小さな心配り×大胆なサービス!「移動式メイクアップルームABIE」駒﨑由美子さんの強い組織を作る3原則

「株式会社kaplus」は美容室、ヘアメイクスタジオ、フェイシャルサロンを展開している美容のプロフェッショナル集団。2019年にはコンテナを改造した移動型美容室、「移動式メイクアップルームABIE」を生み出し、店舗を飛び出して成長を続けています。

前編では、そんな「株式会社kaplus」の代表取締役・駒﨑由美子さんに強い組織を作るための方法について伺います。「スタッフはお客さまに、経営者はスタッフに全力投球を注ぐことが大切です」と語る駒﨑さん。その言葉の背景には、新卒にこだわる採用や若手美容師から支持を得る斬新なサービスがありました。

今回お話を伺ったのは…
株式会社kaplus 代表取締役 駒﨑由美子さん

某大手システム会社の派遣社員としてキャリアをスタート。総務や経理などの事務面を担当した後、上司の独立をきっかけに経営に興味を持ち同時期に退社(26歳)。ビジネスパートナーとなり会社の立ち上げを一から経験する。28歳のとき、当時の担当美容師から聞いた「独立したい」という言葉をきっかけに「株式会社kaplus」を設立し、そのスタイリストとともに「abie hair」の1号店を江東区の千石にオープン。現在は「abie hair 西大島店」「abie hair 住吉店」「abie 市川店」「AOYAMA Hair & make up salon CARINO」「moisteane 住吉」の5店舗を展開。また、2019年にはコンテナを改造した「移動型美容室」、「移動式メイクアップルームABIE」を生み出し、ヘアメイク事業もスタート。
abie 西大島店
abie 住吉店
abie 市川店 
moisteane 住吉サロン 
AOYAMA Hair & Make up salon CARINO 

スタッフはお客さまに、経営者はスタッフに全力投球を!

JR市川駅南口すぐの市川店。1番人気の店舗です!

――――競争が激しい美容業界のなかで「kaplus」は今年、創業18年目を迎えます。強い組織を作るために経営者にはどのようなことが大切なのでしょう?

私はスタッフに目を向けることが大切だと思います。「当たり前だろう」と感じる方が多いかもしれませんが、この思考は美容業界のなかで見落とされてしまいがちなポイントです。業界には美容師出身の経営者が多く、その方々の一部は「お客さまを満足させれば会社の業績は伸びる!」という強いプレイヤー思考を持っています。この考え方では、お客さまに目が行きすぎるあまり、サロンの環境整備を始め、採用、育成に手が回らず組織として強くなれません。

一方、私は畑違いの業界から参画した経営者です。カット、パーマ、カラーなどの技術がありませんから、お客さまへのサービスは100%スタッフに任せて、私自身はスタッフに目を向け、みんなが楽しく生き生きと働くことができる会社作りに力を注いでいます。もしかしたらそれが、美容業界のなかで生き抜くことができた理由かもしれません。

――――それでは業界の知識が無いなかで、どのように組織を作り上げていったのでしょうか?

オープンから約5年間は毎日サロンに通い、バックヤードで仕事をしながらスタッフと会話を交わし、業界の実態を掴んでいきました。そのなかではたくさんの気づきがあり、そのひとつが劣悪な労働環境でした。スタッフと話をしていると「業界では就業時間外に練習をすることが当たり前で、社会保険に加入していないサロンも多い」とのことで…。噂で聞いたことはありましたが想像以上に酷いなと思いました。

そこで「kaplus」では、社会保険の完備を始め、完全週休二日制や就業時間内のレッスンなど、働きやすい体制を整えました。ちなみに私は開店から5年間ほどは他の仕事で生計を立てて、美容事業から収入を得ていませんでした。1人が経営に専念した状態でサロンを運営するためには、2店舗以上が必要だと思いますね

強い組織を作るために、新卒をひたむきにコツコツ育てる

教育型サロンを目指し新卒採用にこだわっています。

――――労働環境の他に、組織を作るうえで重点的に取り組んだことはありますか?

中途採用を止めて新卒採用に絞ることを決めました。創業3年目ごろまでは中途採用も行っていましたが、実際に働き始めると以前勤めていたサロンと比較をしてネガティブな発言を繰り返すなど、ほとんどの場合が組織によい影響を与えませんでした。もちろん、中途のなかにも魅力的な美容師はいて今もサロンで活躍をしています。しかし、その確率があまりにも低い…。穴ぼこだらけの組織にならないためにも、新卒をひたむきにコツコツ育てることが大切だと思います。

――――穴ぼこだらけの組織について、もう少し具体的に教えてください。

会社の理念や技術が、社員全員に浸透していかない組織です。中途採用ばかりをしていると、会社として目指しているビジョンの共有がいまひとつできないため、新規事業のスタートなどの転換期が訪れたとき、そこから崩れやすくなります。「所々に無人のフロア(=空洞の状態)が見受けられるビル」と例えてもよいかもしれません。

一方、毎年新卒を採用している組織は、年を重ねるごとに会社への理解が深まり意思疎通も早くなるので、そう簡単に壊れることがありません。「各階が社員で埋まり、上下の階との連携が取れているビル」と言ったところでしょうか。私はこのように、各年代がしっかりと積み重なっている強い組織を作りたいと思っています。

若手美容師に刺さる斬新なサービス「移動式メイクアップルームABIE」

日本空間デザイン賞サービスホスピタリティ部門で金賞を受賞した美しい内装。

――――「なかなか新卒が集まらない」という話を聞くことがありますが、苦戦したこともあったのでしょうか?

設立から数年間は苦戦続きでしたね。最後の最後まで予定人数が集まらず、「今年はもうダメか…」と思っていたところギリギリに応募が届くことが度々ありました。そこで創業10年目を迎えた2015年、「若手美容師に刺さる何か新しいことをしよう!」と思い「移動式メイクアップルームABIE(アビー)」の構想を考え始めました。(移動式メイクアップルームABIEの詳細はコチラ

コンテナのなかを美容室に改造したこの移動型美容室には、エンタメ業界から視線が集まり、これまでに野外撮影用のメイクルームや控室として利用されています。

――――とても斬新でユニークなサービスですね。業界内でもかなり話題になりそうですが手応えはいかがでしょう?

本格的にサービスを開始した2019年以来、著名人に利用していただけるなど確実に実績を積んでいますが「まだまだこれからだな」と感じています。しかし、本来の目的であった「採用を強化する」という点では大きな成果がありました。「移動式メイクアップルームABIE」について紹介すると、美容学校の先生や新卒の学生さんはとても興味を持ってくれて、実際にその流れで採用につながることが何度もありました。移動型美容室の企画をスタートしてからは毎年毎年、新卒枠が埋まる時期が早まっています

――――ちなみに、現在はどのくらいのスピードで埋まっていますか?

だいたい1年前に埋まっています(笑)。今年を例に上げると、現在私たちのもとには2023年の4月に入社をする学生さんから連絡が届いています。新卒枠は6名で、おそらく3月頃にすべて埋まるはずです。数年前までは考えられなかった状態なので、もう本当にうれしくてうれしくて!

ちなみに先ほども言った通り、ここ数年の新卒は「移動式メイクアップルームABIE」に興味を持って応募をしてくれました。ようするに、美容師だけでなくヘアメイクにも関心があります。そこで2021年の4月にヘアメイク事業部をスタートし、同年の11月には外苑前に「Aoyama Hair & Make up Salon CARINO」をオープンさせました。このヘアメイクスタジオを拠点にして、私たちは「美容師×ヘアメイク×発信」という革新的なチャレンジをしています。詳細は後編で!

強い組織を作るための3原則

駒﨑さんが「株式会社kaplus」を強い組織に育てあげたポイントをまとめると以下の3つでした。

1:スタッフはお客さまに、経営者はスタッフに全力投球を

2:中途採用を止めて新卒をひたむきにコツコツ育てる

3:斬新なサービスを展開し、若手美容師からの支持を得る

後編では、2021年の11月に誕生した外苑前のヘアスタジオ「Aoyama Hair & Make up Salon CARINO」に迫ります。また、美容業界の課題である「オーバーストア化」を解決する方法についてもフォーカス。さらに「文章術を学ぶことは必ず接客に生きてくる」という気になる言葉も飛び出してきました。後半もお楽しみに!

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Salon Data

住所:東京都港区北青山2丁目12-4 AUSPICE AOYAMA 003
URL:https://www.kaplus.jp/
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