【SNS活用術】カラー融合で「イベント時だけのヘアセット」から脱却【Pupalis 山本聖矢さん】#1

「Pupalis」オーナーの山本聖矢さんといえば、髪の毛で花のコサージュ風にアレンジする「フルールヘア」がSNS上で話題に。ご自身のInstagramには、細工に凝ったアレンジ術とカラーを融合した、華やかなヘアアレンジばかりが並びます。

意外にも、もともとSNSが苦手だったという山本さん。フリーランスになったことを機にInstagramを本格運用するも、内容はヘアのバックスタイル投稿ばかりで、当時のフォロワー数はわずか300人。ある日、お客様に施したフルールアレンジが投稿スタイルを変える大きなきっかけになったと言います。「本当はヘアアレンジが大の苦手だった」と話す山本さんが、その後どのように「フルールヘア」をバズらせたのか。

前編では、苦手なヘアアレンジで勝負に出たきっかけ、フルールヘアが拡散した経緯、そして、ヘアアレンジ来店だけで終わらせないための「カラー融合」戦略について伺います。

教えてくれたのは…

「Pupalis」
オーナー 山本聖矢さん

表参道や下北沢、代官山のサロンに勤めたのちに独立。恵比寿のサロンでフリーランス活動を開始。2021年に銀座にプライベートサロンをオープン。独学で技術を磨き上げた末に生み出した「フルールヘア」が大ヒットし、新規予約が困難なほどの人気サロンに。

Instagramはあえて苦手なヘアアレンジで勝負

ユーモラスにお話しするのが上手な山本さん。
終始、笑いの絶えない取材となりました

――ヘアアレンジをメインに投稿するようになったのはなぜですか?

お客様がヘアセットで来店した際に、ヘア飾りを持っていなかったので、髪の毛でお花のコサージュをつくったところ、感動してくれたんです。その方に「SNSに絶対載せるべき!!」と言われ、本格的にSNSを使うことになりました。

でも、実は僕、ヘアアレンジが苦手だったんです。普通、Instagramは自分の得意分野で勝負しますけど、得意なものより苦手なものを載せた方が頑張るんじゃないかなと思ったんです。人様に下手なものをさらすわけにはいかないので、よけい練習するじゃないですか。だからあえて苦手なヘアアレンジ一本で勝負することにしたんです。

――山本さんの代名詞ともいえる「フルールヘア」はどのタイミングで?

先に言っておくと、フルールヘアは後付けなんです。僕がつくるデザインを総称して「フルールヘア」と呼んでいて、お花のセットを意味する既存の用語ではないんですよ。「花のアレンジ」を投稿したら反響が良かったので、あとから自分で名前をつけたという感じ。

ちなみに、フルールとはフランス語で「花」という意味。「お花みたいに一人ひとりに合った色使いや形でつくりますよ」という意味で名付けました。

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今では「フルールヘア」と検索すると真っ先に山本さんのお名前が上がりますが、一体どのようにしてバズったのでしょうか?

――過去の投稿を遡ると、最初の方はマネキンでやっていたようですが。

それは完全に狙ってやっていました。

ウィッグの方が本物の髪の毛よりもアレンジがしやすく、アレンジのクオリティが上がるから。また、当時はハイトーンカラーがまだ流行っていなかったことを逆手に取り、あえて自分でウィッグを染めて、他よりも目立ちやすくしたんです。

現在も愛用中のウィッグ。
その都度カラーを変えて投稿しているのだそう

――他に「フルールヘア」を広めるために工夫されたことはありますか?

効果的だったのはライブ配信です。ヘアについての質問を受けたり、実際にアレンジしているところを見せたり。あとは「すぐ崩れそう」というDMをよくいただいていたので、「これくらい丈夫ですよ〜」と手で振って証明したり。

一方で、来店時のギャップを少なくするという目的も。男性が一人でやっているサロンという時点で行きづらいじゃないですか。華奢な男性をイメージして来店してみたら「意外とデカい人だな…」「ちょっと違うな」と思われるのは嫌だったんです(笑)。ライブ配信中は話し方を柔らかくして、とっつきやすさを出し、自分の好きなことについて話したりして僕の人間性が伝わるように意識していました。やっぱり施術者の人となりがわかると良いみたいで、ライブ配信をすると予約がすごく入るんですよ。

「予約が入るのはイベント日のみ」から脱却するためにカラーを融合

――ヘアアレンジとカラーの融合は山本さんならでは。なぜカラーを取り入れるようになったのですか?

言ってしまえば、ヘアセットだけだと大体は午前中で終わり、午後は暇になってしまうからです。ヘアセットだけでサロンは回していけないなと思ったんです。

そこで、「カラー」を導入して「カラーとセットにするから可愛くなる」という風に見せ方を持っていったんです。当時は、「インナーカラーで遊ぶ」というのをやっている美容師さんがあまりいなかったために注目されやすかったことも、この戦略が上手くいった要因だと思います。

「僕のアレンジは個性的なのでご新規様はほぼオタク」。
舞台やライブ前に「推しの髪色にして」と
オーダーする方が多いのだとか

――Instagramに投稿しはじめたのはいつ頃ですか?

Instagramを本格始動して2ヶ月後くらいにカラーをやり出したのですが、そのときに撮り貯めしていた写真を半年〜1年かけてまとめてアップロードしました。最初はウィッグでフォロワー数を伸ばさないと、せっかく投稿しても効果が出ないと思ったからです。

――初回投稿の反響はいかがでしたか?

最初はまだ下手だったので、一発目の反響はいまいちでしたが、何回も繰り返していくうちにコツを掴み、伸びだしたのは5~6回目くらいから。その頃にはいいね! が5000くらいはいったと思います。それからもヒット作が何本か出て、コンスタントに反響がありますね。

――その後のリピート率はいかがですか?

リピート率はすごく良いです。もちろん、カット・カラーの予約で。「ヘアアレンジ×カラー」というスタイルに変えたことで、僕のカラーリング技術を伝えやすくなりました。初来店でヘアセットをしているときにカットやカラーの相談をして次の来店予約を取る、というのがいつものパターンですね。だから、ヘアセットは集客のとっかかりとして捉えています。

ヘアアレンジ投稿1年で成人式予約はパツパツに

内装はすべて山本さんの手づくり。
針金でアートを施した白壁は撮影時の定位置に

――新規客数はかなり増えたとのことですが。

今はセーブしていて、ご新規様は月に5名までと決めているんです。

あと、成人式のヘアアレンジの予約はかなり増えましたね。ヘアアレンジ投稿をはじめて1年くらいでフォロワー数2万人に到達しましたが、その頃には成人式予約はパンパンに。今では、成人式の1年前から予約が埋まっている状態です。24時間稼働してカラーリングをするので、成人式前の3日間は寝られないですね(笑)。

ヘアアレンジ投稿から来店につなげる秘訣

1. リピート率を上げるため、カラーとセットにしたヘアアレンジを提案

2. インスタライブで予め自身の人間性を伝え、来店時のギャップを最小限に

3. ヘアセット施術中にカラーやカットの相談に乗り、次回予約を獲得

「ヘアアレンジ×カラー」で、他とは一線を画すヘアアレンジを生み出した山本さん。カラーを取り入れたのは「ヘアセットだけではサロンを回していけない」というマイナス面を克服する狙いがあったのですね。後編では、山本さんのヘアレンジが唯一無二のワケと、投稿を伸ばすための独自のテクニックをご紹介。

▽後編はこちら▽
【SNS活用術】ヘアアレンジも投稿テクも完全独学! 自分ならではのハッシュタグで一発検索が可能に【Pupalis 山本聖矢さん】#2>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)

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Salon Data

Pupalis

住所:東京都中央区銀座7-3-7 ※詳細は予約時にご案内
TEL:090-3465-6160

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