ITを導入したら売り上げも働き方も激変!美容師・イワタコウジさん

大阪府にある美容院「Hair トレンザ INTERNATIONAL 今里店」の店長を務めるイワタコウジさんは、自他ともに認める「ITに強い美容師」。インターネットが普及し始めた2000年代から興味を持ち、独学で学んできました。

前編ではITの導入するきっかけや、その効果について伺います。近年、さまざまな業界でIT技術を活用したDX推進の動きが広がっていますが、美容業界においてITはどんな役割を果たすのでしょうか。

お話を伺ったのは…
イワタコウジさん

「Hair トレンザ INTERNATIONAL 今里店」店長。高校卒業後、大学へ進学し、経営情報学を学ぶ傍ら、通信コースを経て美容師免許を取得。大学時代からITに興味を持ち、独学で学ぶ。現在はサロンワークに加え、SNSプロモーション型オンラインサロン「ROUTINE」の運営、美容専門学校での非常勤講師やサロン等のコンサルティング、メーカーと共同で商品開発など、自身の経験と知識を活かし、さまざまな分野で活躍中。

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Hair トレンザ INTERNATIONAL 今里店

公式HP

インターネット普及期に、趣味で身に着けたITの知識

イワタさんが店長を務める「Hair トレンザ INTERNATIONAL 今里店」の様子

――イワタさんは高校卒業後、あえて美容専門学校ではなく大学に進学したとのことですが、なぜでしょうか。

はい、大学で経営情報学を学びながら、美容専門学校の通信科で国家試験に向けて勉強していました。理由は大きく2つあります。1つ目は、両親が美容師で、ずっと美容師になりたいと思ってはいたのですが、高校3年生の段階では一生の仕事にする自信がありませんでした。その頃には、すでに美容師の離職率が高いことも知っていたので、仮に将来、美容師を辞めて別のことをやりたくなったとしても、潰しが効くようにしておきたいと思ったんです

2つ目の理由は、僕が言うのもなんですが、美容師はちょっと特殊な人が多い業界だと感じていますが、美容師が相手にするのは一般のお客さまですから、一般的な感覚を身に着けるためにも多くの人と出会い、色々な考えを吸収したいと考えました

――若い段階から、冷静な視点で周囲の状況を観察したり、把握されていたのですね。でも大学へ行きながら通信教育も受けるのは、大変だったのでは?

そうですね。当時は大学と美容専門学校に加えて、夏休みや冬休みには美容院でアルバイトして……と休みなく動いていました。アルバイトといっても、要は修業期間なのでバイト代はお小遣い程度しかなくて。

ただ、このときの経験があったからこそ、美容師として働き始めてからどんなに忙しくても大変だとは思いませんでしたね

――ITに興味を持ち始めたきっかけは?

僕が大学生だった時代はちょうどインターネット普及期で、授業でもPCやインターネットに触れる機会がたくさんありました。おもしろい世界だと思っていたのですが、当時のPCは高価で働き出してからもなかなか手が出ませんでした。

そんなときにPCに詳しいお客さまから「自分で作ったら1/3の値段で作ることができるよ」と教わって。電気街で必要な部品を買い集めて、PC雑誌と首っ引きをしてなんとか自作PCを完成させたんです。何度も失敗したり、調べたりしているうちに「ITってこんなに色んな情報が取れるんだ」「SNSっておもしろいな」と少しずつ体で覚えながら面白さが増した感覚です。美容師の技術の身に着け方と同じですね(笑)。

ITの知識は、自分の最大の強みになると気づいた

オンラインサロンへの参加をきっかけに、イワタさん自身もオンラインサロン「Routine」の運営

――美容師の仕事にITを活用しようと思われたのはなぜでしょうか。

30歳を過ぎた頃、人生に不安を覚えたんです。気づいたら美容師としての人生の、折り返し地点まで来てしまい、残りの半分の人生を今と同じペースで続けていたら先はない。これからどうしよう…と
そんなときに、ある著名な美容師さんが開いていたオンラインサロンへ参加したんです。そこにはたくさんの美容師さんが参加されていたのですが、僕のようにITやSNSの知識がある人はいなかった。そして、サロンで出会った方が「今日、ここで教えてもらったことには価値がある。イワタさんが時間をかけて学んだことを伝えるなら、お金をもらった方がいい」と言ってくださって

そのときに、ただ自分が好きで、趣味として身に着けてきた知識が活かせるんだということに初めて気づいて、個人の収入を上げるための副業を始めようと考えました

――具体的に、何からはじめたのでしょう?

ブログによる情報発信とECサイト、オンラインサロンの運営です。売れている商品のレビューや新商品の紹介、ヘアケアなどお悩みに対する対策方法…当時は1日に6~7本は書いていました。いまは売り上げの60~80%が物販です

――ブログで物販がそんなに伸びるんですね。物販が強いということは、サロンにとって大きな強みになるのでしょうか。

そうですね。物販をやっていれば、1度にたくさん購入していただいたり、商品だけ購入しに来てくださることもある。ひとりのお客様に1時間かけて施術するよりもはるかに効率はいいと思います。

さらに、トレンドがどんどん変わるから、例えばカットが有名なサロンがブームに合わせて施術内容を変えようとすると、教育から変えなければならない。でも、物販であれば、ブームに合わせて扱う商品をガラッと変えることも可能です。美容師のピークは20~30代といわれていますが、これだったら年齢を重ねても、時代が変わっても、どうにか生きていけると思いました

ブログを通じて「売れるECサイト」を構築

イワタさんが運営するECサイトより。ブログ記事からECサイトへ直結している

――長く美容師として働き続けるためにも、物販は重要なツールなんですね。

一般的には年齢を重ねた美容師は独立して、スタッフを集めて自分はオーナーとして経営に専念するケースが多いと思うのですが、そのためには店舗展開をしたり、事業を大きくする必要があります。

僕が大学生の頃に起きたリーマンショックで、それまで安泰だと思われていた大企業が倒産する様子を目の当たりにしてきました。だから、手に職をつけたところで、スタッフを集めて会社を大きくしたところで、潰れるときはあっという間にダメになる、とわかっていたんです

――なるほど。ECサイトではどんなものを売っているんですか?

よくあるヘアケア商品も扱っていますが、最近では酵素ドリンクやファスティングフードなども扱っています。

――酵素ドリンクですか? ちょっと意表を突かれました。

もともとはメーカーさんからお声がけいただいて扱いはじめた商品です。ただ、美容室で酵素ドリンクを売るためにはどうすればいいか、考える必要がある。美容室でヘアケア商品を買うのは、プロがおすすめするからですよね。だったらファスティングのプロになろうと、ファスティングに特化した専門資格も取得しました

これからの時代、健康寿命を延ばすウェルネスの市場が伸びるといわれています。購入された方がファスティングをして健康になったり、ダイエットが達成できたりしたら、継続的な売り上げにもつながります。正直なところ、どんな商品でも常に俯瞰して見ながら、その商品を売る理由や戦略を考えています。

イワタコウジさんが「ITに強い美容師」として認知されている理由

1.美容師としての働き方に悩んだ30代前半で、自分の「強み」がITであると認識した

2.年齢を重ねても美容師として働き続けるために、ブログ、ECサイトの運営に力を入れはじめた

3.ECサイトが軌道に乗り売り上げアップ。噂が広がり、マーケティング、コンサルティング等の依頼が来るように

後編では、「職業は『イワタコウジ』です」というイワタさんに、現在の働き方について伺います。自身のオンラインサロン運営をはじめ、美容メーカーやディーラーのコンサルティングや相談役など、自身でも把握しきれないほどの案件を抱えているというイワタさん。一体どのようにして、仕事の幅を広げていったのでしょうか。後半もお楽しみに!

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Salon Data

Hair トレンザ INTERNATIONAL 今里店
住所:大阪府東成区大今里南1-1-19
電話:06-6977-0832
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