お客さまの希望色に寄せる「カラーコピー」の技術でリピート率アップ！ 「TRUNK」カワノヨウヘイさん
大阪にある美容室「TRUNK」のオーナーを務めるカワノヨウヘイさん。前編では他県からも絶えずお客さまが訪れるほど、コアなファンを抱えているカワノさんの秘密に迫りました。見えてきたのは、インスタグラムで発信している、「外国人風ヘアカラー」と「ぬけ感のある編みおろしのヘアアレンジ」を掛け合わせたスタイル。誰にも真似できない独自の世界観で人気を集め、今やインスタフォロワーは4万人を越えます。
さらに「カワノさん＝編みおろし」のイメージを定着させたのは、インスタのアカウントを使ったコミュニティ、「日本編みおろし会」会長としての活動。自分のインスタにハッシュタグをつけて投稿をするだけで会員になれる手軽さと、定期的に開催されるセミナーによって会員数を増やし、認知度アップに成功したといいます。
後編では、カワノさんのキャッチコピーともいえる「コピーカラー」の秘密を掘り下げます。ポイントはお客さまの希望を絶対に否定しない「やってみます」の精神。さらにお客さまの希望色によせるため、ヒアリングと提案を丁寧に行うことを心がけているそうです。
今回お話を伺ったのは…
カワノヨウヘイさん
美容室「TRUNK」「GATE」オーナー
日本編みおろし会 会長
2015年、大阪市に「TRUNK」をオープン。ぬけ感のある外国人風カラーや、難易度の高いインナーカラーを得意とし、アレンジを掛け合わせた独自のスタイルが大人気。この確実な技術やセンスを求め、わざわざ遠方から通うファンも多い。インスタグラムでは、ヘアアレンジと個性的なカラーが注目を集め、フォロワーは4.8万人を超える。年間約30本の美容師向けセミナーで講師を務めるほか、日本あみおろし会名義で書籍「編みおろしパーフェクトガイド」も出版。
Instagram：＠yoooheee
お客さまの希望色に寄せる「コピーカラー」で信頼感を獲得
髪質やダメージの状態、カラー履歴などを細かく分析し、お客さまの希望通りに仕上げる「コピーカラー」の考案者
――現在独立して8年目とのこと。お客さまの9割がリピーターだそうですね。ズバリ、リピートしてもらうコツは何でしょうか？
「お客さまの希望に全力で寄せること」を大切にしてきました。その精神で生み出したのが、「コピーカラー」という施術で、お客さまの希望のカラーをコピーしたように仕上げることができます。ヒアリングをしっかり行い、まずお客さまが実現したいことは何なのかをつかみます。その際、お客様の希望を否定することは絶対にせず、常に「やってみます」の精神でいます。そしてそれを実現するための方法を話し合い、お客様に目視で実際の色味を確認し納得していただいたあとに施術を始めることを心がけています。
――お客さまの希望の色味が、やりたい方法で実現できないときは、どうするのでしょうか？
簡単に代案を押し付けず、納得していただけるまでくまでとことん話し合います。たとえばブリーチをしないとできない色味であれば、「ブリーチしないとできません」ではなく、「ブリーチをすれば、この色に仕上がりますよ」と提案します。そこでもし「ブリーチはしたくない」という場合は、別の色味の出し方、別の方法など、次の提案をし話し合います。そうすることでお客さまはベストな選択をできるようになると思うんです。
――お客さまの希望を叶えようとする接客姿勢と、提示した色に寄せるコピーカラーの技術で、リピーターを獲得しているのですね。
はい。それともう一つ、「この方に会うのは今日が最後かもしれない」と思って、すべてのお客さまに接しています。今日が最後かもしれないから、後悔のないように全力を尽くすということです。
「やってみる」精神でたとえ失敗しても、自分のセールスポイントが洗練されていく
何度失敗しても、「やってみる」気持ちを失わないカワノさん
――現在「TRUNK」と「GATE」の2店舗を運営していらっしゃいますが、起業における、成功の秘訣などはありますか？
大きく、２つ思い浮かびます。ひとつは先ほどもお話した、「やってみる」精神。これはサロンのお客さまに対してだけではなく、ビジネスのどんなシーンでも同じです。まずは断ったり、否定をせずにやってみること。それらの積み重ねで、出会いやチャンスが広がって、事業の安定=成功につながっていると感じます。僕は過去に「やってみる」を経て、いろんな失敗しているんですよね（笑）。でも失敗から学ぶことで、自分自身のセールスポイントが洗練されていくと感じます。
――たとえば過去にはどんな失敗から、どんな学びがあったのですか？
一般の方向けにセルフアレンジのセミナーをやってみて、うまくいかなかったことがあります。でもそこでわかったのは、編みおろしセミナーはプロの方の方が求めているということでした。そこで思い切ってプロ向けに切り替え、今では大盛況をいただいています。他にも、サロンの宣伝のために広告費をかけてみたけれど、ほとんど反響がなかったという経験もありました。インスタグラムでコツコツ発信する方が、拡散力が高いことがわかりました。
新規はリピーターよりも料金を高く設定。自分の技術を安売りしない
2店舗目となる「GATE」は、落ち着いて相談や施術も受けられる完全プライベートサロン。
――失敗からは学びがあり、出会いはチャンスにもなるということですね。もう一つの成功の秘訣も教えてください。
自分の技術を安売りしないことです。一般的には最初が安くて2回目から定価になる場合が多いと思いますが、僕は逆。新規の方はリピーターより高い料金設定にしています。お客さまの希望を叶えることや、満足してもらうことに自負がありますし、全力を注ぐので、安売りしません。
――最後に、独立してサロンを開きたいと思っている方にメッセージをお願いします。
発揮する技術やセンス、ビジネスでの出会いやチャンス、戦略などはそれぞれの環境ややり方の違いがあると思います。ですが、全ての起業する人に大事だと思うことが、ひとつあります。それは、自分の技術に自信を持ち、自信をビジネスの土台にすることです。僕もそのおかげでお客さまを増やすことができ、セミナーを軌道に乗せることができました。自分の技術を磨いて自信を持つこと、ぜひ突き詰めてください。
カワノさんが実践してきたリピーターを獲得する３つのコツ
カワノさんが実践してきたリピーター獲得のためのコツを伺うと、以下の３つでした。
1.お客さまの希望を否定せず「やってみます」の精神を持つ
2.決めた色味通りのコピーカラーに仕上げて、お客さまの希望を叶える
3.初回こそ料金を高く設定し、自分の技術を安売りしない
カワノさんのお話を聞いていると、すがすがしい自信を感じました。それはカワノさんがお客さまを思って施術を続けて結果、積み上げられてきたもの。美容師としてもっと活躍したい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
