トリートメント特化型サロンで差別化し、カスタマイズという「特別扱い」で顧客満足度アップ!「新・私のトリートメント」

日本ではコンビニよりも多いといわれている美容室。それほど独立という選択肢は、美容師にとって珍しいものではありません。しかし結果が出ず、消えていくお店があるのも事実。今回お話を聞いた山口一人さんも、一店舗目の経営ではだんだんとスタッフ、お客さまが減ってしまった過去があったといいます。

ですが次に開いたお店では、マーケティングの視点を学び大逆転。トリートメント特化型サロンでほかと差別化し、お客さま1人ひとりにあったトリートメントを提供するという「特別扱い」によってリピートにつながり、経営を安定させているそうです。

今回お話を伺ったのは…

山口一人さん


美容師・ビデオグラファー

理容師として5年ほど働いたのち、美容師に転身。2017年にトリートメント特化型サロン「新・私のトリートメント」をオープンさせると、今までになかった形態が人気を呼び、リピーターを増やしてきた。現在はオーナー業のほかにも、ヘアメイクから動画作成・編集までひとりで行う結婚式のオープニングムービー作成を仕事にしており、そのクオリティの高さで話題を集めている。
山口さんのInstagram:guchiyama_wedding

トリートメント特化型サロンで、差別化に成功

落ち着いてカウンセリングを受けてもらえるよう、席と席との間に仕切りを作っているという「新・私のトリートメント」

──トリートメント特化型のサロンを開いた理由を教えてください。

専門性を出したほうがほかと差別化しやすいと思ったのと、デザインを売る前に髪の悩みを解決するのが先かなと思ったからです。うちのサロンではオージュアトリートメントという商材を使っており、このトリートメントを扱っているサロンはほかにもたくさんあるのですが、それだけを専門にやっているところはなかったため差別化ができ、髪質に悩む層にリーチができました。

業務委託のお店を経営していたとき、最初はうまくいっていたのですがだんだんスタッフとお客さまが減るという状況になってしまって。そこでマーケティングについて学び、席数は少なく、単価の高いお店を作ろうと思ったのが、このような形を考え出したきっかけです。

──具体的にはどのように施術をされているのでしょうか?

1人ひとりにあわせ、トリートメントをカスタマイズできるメニューを提供しています。スタイリストがカウンセリングをしながら、お客さまの髪質を見て、トリートメントを提案します。施術のあと「自分の髪じゃないみたい」ととても喜んでくれる方が多く、最初から手応えを感じました。

カスタマイズという「特別扱い」と、課題解決後のデザイン提案でリピーターを獲得

──カスタマイズという形にしたのはどうしてでしょうか?

マーケティングについて学んでいたときに知ったのですが、お客さまがお店に来なくなる理由というのは、自分に興味を持ってもらえなかった、ほかと同じように扱われたという理由が多いんだそうです。そこでカウンセリングをていねいに行い、1人ひとりにあわせたトリートメントを提案する形にしました。

僕自身も自分に興味を持ってもらえず、不満をもった経験が過去にあって。あるとき首に大きなニキビができて、顔全体が脈を打ってるような感じになったことがありました。初めてのことですごく不安になって病院に行ったら、とくに話しも聞かずに「ニキビですね」と冷たく言われて。先生は間違ってないと思うんですけど、もう少し話しを聞いてほしかったと思ったんです。逆に夜中にじんましんが出てかゆくて寝られない経験をしたときに、病院に行ったら、もうじんましんは消えていたんですけど、先生が「それはつらかったですね」と言ってくれて。どんな施術をするかより、話をとにかく聞いてもらうことの大切さを痛感しました。

──なるほど。リピーターも多いとお聞きしましたが、何か心がけていることがあるのでしょうか?

デザインを売るのをあとまわしにして問題解決から入っていて、顧客満足度が高いことと、問題解決のためにトリートメントに通ってもらっているうちにコミュニケーションをとって、デザイン提案につなげるようにしていることが大きいです。課題解決型のサロンにしてしまうと、解決したあとにお客さまは来なくなってしまうので、改善のために通っていただいている間にさりげなくヒアリングを行い、デザインを提案していくようにしています。

初めて会ったお客さまにいきなり似合うデザインを提案するのは難しいですが、コミュニケーションによってお客さまのことを知ることができれば、似合うスタイルの提案もしやすくなり、それがリピーターにつながっていると感じています。

1ヶ月トリートメントし放題キャンペーンとヘアアレンジ動画で集客に成功

最近ではブライダルのヘアメイクも担当している山口さん

──集客は最初からうまくいきましたか?

最初に1ヶ月トリートメントし放題というキャンペーンを行うことで、集客に成功しましたね。具体的にはカット、カラー、トリートメント10,000円のクーポンをご利用のお客さまに対して、初回来店日から1ヶ月トリートメント無料になるというキャンペーンでした。3回来店すると固定客になりやすいというデータと、トリートメントが2週間くらいで落ちてしまうというお声をいただくことが多かったために考えたキャンペーンです。

基本的には2週間ごと、1ヶ月で計3回の来店をお勧めしまして、まれに5回以上来店される方もいましたが、ほとんどのお客様は狙い通り3回の来店。お店とお客さまの間に信頼関係を築くのが目的だったので、トリートメントだけの来店時もシャンプー代などは頂かず完全無料にしていました。ほかにはあまりないキャンペーンだったのでインパクトが強かったようで、反響がとても大きかったですね。

──なるほど。キャンペーン以外にも何かやっていることはありましたか?

インスタにヘアアレンジ動画を出していて、それがバズって一気にフォロワーが増えたので、そこからも集客につながっていきました。

──現在はフォロワーが1.7万人もいらっしゃいますね。バズったことで徐々にフォロワーが増えていったのでしょうか?

そうですね。最初は増えていましたが、最盛期に比べると実はフォロワー数は減っているんです。とくにちょっと前に出したダンス動画ではごっそり人数が減りました(笑)。何かの勉強をしていたときに、自分のコンプレックスを出した方がいいというのを読んだので、苦手なダンス動画を出してみたらどうかなと思いやってみたのですが。ただそこで自分のことをちゃんとわかったうえで、ファンになってくれた人もいるので、結果的には良かったかもしれないです。どちらにせよこのヘアアレンジ動画によってブライダルの方向に進むことにもなったので、自分の道を広げてくれましたね。
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「新・私のトリートメント」が経営を安定させた3つの理由

「新・私のトリートメント」が経営を安定させた理由を伺うと、以下の3つでした。

1.トリートメント特化型サロンで、髪質に悩む層へリーチし、認知を広げた

2.ていねいにカウンセリングを行い、1人ひとりのお客さまを特別扱いして、満足度をアップさせた

3.課題解決のために通ってもらっている間にコミュニケーションをとり、それを加味したデザイン提案でリピーターを獲得した

後編ではオーナーとしてサロンを経営しながら、結婚式のオープニングムービー作成など新たな仕事を広げている山口さんにそのコツを伺います。経営をしながら新しいことに挑戦するためには、スタッフの育成も不可欠。お店を任せるにあたってスタッフには100点を求めなくなったこと、葛藤をしながらもスタッフ育成への姿勢に試行錯誤されている点もお話しいただきました。

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Salon Data

新・私のトリートメント
住所:東京都新宿区西新宿7-9-13 大国屋15ビル3F
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