丁寧な感染対策と発信、ネイルケアで新規客を獲得!/Felicia 小笠原友紀子さん #1
新型コロナウイルスの流行を経て、これまでと同じ働き方が難しくなってきた美容業界。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、他のサロンはどんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果は?
今回はネイルケアセミナーなどで人気を集めているネイルサロン「Felicia」小笠原友紀子さんにインタビュー。ネイルサロン衛生管理指導員の資格も持つ小笠原さんは、コロナ禍での感染対策について丁寧に発信し、多くのネイルサロンやお客様から信頼を集めました。
前編では、2020年2月以降のサロンの様子と、小笠原さんが取り入れた感染対策、約1年間の売り上げの変動についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
Felicia 代表 小笠原友紀子さん
JNA本部認定講師、ネイルサロン衛生管理指導員の資格を持ち、多くのネイルケアコンテストで受賞。2011年、東京・仙川に「Felicia」をオープン。サロンワークを中心に、スクール講師、セミナー講師など幅広く活躍中。
Instagram:@yukiko_ogasawara63
緊急事態宣言から1カ月半、サロンを休業
——2020年の新型コロナウイルス流行当初のサロンの様子はいかがでしたか?
いろいろニュースで流れ始めた3月くらいから、徐々にお客様のキャンセルが増えて行きました。緊急事態宣言のウワサが出た3月の後半には、長期間サロンに来られない可能性を考えて、オフをされるお客様もかなり増えました。
——一回目の緊急事態宣言後は、休業されたんですか?
サロンは宣言後からお休みにしました。休業中スタッフには、お客様にお送りする無料のネイルオフキットを作ってもらったり、営業再開後に使えるクーポンとマスク2枚に手書きの手紙を添えてお客様全員に郵送してもらったりといった作業を、自宅でお願いしました。
うちのサロンは年配の方も多いので、「どうしてもオフしたいけど自分ではできない」という方の対応だけ、休業中も私がしていました。宣言が開けたタイミングでスタッフにも出勤してもらったので、実質1カ月半ほどの休業になりましたね。
——小笠原さんはネイルサロン衛生管理指導員の資格をお持ちですが、関連する稼働などはありましたか?
稼働はありませんでしたが、協会からはコロナ対策についてのマニュアルがしっかり送られてきました。改良されたものが何回か届いたので、情報のアップロードができて助かりましたね。そのマニュアルに沿って対策が取れたので、とてもありがたかったです。
ブログやインスタグラムで感染対策についてこまめに発信
——営業再開後に取り入れた感染対策を教えてください。
休業中にできることは全部しました。スニーズガードを設置し、お客様用の椅子やフットチェアは消毒しやすいように布製から革製に替え、タオル類は使い捨てペーパーにして…。スタッフにもマスク、フェイスガード、手袋の着用を徹底しました。
また密にならないように、同時に稼働するスタッフの人数を減らしました。3席のコンパクトなサロンなので、以前はスタッフ3名がフル稼働していましたが、コロナ以降は2名で間の席を空けて営業しています。
営業再開後の6月には、ドアノブやお手洗い、ジェルライトなど多くの人が触れる場所や物に、抗除菌・抗ウイルスコーティングを施工しました。
——そういった対策についての発信も、先駆けてやられていた印象です。
主にサロンのブログとインスタグラムで、こまめに発信するようにしていましたね。文字で詳しく書いたり、スタッフに動画を撮ってもらって配信したり。
そういった発信は、お客様がどういうお店だったらコロナ禍でも来たいと思うかを一番に考えて制作しました。営業再開後、新規のお客様のなかには、対策をしっかりしているサロンを探していて、ブログやインスタグラムを見てFeliciaに来たという方が多かったんですよ。
ネイルケア、地元密着が強みになり、新規客が増加
——売り上げの変動はいかがでしたか?
休業中の4・5月は、ほぼ売り上げはゼロでした。でも6月以降は思いのほか、お客様の戻りもよかったです。7月は元々、夏前の繁忙期ではあるんですが、そこで3月よりも売り上げがあったので、ひと安心しましたね。
——お客様が戻った理由は?
来てくださったリピートのお客様からは、「手書きのお手紙が嬉しかった」という声をよくいただきました。人に気軽に会えない時期でしたから、そういった交流を求める方が多かったのかなと思います。
——きちんと感染対策をしているサロンだからというのも大きそうですね。
そうですね。「ここなら行っても大丈夫かも」と思っていただけたのかなと思います。お互いに感染対策をした上ですが、サロンでネイリストとコミュニケーションが取れることを、すごく喜んでいただけたんですよね。対策をして良かったなと思いました。
7月以降、新規の方も増えたんです。理由を聞くと、会社に通勤しなくなったことで、都心のサロンに通われていた方が最寄駅でネイルサロンを探すようになったようでした。
あと、ケアに力を入れているところを探していた、という方も多かったです。アルコール消毒が当たり前になって、カサカサになった手をどうにかしたい、と。
もともとFeliciaは地元のお客様が多く、ネイルケアに力を入れているサロンです。コロナ禍になって改めて地域密着の強さ、ネイルケアの大切さを感じましたね。
丁寧な感染対策と発信が、営業再開後の新規客獲得につながったという小笠原さん。もうひとつ決めてとなったのは、小笠原さんが長年力を入れてきたネイルケアでした。
後編では、そんな小笠原さんのネイルケアセミナーのコロナ禍での変化、サロンでの勤務体制の変化についてお聞きします。
取材・文:山本二季
撮影:高嶋佳代