだいたい100万円前後で、それ以上を狙うためにはアシスタントの存在が必要になります。それでは、そのアシスタントは誰が育てたのか? 多くの場合は、先ほど例に上げたスタッフが丁寧に教えてくれているので、会社にとって必要な人財としてしっかり評価しなければなりません。
また、総合的に評価をしていると40代以上になっても管理職などのポジションを用意することができます。他にも、役職が高ければ退職金も多く支払う制度も整えており、普通の会社と一緒です。ちなみに、私は過去に歩合制の大手のサロンで働いたことがあり、経験上、売上を上げている美容師ほど遅刻をするなど規律を乱しやすい傾向がありました。数字を上げているからオーナーは何も言えず、その結果組織が荒れてしまい、最後には独立をして立て直しが大変。『それでは強い組織にはなれないな』と」
スタッフの声には必ず耳を傾ける
———— 他に、組織作りで工夫していることはありますか?
「ランクごとに毎月面談を行ったり、アシスタントにアンケートを配ったりして会社への要望を聞いています。大切なのは、そのなかで上がってきた意見を無視しないことです。『できない』と思った時は、『これは難しい』ときちんと伝えています。
他にも『上の立場の人間は部下に愚痴ってはいけない』という考えを浸透させることも大切です。後輩はそう思っていなくても『そうですね』と言わざるを得ないので、雰囲気が悪くなるだけで、何も解決しませんからね。もし意見があるなら上のポジションのスタッフに改善を求めてほしいと日頃から伝えていますね」
————最後に今後の目標を教えてください。
「残された人生のなかで、美容業界のために働いていきたいですね。『表参道、原宿』というエリアが盛り上がらなければ、お客さまに足を運んでいただけないので、『Nalu pu loaのことだけを考えていても、本当に魅力的なサロンにはなれないな』と。
そのために、まわりのサロンと協力をして地域を活性化させていきたいです。サロンとしては10年後には10店舗以上の展開を目指しています。急に大きくはなれないですから、小さなことからコツコツ積み上げていきたいですね」
強い組織作りの極意
SNSは若手の意見を聞きながら取り組んでいるという『Nalu pu loa Ohana』。強い組織作りの極意をまとめると、下記の3つでした。
1.レッスンスペースを確保して、新卒のスタッフには練習期間を用意する
2.歩合制ではく、評価給制を導入する
3.スタッフの声に耳を傾けて、必ず反応をする
系列店の4店舗では打ち出してスタイルが少しずつ違うという西山さん。「スタッフの好みを生かしてほしいので、強みにするスタイルについては各店のスタッフで話し合って決めてもらっています」と、やわらかな表情で答えてくださいました。整理整頓が行き届いたサロンの環境を味わいたい方、スピーディーに動きまわるスタッフのサロンワークを体感したい方は、サロンに足を運んでみてはいかがでしょうか。
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キーワードは基本動作と環境整備!『Nalu pu loa』のサロン作りに迫る>>