サロンの成長は人で決まる! 顧客に愛されるための人間力の鍛え方

ここ最近、SNSのインスタグラマーやフリーランスなど何かにつけて個人が注目され、個の時代になったと言われています。理美容業界でも、サロンの知名度より、スタイリスト個人に魅力を感じて指名をする方が増えているようです。

2021年、この個人のブランド力はますます重視される傾向にあり、サロン側はお店のあり方だけでなく、スタイリスト1人1人のあり方もきちんと意識していかないといけません。

そこで今回は、これからの時代に必要な個人のブランド力の育て方について、多くの理美容院で経営をV字回復させた実績をもつ、船井総合研究所で美容室のコンサルタントを務める、田崎昌美(たさきまさよし)さんにお話を伺ってきました。

お話を伺ったのは…

田﨑昌美(たさき まさよし)さん

美容室のコンサルティング部門の統括
20年以上に渡り300件以上の企業の業績アップに携わる。
手がけた企業の多くは即時に業績アップさせる
船井総研のレジェンドコンサルタント。
現在は長年の研究成果の集大成として
年商10億円突破企業の育成に注力。
年商10億円突破を目指す多くの経営者が船井の門を叩いている

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大手サロンが取り組むスタッフ間における価値観のすり合わせ

これまで、理美容業界は職人的な気質が強く、技術とセンスがモノをいう業界でした。

しかし、近年少しずつ流れが変化し始めて、お客様の意向も、俳優やモデルに寄せるといった流行りの髪型から、「いかに自分に似合う髪型、自分らしいスタイルにしてくれるか」という個性を重視する傾向になりつつあります。

お客様にご満足いただくためには、技術やセンスだけでなく、ひとりひとりの好みや価値観を見極めるヒアリング力やカウンセリング力がより重要となってきています。

『場所のブランド力、店のブランド力が今落ちてきています。ブランド力のあるお店に行ったとしても、お店が目的なのではなく、その中にいるスタイリスト個人を気に入って指名するというケースが多い。お客様の店舗選びの基準は、サロンそのものではなく、その中で働く人に向きつつあります』

このような傾向から、今までは人気サロンという看板をメインに仕事をしてきた大手のサロンも、スタッフ間での理念の共有といった、人間性に重きを置いた教育にシフトチェンジしてきています。

たとえば、離職率ひとつをとっても、担当してくれていたスタイリストの退職はお客様が美容院を変えてしまう大きなきっかけになります。

こちらの図は、「行きつけの美容院を変えたくなる瞬間はどんな時ですか?」という調査結果。

出典元:ミュゼマーケティング F1層のヘア事情調査

見てみると、美容院を変える方の約2割が担当者の退職によるものでした。この結果からも、離職させないために、スタッフの価値観をすり合わせることが今後大切になってくるということがわかります。

『美容師という仕事に対して信念をしっかりと持っている方の方がサロンの定着率が高い。大手の採用の場合は、価値観が同じ方向を向ける人がどうかを見て、技術よりも理念での採用に重きを置きつつあります。
いかに辞めさせないか、続けていけるかはサロンにとって大事なポイントです』

技術研修やメーカー講習をしている場面はどこのサロンでもよく見かけますが、それだけでなく、心のフォローは今後しっかり取り組むことが大切というわけです。

サロンのチームワーク強化のためのすり合わせや、オーナーの価値観・理念の共有など、スタッフ皆が同じ方向を向くことも今後の課題といえます。

愛され美容師はお客様と仲良くなる個別対応力に長けている

 

2021年、時代の流れが個別対応になりつつある中、美容師個々のコミュニケーション能力はさらに重要性が増してきます。

『今後はすべてのビジネスにおいて個別対応に流れが変わります。お客様の流れも大量生産型のサービスを好まず、自分のための個別のサービスに向きます。
自分をよく知っている人に切ってもらいたい。憧れの立地や有名サロンよりも、自分をよく知っている人の方に足が向くということです』

お客様に安心して通っていただくには、お客様のよき理解者となる必要があります。

そのためには、お客様の好みや価値観など、お客様のツボを常に探し、押し続けなくてはいけません。この人に任せれば安心だという考えは技術面だけでなく、考え方や人となりなどトータルでの判断となるからです。

先述した大手サロンの取り組みのように、理念や価値観の部分を店舗全体でしっかりと落とし込むことで、結果として個々のスタイリストの人間力を高めてくれるでしょう。

心の品質をあげるという意識がお客様とのコミュニケーションを丁寧にするので、結果的にお客様の要望や潜在願望を引き出しやすくなり、顧客満足度の向上にもつながります。

技術力はもちろんベースにありますが、それ以上に顧客とのコミュニケーションはしっかりと重点をおいて取り組んだ方がよいでしょう。

お客様からの信頼度が高いサロンはコロナ禍でも売上をキープしている

人のブランド力というのは、お客様とコミュニケーションを取り続けることで生まれる人間的な魅力ですが、そこを強化していくことで「信頼」となってお客様から返ってきます。

コロナ禍での美容院の利用率を調査したデータがそれを裏付けているので見てみましょう。

【女性】コロナ前後※のサロン利用・継続状況/継続理由

※コロナ前:外出自粛要請が出される前のおよそ3月以前のこと、※コロナ後~現在:外出自粛要請が出された後のおよそ4月以降から現在のこと(過去1年間について)

コロナ後のサロン・施設利用者のうち、コロナ前と同じサロン・施設を利用している人は 80%前後。全てのサロン・施設の継続理由の1位は「施術者・スタッフを信頼しているから」。

継続理由の2位は、美容室は「サロンや施設の場所が自宅から近いから」、それ以外のサロン・施設は「サロンや施設、ス タッフの衛生対策がしっかりしているから」。

出典元:ホットペッパ―ビューティーアカデミー 調査トピックス/美容センサス2020年下期

美容院の利用率を見ると、コロナ禍でも約8割が店舗を変更せずに同じサロンに通っているという結果に。

注目すべきは各施設の利用を継続している理由で、技術力で選んでいる人はわずか。62.2%の人は施術者・スタッフの信頼でそのサロンに継続して通っていることがわかります。

価格や、店舗のコロナ対策などを差し置いて半数以上がスタイリストへの信頼で店舗に通っているという結果は、お客様がスタイリストそれぞれに重きを置いている、なによりの証拠です。

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個々のSNS活用で顧客との距離が縮まる

もうひとつ、顧客とコミュニケーションを重ねるうえで欠かせないのがSNSです。

2020年、コロナ禍で大きな打撃を受けたサロンの多くは、お客様とのコミュニケーションが不足していました。

来店時は直接会ってコミュニケーションがとれますが、このコロナ禍のように来店頻度が低くなったり、営業時間の変更などイレギュラーな事態が発生したりする場合、来店時以外もお客様にお店の取り組みや個人の取り組みをスムーズに伝える手段が必要になります。

サロンをあげての取り組みやコロナ対策の掲載ももちろん重要ですが、リアルタイムを伝えられるSNSの場合、スタッフ1人1人の人間性や、サロンの仲の良さをしっかりと伝えることができるのでぜひ活用したいですね。

『本業(理美容院の業務)で業績が悪いサロンはまずお客様と仲良くなる必要があります。店販を強化するにしても、まずお客様と仲良くできないとうまくいきません。
経営者の価値観を180度変える必要があります。
店の技術で売っていたものを、そうじゃない価値観にもっていかないといけないということです。
シンプルですが、価値観を変えるということは非常に難しいので、なかなか実行できていないサロンが多いのが現状です』

また、顧客との関係性を強化していくためにはコミュニケーションツールの強化が課題となっています。

一番必要とされているのはホットペッパービューティーに変わるツール。地元エリアでの集客目線でSNSも展開する必要があります。近距離のエリアにターゲットを絞ったSNSとしては、今後しばらくLINEが一番近いものとなるでしょう。コミュニケーション型のSNSのため、顧客ともコミュニケーションをとりやすくなります。

次に強化すべきはインスタグラムですが、インスタグラムの場合、コロナ対策で店内除菌するスタッフの姿を動画で載せるなど、お店の取り組みを可視化していくのもよいでしょう。

『Youtubeは動画の撮影や編集に手間がかかるので会社がやるにはかける時間や費用に対して明確なリターンがわかりにくいのが難点です。そのため、サロンの販促ツールとして浸透するにはまだ時間がかかりそうです』

あとは、スタイリストのプライベートな部分について、SNSでの発信を促すのも有効です。

美容師個人のアカウントの場合は、ヘアスタイルの掲載だけでなく、その人個人の性格や価値観など人間的な魅力を発信していくと、お客様にも人となりが伝わりやすくなります。担当顧客にフォローしてもらえば良いコミュニケーション手段となるでしょう。

サロン自体を顧客から愛されるスタッフの集合体にできれば、コロナ禍でも負けない経営体制となるのではないでしょうか。そのためにも、スタッフひとりひとりにお客様との信頼関係の構築意識を高めてもらうことが今後のサロン経営には必要となります。

出典元:
ミュゼマーケティング 20代前半の美容院の予算は、5,000円以下。F1層のヘア事情を調査
ホットペッパ―ビューティーアカデミー 調査トピックス/美容センサス2020年下期(P7・P8)

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