【子育て応援メソッド】ママネイリストは孤独になりがち。横の繋がりを広げることで仕事の質が上がった! ネイリスト 堀智子さん♯1
美容業界で働くワーママ・ワーパパに、仕事と育児の両立についてお伺いする「子育て応援メソッド」。今回は、自宅サロンを運営しながら、他のネイルサロンでもパートナーネイリストとして、またO・P・Iネイルデザイナーとしても活動するネイリスト・堀智子さんにインタビューさせていただきました。
ひとりで完結できてしまうネイリストという仕事と、しばしば孤独を感じることになる育児、コロナ禍。孤独感が増していった堀さんは、外へ目を向け、同業者との繋がりを求めました。そして、同業者に認めてもらうことで自信を取り戻すことができ、仕事のペースも質も高まったといいます。小学生と保育園2人のお子さんのママでもある堀さんが、どのようにして同業者と繋がっていったのか、じっくり伺いました。
お話を伺ったのは…
東雲ネイルサロン「NAIL chama」 堀智子さん
短大卒業後、一般企業に就職。並行してネイルスクールで学び、都内有名ネイルサロンに就職。1年後、同僚のネイリストと独立し、渋谷の店舗を共同経営。ママになり10年間続けた店舗から自宅サロンへ移行。現在、東雲ネイルサロン「NAIL chama」オーナーネイリスト、OMVÄG田園調布店パートナーネイリスト、O・P・Iネイルデザイナーとして幅広く活動中。
HP:https://nail-chama.amebaownd.com/
Instagram:@nail.chama @mommy.nail
ネイリストは孤独になりがちなんです
――自宅サロンはいつ頃始められたのですか?
長女(7才)が生後半年のときに自宅サロンに切り替えました。今年で7年目になります。それまでは前職で同僚だったネイリストと渋谷の店舗を共同経営していました。産後、一旦はそちらに復帰したのですが、パートナーもすでにママさんで、お互い2人目を考えることになったときに店舗を維持するのは難しいと判断。それぞれ自宅サロンという形を選択しました。
――自宅サロンはどんなスタイルで運営されていますか?
自宅サロンを始めた当初は、渋谷のサロンから引き継いだお客様のみだったので、土日がメイン。なので、土日休みの夫やわたしの姉妹に子どもをみてもらっていました。平日に予約が入った日は母に来てもらって、週に2~3日稼働する一部営業という形でスタートしました。
このときも保育園を探したのですが、4月入園でないと厳しいんですよね。さらに自営業となると、入園基準に達するポイント実績を作るのは大変。何度も区役所に通って自分の状況を説明し、どうしたら保育園に入園できるかを相談して、絶対に落ちないであろうデータを作り上げて、1才の春になんとか入園することができました。いま長女は小学2年生になり、長男(4才)が保育園に通っています。
保育園の標準時間(延長料金不要の時間)は7:30~18:30。基本的にその時間内でのみ仕事をするようにしています。いちばん早いお客様だと8:30にご予約をいただくので、その日は朝7:30に保育園に送ります。でも、コロナ禍で状況がかなり変わったので、自宅サロンのみで仕事をまわすのはどうかなと考えるようになったんですね。
――コロナの影響で新しい活動を始められたのですね。
もともとネイリストは、ひとりで完結できてしまう仕事なので、孤独になりがちなんです。そして、育児もしばしば孤独を感じるものですよね。そこにコロナの影響で少なからずお客様も減。仕事でも育児でも孤独感が募り、横の繋がりがほしいなと思うようになったんですね。
そんなときに、O・P・Iがネイルデザイナーを募集していることを知り、昨年夏からお仕事をさせていただくようになりました。
――デザイナーってどんなお仕事なのでしょうか。
O・P・Iのジェルを使ってアートを制作し、ネイリストさんたちにO・P・Iのジェルの良さや新色を知ってもらうお仕事です。制作したアートはインスタグラムの公式アカウントに上げられ、O・P・Iの方と一緒にインスタライブに出演したりもします。
O・P・Iの仕事を始めて、人に認めてもらうことも必要だったのかもしれないと思いました。ひとりで仕事をしていると、自信がなくなることがあるんですね。「これは良い」と決めているのは、自分ひとりだけだから。お客様がリピートしてくださるということは、認めてもらえているということなのですが、また別の場所に自分の仕事を認めてくれる人がいると自信が取り戻せることを実感しました。
同業だから分かる価値ってあると思うんですね。「あなたの○○は素晴らしいよ」って言ってくれる人がいたほうがいいんじゃないかなと思います。すべて家にいながらできるお仕事なのですが、同業の方とこういった形で繋がれたことにとても感謝しています。
――堀さんが孤独を感じていた期間は意外に長かったということですね。
長かったですね。でも、自分はそういうスタイルを選んだのだと思ってやってきました。自宅サロンや小さなスペースを借りてひとりで運営するスタイルが一般的になってきているので、孤独を感じている人は増えているのではないかなと思います。
――ひとりで完結できる良さというのもありませんか?
それもあります。自分のペースで仕事ができるし、自分が納得いけばよいので。でも、いざ外に出てみると、人にペースを合わせるのもそんなに悪くないし、誰かと一緒にやることで仕事のペースは確実に上がるんですよね。例えば、いつまでにアートを仕上げなければいけないなど人と組むことで締め切りが明確になります。そのほうが仕事のペースが上がって、形になるのも早いんです。自分だけだと、形にしようと思っているものがそうならなくても、誰からも何も言われないですよね。そういう意味でも、人と関わっていたほうが仕事の質は上がるのかもしれませんね。
週に2回、別のサロンでパートナーネイリストをしています
――堀さんは、別のサロンでもお仕事されているのですよね。
自宅サロンとは別に、週2回OMVÄG田園調布店(https://www.omvagnail.com/)でパートナーネイリストとして施術をさせていただいています。以前からOMVÄGのオーナーさんのアカウントをフォローしていて、ネイリストの募集があったので手を挙げさせていただきました。以前にも募集があったのですが、長男がまだ2才だったのでそのときは眺めていただけだったんです。
OMVÄGには、いろんなネイリストが在籍しています。募集の時点で技術や資格が問われるわけではないのですが、あるレベル以上の技術があって、オーナーとして何かを持っている人たちが集まっています。ワンカラーが得意なネイリストもいれば、わたしはOMVÄGの中ではアートが得意なネイリストとして認知されています。どのネイリストを予約されても一定のレベル以上の仕上がりになるので、お客様は「今回はアートだからわたし。次はフットだからあの人にしよう」と使い分けていらっしゃったりしますね。
――自宅サロン、OMVÄG、O・P・Iネイルデザイナーと多様な活動内容ですが、ママネイリストとしてそのメリットと大変なことは何ですか?
いちばんのメリットは、横の繋がりが持てたことです。自宅でひとりでやっていると、ネイリストの横の繋がりを持つことは難しいです。お客様とお話する楽しさはありますが、こちら側には誰もいない。かなり孤独なんですよね。自分でサロンを作って人を雇うとか、サロンに勤めて人と繋がるという形もありますが、いまのわたしにとってはこのスタイルのほうが自由だし、横の繋がりも作れていいなと思っています。
O・P・Iネイルデザイナーの仕事は、作品を作って発信するのがメインなので、サロンとは違って時間の使い方が自由なところがいいですね。すべて自宅でできるので、外出する際の時間や子どもの預け先などを気にしなくてすみます。新色が出る時期に合わせてデザインを作るので、締め切り間近になると、子どもが寝てから仕事をしたりする夜もありますけどね(笑)。
堀さんが外に目を向けることで得たものは
自宅サロン、育児、コロナ禍で孤独感が増していったという堀さん。保育園の標準時間でのみ仕事をすると決めたルールの中で、横の繋がりを広げることを試みた結果、以下の3つを得ることができました。
1. 同業者に認めてもらうことで自信が取り戻せる。
2. 仕事の質が上がる。
3. 孤独ではなくなり、横の繋がりができる。
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ママネイリストさん向けのセミナーも開催している堀さん。後編では、セミナーでどんなことをお話されているのか、また立ち上げたばかりのママアカウントをどんなものにしていきたいのかもお伺いします。
取材・文/永瀬紀子