目指すのは業界全体の技術力向上と発展。トップリーダーとして果たすべき役割【アイラッシュサロンGilfy/ジルフィー代表 中野沙耶香さん】#2

国内外のコンテストで多数の受賞をするなど、その高い技術力が支持されるアイリスト・中野沙耶香さん。サロンオーナーとしてだけでなく、アイリスト養成インストラクターや商材プロデューサーといったさまざまな顔もお持ちです。
前編では、マツエクとの出会いや技術力へのこだわりをお聞きしましたが、後編ではアイラッシュを起点とした他事業への展開について伺います。トップリーダーとして業界全体を見据えるその広い視野は、多くの美容関係者にとって大きな刺激になるはず!

新事業の展開
ニーズを追求した結果、多角的な事業展開に

業界全体を盛り上げるため
アイリストの支援やネットワークづくりにも積極的な中野さん

──サロン経営以外に、アイリスト養成インストラクターとしても活躍されているそうですね。

2015年頃、ボリュームラッシュが日本に入ってきましたが、シングルよりも長い施術時間と高い技術力が必要なため、なかなか普及しませんでした。私自身も知れば知るほど何が正解かわからなくなって…。一度興味がわくと納得いくまで突き詰めたくなる性格なので、実際に本場の技術を学ぶため、LAとイギリスのトレーニングに参加。技術の追求にのめり込みました。

ただこの素晴らしい技術も、そのままの技術では日本人の骨格やまつげ、ライフスタイルにはマッチしにくいというのが私自身が感じた率直な感想でした。

──海外で感じた課題を、どのようにクリアしたのですか?

お客様がイメージしやすいよう、各国のトップクラスの技術に日本の安全性と繊細さをプラス。さらに日本人の骨格やライフスタイルに合わせアレンジを加えた、「日本人のために日本人が仕上げるmade in Japan volumelash」をコンセプトに掲げ、お店にいち早く導入しました。

当店で施術を受けたお客様からは、今までにない仕上がりや地まつ毛への負担の軽さなどが、大好評。特に地まつ毛が少ない・短い・細いなどお悩みを抱えたお客様には、本当に喜んでいただけました。

──試行錯誤したかいがありましたね!

このボリュームラッシュの安全性や素晴らしさを正しく伝えたい一心で、インスタグラムで発信するようになったんです。するとお客様や、視察に来る同業者さんが全国から激増。「仕上がりが全然違う」「この仕上がりを学びたい」というお声をたくさんいただくようになり、講習という形できちんと教えることにしました。

やるからには、海外で学んだことをそのまま教えるのではなく、「断言できる理論・技術」を自信を持って伝えられる内容にしたかった。そこで半年以上かけて、サロンワークを通して日本人に施した場合の仕上がりや持ち、戻って来た時の状態を検証。お客様やスタッフからのフィードバックも漏らさず把握しました。準備が整うまで、講習を希望してくださる方にはずいぶんお待ちいただきました。

──技術に妥協しない中野さんの姿勢に、協会も太鼓判を押されているんですね。

ボリュームラッシュは、技術的にシングルより難しいとされています。そのため、曖昧な施術による危険性を懸念されていた協会理事から、「中野の技術なら大丈夫」とのお墨付きをいただいたこともあり、、ボリュームラッシュの教育にも携わるようになりました。認めていただけたことは、素直に嬉しかったですね。

──現在はアカデミーも運営されていますね。

講習を続けるうちに、受講希望者が増えて1人では手が回らなくなってきたので、アカデミーとして法人化しました。技術者を断念せざるを得ないサロンスタッフの中には、講師が向いている子もいて、アイリストのキャリアプランの選択肢が増えたのではないかと思います。

現場に入れなくなった時に、退職という選択肢ではなく、技術者としての経験や知識を生かした道もあると思うんです。全国のアイリストさん、サロンさんが、お客様に喜んでいただくためのサポート側として、活躍できる環境を整えたいと考えています。

──その後、アイラッシュ用品の企画・販売を行う株式会社ラシェストジャパンを設立されています。

当初は、アカデミー受講生様向けに効率が上がる使いやすい商材があればとスタートしました。正直、膨大なストックを抱える商材企画はそもそも頭にありませんでしたが、流れで(笑)。受講生様が増えるにつれ、口コミで色々な方から商材を使いたいという声が挙がり、たくさんあった在庫がスッとはけていきました。

「使いやすい」「こんなのが欲しかった」「ラシェストラッシュクチュールのじゃないと時間がかかって無理!」といったメッセージをたくさんいただき、必要としてもらえるならばと一般向けにも販売をスタート。徹底的に「プロ目線」にこだわったオリジナル商品を展開しています。

中野さんプロデュースの商材ブランド「Lashest lashcouture®︎」。
多くのアイリストに支持されています

──もともと、マツエクを起点に多方面へ事業展開しようというプランをお持ちだったんですか?

全くありませんでした。今でも、誰よりも高技術・スピーディーな生涯現役アイリストでありたいと思っています。その他は、何かニーズや課題があって、そこを解決していくうちに…といった、自然な流れでここまで来ている感じですね。

──商材企画への投資など、大きな勇気が必要なことですよね。経営についての勉強もされたのでしょうか?

勉強しなきゃと思いつつ…(笑)。ただ、アパレルの仕事をした時にお店を任せてもらった経験があるので、ごくごく基本的な知識はあるかな。あとは、同業の経営者の友人に相談したり。

──経営者同士のネットワークは大切ですね。

友達や家族はもちろん応援してくれますが、具体的な相談をしても「?」だと思うし、結局、決断するのは自分だからあまりしないかな。経営者は孤独だと聞いていましたが、ほんとそう(笑)。だから、情報交換できる仲間は絶対に必要。20代の頃、スタッフ管理について悩んでいた時があったので、勉強だと思って自ら労働基準監督署へ行きました。職員の方から「自ら来る経営者は珍しい」と笑われましたけど、人材マネジメントについて考える良い経験になりました。そうやって得た知見を、今度は他の経営者さんにも伝えていきたいですね。

──同業の皆さんとさまざまな経験を共有することで、アイリスト業界を盛り上げていきたいとお考えですか?

サロンだけの頃は業界を引っ張るというイメージはなかったけれど、講師をやったりイベントに呼んだりしてもらううちに、業界における自分の立ち位置や責任の大きさを意識するようになりました。アイリストを支援するプロジェクトTokyo_eyestagramの立ち上げにも関わりましたが、横のネットワークや技術力向上の場をつくることで働く環境を整え、業界全体の価値の底上げ、技術向上につなげることを目指しています。

今後の目標
出産を経験したことで変化した価値観


──女性がメインの業界だからこそ、職場環境の整備などは特に注力したい部分ですね。

どこのサロンでも人材不足に頭を悩ませていますからね。中でも、ボリュームラッシュは一人前になるのに時間がかかります。結婚や出産などライフスタイルが変わっても、長く働き続けられる業界にしたい。自分自身が2020年に出産を経験したこともあり、それは非常に強く感じています。

──子育てとの両立はいかがですか?

家族やスタッフに助けられています。今は、午前中は子どもと過ごした後、12―20時と時間を決めて働いています。どうしようもない場合は、子どもを連れて出社することも。以前のように夜中まで仕事をするなんて働き方はできなくなりましたが、制限されるからこそ余計に仕事が楽しくなりました。子どもも可愛くてたまらないし、とても充実しています。

──周囲の理解と協力があってこそですね。

本当にその通りです。今まで出産・育児が理由で退職していったスタッフたちに、経営者として、彼女たちに寄り添い、協力してあげられることがもっとあったんじゃないかなって思うことがあります。

つわりは本当に辛いし、大きくなるお腹は動きにくい。子供は本当にしょっちゅう風邪ひくし、でも子供たちが頼れるのはママだけだから。産後の体はボロボロで、そんな中、家事と育児をこなしつつ仕事をしているママってスーパーマンだと思う!だからこそ職場では安心して働ける環境を整えて頑張るママたちを守ってあげたいって思うようになりました。妊娠中はもちろん出産後も安心して戻って来られるような職場をつくっていきたいです。

──最後に、アイリストをはじめ美容業界で頑張る人へメッセージをお願いします。

自分自身が昔から思っていることなんですが、「やらなきゃいけない」じゃなくて、仕事にはワクワク感を持って取り組みたいと思っています。言葉の使い方ひとつで、同じ事柄がポジティブにもネガティブにもなったりするから、相手に与える印象も180度変わってしまうこともある。だからこそ自身の発する言葉には責任を持とうって日々思ってます。

どんな仕事も自分で選んだわけだから、誰かにやらされるって思うんじゃなくて、その中でも自分の強みを見つけながら、自分にしかできないと思ってこなした方が絶対有意義。同じ1日をどう過ごすかは自分次第だし、どんな仕事もやらなきゃいけないと感じながら過ごす1日はもったいないなって思うんです。

私たちの仕事はその時その時お客様史上1番のキレイを引き出すことができる最高のお仕事だから「お客様を輝かせているんだ」という誇りを持って、日々どう変身させるかワクワクしながら仕事に向き合っていて欲しいし、お客様を輝かせることで自分自身もキラキラ輝いていて欲しいです。その意識が業界全体の発展につながると思うので、みんなで瀬在琢磨して業界を盛り上げましょう!

中野さんの成功の秘訣

1.「好き」を極めることでオンリーワンとなる

2.どんな時もお客様ファースト。技術力の妥協はしない

3.トップランナーとしての責任感とプライドを持つ

取材・文/黒木絵美
撮影/柴田大地(fort)

 1
2
求人数3万件!リジョブで求人を探してみる

Salon Data

Gilfy(ジルフィー)
住所:町田市原町田6-18-13 サニーサイドビル2
電話:042-860-6766

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くのアイリスト求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄