「お客様を喜ばせたい」強い信念から出会ったアイリストという天職【伊東真紀さん|私の就職活動】#1

まつエク業界で20年近く活躍し、現在はアイラッシュサロンAngelaのオーナーである伊東真紀さん。東京・長野という都市型・地元密着店という異なる2店を経営し、どちらも新規が予約困難になるほどリピート客が後を絶ちません。

サロンワークのかたわら、美容専門学校での講師業務やコンテストの審査員、海外での研修など、多岐にわたって活躍をされています。今回の取材では、伊東さんがアイリストを目指すきっかけから現在の地位を確立するまでになった経緯や、仕事への想いを伺いました。

前半では、未経験からどのようにスキルアップされてきたかを具体的に教えていただきました。

お話を伺ったのは・・・

伊東真紀(MAKI ITO)さん

まつげエクステ専門サロンAngela 代表
アイラインエクステ 発案者
アイラッシュソムリエ
松風公認エデュケーター

まつげエクステの先駆者としてまつエクの普及に尽力し、地元長野と東京の2店舗のサロンオーナーとして18年のキャリアを誇る。

現在は施術の傍ら国内にとどまらず中国・台湾でもまつげエクステの講師、自身が発案した印象をコントロールするパーソナル技術【アイラインエクステ】の普及活動のために各地でセミナーを行っており、技術者向けセッションは毎回満席となる人気講師。
わかりやすい理論と高い技術力が評判となり、これまでの受講者が2000名を超えるほど高い評価を受けている。

Instagram:@angela_maki
サロンWEBサイト:https://www.angela-eyelashsalon.com
アイラインエクステオンラインスクール:https://eyelineextention.webmana.jp/profile

子育てとの両立を叶えるため未経験からアイリストへの転職を決意

アイラインエクステのカウンセリングをおこなう伊東さん

学生時代は動物のケアに関わるお仕事がしたいと考えていたそうで、美容については好きという気持ちはあったものの、仕事としては結びついていなかった伊東さん。

――何か美容業界でお仕事をしようと思ったきっかけがあったのでしょうか?

好きなことを仕事にしたいと考えていたのですが、給与面や働きやすさという視点で職業を考えたときに動物関連だとちょっと不安があり、そこではじめて美容業界で働くことに関心を持ちました。

美容専門学校出身ではないのでまったくの未経験でしたが、エステは未経験でも応募できたこともあり、新卒で痩身のエステサロンに入社しました。ただ、当時勤めたサロンがとてもハードワークで、3カ月ほどで体力の限界を感じてしまい、化粧品メーカーに転職。

その化粧品メーカーでは、スキンケアだけでなくメイクの理論も教えてもらい、それが今の仕事の原点になっています。

その後、タイミングよく会社の中で新規の店舗を出店しないかという話があり、お店をやらせてもらうことになりました。当時、立場的には雇われ店長だったので売上に追われて自由度もなく、現場に入ることも少なくなって接客の楽しさが感じられない立場になってしまいました。

現場でお客様としっかり向き合って仕事がしたいと考えていたタイミングで、ちょうど結婚・出産とライフスタイルの変化もあり、子育てとのバランスを考え、独立することを決意しました。

育児をしながらのアイリスト資格取得と美容専門学校通学時代

美容専門学校で講義をおこなう伊東さん

――子育てをしながらの転職や独立はなかなか踏み切るのに勇気が必要だと思いますが、その転機の中でアイリストになろうと思った志望動機や理由はなんだったのでしょうか。

なにか手に職をつけてしっかり稼ぎたいと思って調べた結果、見つけたのがアイリストという職種でした。当時まだまつエクが世に広まっていなかったので、未経験でもチャンスだと感じましたし、アイリストであれば体力的にも場所的にも融通がきくので、仕事と子育ての両立ができるという点も志望動機として大きかったです。

また、せっかく独立するなら少しでも他との差別化を図りたいということと、お客様に少しでも喜んでもらいたいという想いを強く持っていました。

私自身、目の大きさが昔からコンプレックスだったのですが、まつエクを体験したときに自分のコンプレックスが解消されて、これだ!という手ごたえを感じて。

この感動を同じような悩みを抱えるお客様に届けたいと想い、アイリストを目指すことにしました。

――アイリストの資格取得をするために、当時どんな勉強をしましたか?

当時はまだ明確な資格制度すらなかったんです。民間の協会やスクールで数時間勉強をすれば、まつエクの施術ができる時代でした。私は1日完結のまつエクスクールで基礎知識と技術を学び、当時は美容師免許も必要なかったので、未経験のまますぐに自宅で開業しました。

――アイリストになるためのコストってどのくらいかかるんですか?

まつエクの良いところは、材料費もそんなにかからないところにあります。私がアイリストのスクールに通った際は20万円くらいでしたが、それ以外は毛やグルーなど材料費1万円あれば、最低限練習できる環境は作れました。美容師の場合はハサミなど一式そろえるのもそこそこのコストがかかりますし、他職種に比べたらコストが低いのはメリットだと思います。

スクールについては、当時は選択肢がなかったのですが今はいくつか協会ができているので、色々比較して見てみるのが良いと思います。

――実際アイリストに転職してみて、どうでしたか?

化粧品メーカー時代に学んだ知識が、スキルアップにはかなりプラスになりました。まだまつエクサロンが少なかったこともあり、ありがたいことにサロンに来るお客様も順調に増やすことができました。

当時はチャレンジのハードルが低い職種だったので、自己流のアイリストが多かったですね。実際いくつかのサロンでは目元にトラブルが起こった例もあり、そういった経緯から国が介入して、まつエク含むまつ毛の施術については美容師免許が必要になりました。私含めアイリストたちは、みんな働きながら美容専門学校に通ったんですよ。

――働きながらの美容師免許取得はかなり大変そうですね。うまく両立させるコツはあったのでしょうか。

私は、サロンワークに加え2人の子育てを並行しながら美容学校に通ったので、正直かなり大変でした。ただ、通信を利用したので短期間のスクーリングで済んだことと、家族含め周りの方がサポートしてくださったので、助けられながらなんとか美容師免許をとりました。

うちのサロンのスタッフたちも同様に美容専門学校に通いましたので、周りの協力があれば社会人になってからでも、美容師免許とアイリストの資格取得はできると思います。国家資格はやはり強いですし、大変でしたが続けてきてよかったです。カットの練習で顔全体のバランスを見る力も養われた気がします。

その点、現時点で美容師免許を持っている方は、アイリスト未経験でも転職のハードルはかなり低いですね。自分もメイクの理論はかなり役立っていますし、学校で学んだカットの技術の部分で骨格なども学べるので、まつエクに活かせる要素も多く、そういった基礎知識がある方は飲み込みが早いです。

未経験から予約3カ月待ち・海外でも活躍する人気アイリストに成長

美容専門学校での講義の様子

――アイリストの域を超えて、今は講師業でも活躍されているとお聞きしました。

アイラインエクステという独自の技術を開発し、それをまつエク業界大手の松風というメーカーとタッグを組んで技術指導をしています。

メイクアップの知識とテクニックをまつエクに取り入れた技術なのですが、簡単に言うと従来のボリュームや本数を基準としたものではなく、お客様の目の形や骨格に合わせたオーダーメイドに近いデザインを作れる技法です。

この技法は今人気がでてきていて、経験者での転職希望の方や独立志望の方が積極的に受講されています。日本だけでなく、海外の研修もおこなっていました。コロナ以降は、オンラインをうまく活用しながら技術指導をしています。

そういった実績もあり、現在は美容専門学校で講師も担当させてもらっています。

――長野・東京どちらのサロンも、新規予約が3カ月ほど先だと伺いましたが、そこまで顧客数が伸びた秘訣もやはり技術的な面なんでしょうか。

技術面での満足度が高いというのは、もちろんあると思います。

Angelaは、ありがたいことにリピート率がものすごく高いサロンです。特に長野のお店は地域密着型のスタイルなので、とにかく既存のお客様を大事にしようという姿勢で、未経験のところから18年やってきました。新規をとることも大事なのですが、既存顧客が定着しなければ本末転倒なので、まずは来ていただいたお客様にどうしたら満足してもらえるかを第一に考え、サロン経営をしてきました。

技術面はもちろんなのですが、お客様が安心して施術を任せてくれるようカウンセリングに力を入れたり、内装やベッドにこだわって心地よい空間作りもずっと意識してきました。
新しいスタッフにも、未経験・経験者問わず、お客様の求めているカウンセリング力や寄り添うようなコミュニケーションを意識するよう教えています。

そのためAngelaに通ってくださるお客様のほとんどは、信頼関係でつながっていると感じます。コロナ禍でも、行政からの休業・時短要請の影響は多少受けたものの、それ以外でお客様が離れてしまったことはまったくないですね。コロナ前と変わらず、毎月のメンテナンスで多くのお客様に来ていただいています。
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サロンワーク、日本や海外での講師業とマルチな活躍を見せる伊東さん。後半では、技術指導をする立場から見て、アイリストという職種の伸びしろやリピート顧客をとる秘訣、未経験・経験者の方への転職アドバイスをいただきたいと思います。

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