【SNS活用術】ヘアアレンジも投稿テクも完全独学! 自分ならではのハッシュタグで一発検索が可能に【Pupalis 山本聖矢さん】#2
髪の毛だけで色とりどりの花飾りをつくり上げる「フルールヘア」。その生みの親である「Pupalis」オーナー 山本聖矢さんのもとには、ライブや舞台に足を運ぶオタク女子がひっきりなしに訪れます。
Instagramに投稿したことでヘアセット来店が急増したようですが、「ヘアセットだけではサロンが暇になる」という問題に直面したよう。そこで、ヘアアレンジにカラーを融合させることで、次回のカラー予約につなげることに成功しました。
後編では、唯一無二のヘアスタイルをつくりだす秘訣、投稿を伸ばすために山本さんがたどり着いたテクニックについて教えていただきます。
教えてくれたのは…
「Pupalis」
オーナー 山本聖矢さん
下手だからこそ「真似」ではなく、「腑に落ちる」練習を
――山本さんの技術は「完全独学」ですよね。
僕、これまでにサロンを7回変えているんです。
サロンごとに使っている商材やメーカーが決まっているのですが、僕はずっと同じメーカーを使っていると飽きてしまうので、色々なメーカーのものを使いたかったんです。あと、色々な地域を経験したかったことも理由の一つ。なぜなら地域によって客層はだいぶ変わるからです。地域によって客層はだいぶ変わるので。
「1年くらいで辞めます」と先に宣言して入社して、1年後くらいに辞めて…を何度も繰り返してフリーになったんです。師弟関係を築く前に辞めちゃうので独学にならざるを得なかったという感じですね(笑)。
――気づいたら独学になっていたのですね。
独学とはいえ、きちんと勉強はしています。わからないことはメーカーに電話しますし、成分が不明なものがあればすぐ聞きます。得た知識や情報は冊子にまとめているので、後輩ができたらいつでも教えられる準備はできています。
――苦手だったヘアアレンジを見事自分の力だけで克服できたのはすごいです。
僕、上手い人の真似はできないんですよ。「こっちに髪の毛をひねったらどうなるんだろう」とか実際に試してみないと納得できないので、人に一から教わっても覚えなかったと思うんです。自分で色々考えながら練習する方が合っていました。
――練習するときはどんなことを意識していましたか?
同じものをつくらない。昨日やったアレンジはやらない。
今までやったことがないものをつくるのが練習だと僕は思っているので、毎回違うことをやって、その中に前回の応用を入れていく。既存のプロセスをなぞるのではなく、上手くできる方法を自分で模索するんです。
――フルールヘアのインスピレーションは普段どんなところから?
作品の参考にしているのは植物や虫、動物とか。僕、山登りが好きなんです。
植物や動物って黄金比率でできているので、彼らを見ていれば一番心地いい形がわかるんです。世の中にもともと存在しているものは、一番良いバランスが遺伝子で決まっているじゃないですか。だからそのバランスを覚えるのが一番早いなと。
フォロワー1500人を書き出して分析した過去を活かして
――Instagramの投稿をする中で、集客につながるデザインは何ですか?
メリハリがしっかり出ていて、ごちゃごちゃしていないデザインですね。面はきれいに出ているけど、ポイントでアクセントが入っているような。例えば「花冠アレンジ」や「バラのローアップ」はいいね! 数が多く、投稿すると予約が結構入りますね。アクセントをつけまくっているものは集客という意味ではウケがよくない印象です。
――画像を編集する上で、一枚絵とコラージュはどのように使い分けているのでしょうか?
メリハリがない作品はコラージュにしています。いっそのことメリハリがないものとして振り切って、あえてごちゃっと見せた方が閲覧数が伸びやすいんです。逆にメリハリのあるシンプルなデザインは一枚にして、スワイプさせた方が目立ちます。
これに気づけたのも、以前、フォロワー層を分析していたからだと思います。フォロワーがまだ1500人くらいだった頃、フォロワーを全員分書き出していたんです。
――1500人分も…⁉︎
その人がいつログインしているのか、いいね! を押しているのかを、一人ひとり、一か月分を割り出して(笑)。フォロワーが一番動いている時間帯に投稿するとか、「この子はこういう投稿が好きそうだから、同じような投稿をしてみよう」とか。年齢を設定している人もいるので、それもメモしたり。今思うとネトスト並みですよね(笑)。
――その中に今の顧客はいましたか?
いました! 1500人のフォロワーは覚えているので、お客様に「ずっと前から見てるんです~」と言われて、アカウントを聞いてみたら「あなた知ってる! 5時くらいにログインしていた方でしょ?」って(笑)。お客様には「気持ち悪い」と言われちゃったんですけど、やると決めたことはとことん極めるタイプなので。
――緻密に計算した上での投稿。効果はありましたか?
狙ってバズらせられるので、「今週バズらせよう」と思えば狙い通りの結果に動いてくれるんですよ。やっぱり生活のルーティンに合わせて投稿することも大事なんだなと思いました。
あと、僕が出した結果によると、投稿一つにつきバズる賞味期限は1週間なんです。1週間過ぎるとおすすめに載らなくなるので、最低でも週一でバズる投稿をしていないと伸びないということ。
ただし、わざと期間をあけることで伸びる場合もあります。
――わざと投稿期間をあけるのですか?
いつも見てくれる人は、「最近投稿があがっていないな」と感じるとプロフィールに飛んでくれるみたいで。プロフィールアクセスが多いと必然的にインプレッションが上がるんですよ。わざと3日あけて投稿してみたり、ストーリーもわざと2日は使わないとか、それだけでも閲覧数は全然違いますね。
ただし、毎日頑張って投稿を続けてきた上でのテクニックですけどね。最初から3日おきはダメですよ。
ハッシュタグに自分の名前を入れるのが裏ワザ
ヘアアレンジのみならず、ハッシュタグの使い方にも、山本さんならではのオリジナリティがあるようです。
「見て楽しめる」ヘアアレンジ動画を投稿していきたい
――これから挑戦してみたいことはありますか?
髪の毛に何でも編み込めるようなアレンジ技術を研究していきたいです。今やっているのは文字。推しの名前を編み込んだりとかね。特に漢字だと時間がかってしまうのでサロンワーク向きではないのですが、見ている分には楽しいかなと。今後は集客できるものではなく、「見て楽しい」ヘアアレンジを投稿していきたいですね。
――YouTubeでも動画を上げていますが、そちらの方も?
YouTubeでは素人が見て面白い動画にしていこうかと。例えば、カラーを塗っているだけの動画って観ているとクセになるじゃないですか。作り方を解説するのではなく、コンテストヘアなどを短編集みたいにポンポン上げるのも面白いかなと。YouTubeでやっている人はまだ少ないようなので、美容師以外の人にも需要があると思います。
独自のヘアアレンジを投稿する秘訣
1. 上手い人の真似ではなく、自分の好きなことからインスピレーションを得る
2. スタイルごとに一番映える加工スタイルへ変える
3. 他の投稿に埋もれないように、「自分だけ」のハッシュタグをつける
▽後編はこちら▽
【SNS活用術】カラー融合で「イベント時だけのヘアセット」から脱却【Pupalis 山本聖矢さん】#1>>
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)