栃木県初の「プルエクステ」で集客し、地域の活性化を図る【エクステスタイリスト 河原ユミさん】#1
美容業界で働くうえで「独立」という目標を持つ人は多いはず。そんな方に向けて先輩オーナーの経験談を全2回でお届けする本企画。
今回お話をうかがったのは、関東圏でエクステサロン上位に選ばれる、栃木県宇都宮市にあるエクステ専門サロン・エクステンション キュー(extension Q)エクステスタイリスト 河原ユミさん。
前編では、エクステスタイリストになったきっかけと独立までの経緯、サロンで展開している人気のメニューについてお聞きします。
お話を伺ったのは…
エクステスタイリスト 河原ユミさん
エクステブームがきっかけとなり、エクステスタイリストに。栃木県内にあるサロンで8年ほど勤めた後、県内の宇都宮市にて「エクステンション キュー(extension Q)」をオープンし、栃木県で初の「プルエクステ」をスタート。個人としても全国で開催される「プルエクステ技能テスト」で過去最高得点を叩き出し、全国プルエクステディプロマ取得という実力の持ち主。
趣味の「エクステ」が、地元を活性化させるための足がけに
――エクステスタイリストはもともと目指されていたのですか?
最初は趣味程度でした。高校卒業後、たまたまエクステブームがあり、妹に頼まれてやってあげるくらいだったのですが、だんだん楽しくなってきて。
エクステ毛を購入するためにサロンに通っていたのですが、何回か話すうちにオーナーから「働いてみないか?」と言われたことがきっかけでこの道に進みました。
――それから極められてきたのですね。独立された経緯について伺います。
声をかけてもらった栃木県の郊外にあるサロンで長く働いていて、一定の顧客数と相応の評価もいただいていました。なので、独立については自分ではあまり考えたことがなかったのですが…お客様から「独立したらいいんじゃないか?」とお声がけいただくことが多くなっていて。そうしたらだんだん意識するようになり、「やってみよう!」と、独立することにしました。純粋に自分の力を試してみたかったという気持ちもありましたね。
――現在のサロンも栃木県内でオープンしたようですが、その理由は?
一番の理由は、地元が大好きで少しでも貢献したいという気持ちがあったからです。技術も接客も長年培ってきて自信もありますが、「じゃあ都内でやってみるか」となると、そこまでの勇気もなく…(笑)。
以前のサロンは栃木県の中心部から1時間ほど離れた場所でしたが、宇都宮からきてくださっている方もいましたし、わざわざきてくださるということは中心部でもやっていけるのでは?と思いました。しかも栃木県で一番人口も多く、賑わっている。かといって、都内と比べて競争率も激しくないですし、その方が集客面でもいいだろうと考えて選びましたね。
地方での集客は口コミが重要!アットホームな接客を意識してリピート率を上げる
――前サロンでの実績もありますし、開業してから軌道にのるのは早かったのでは?
それが…集客の大変さに直面しました。前に勤めていたサロンと同じ県内とはいえ、新しい土地でのスタートだという自覚が足りなかったなと。当時はSNSツールも使用していなかったですし、大手集客サイトなどはあまり信用していなくて使っていませんでしたから(笑)。
チラシ配りを徹底し、近隣の方に認知してもらえるきっかけづくりから始めましたね。あとは、当たり前ですが丁寧な接客をすること。地方って、噂が回るのが早いんですね。そこを逆手にとって、いい噂が広まるようにしようと。するとチラシも役立ってか、徐々に口コミが広がり、自然に集客が見込めるようになりました。
――どんなところを意識した接客なんでしょうか。
エクステサロンは美容室と違って施術時間が長いので、いかにその時間を楽しく居心地よく過ごしてもらえるかが重要だと考えています。なので、来店していただいたその時間はとにかく尽くしていますね。それはもう、口説く勢いですよ(笑)。
サロンのコンセプトでもあるのですが、理想としているのは、アットホームさ。おばあちゃんちや友人の家のようにほっとしてもらえたらすごく嬉しいです。実際に施術にきてくださるお客様からは「友人の家に遊びに行く感覚」といっていただけることが多いですね。これは、サロンのコンセプトでもあります。
――そのコンセプトはどのような経緯で考えられたのですか?
前のサロンで接客について考えたことがきっかけです。私は、もともと話すことが苦手で大人しいタイプでした。サロンでも本当に話せなくて、どうしようと思っていたのですが…当時のサロンのオーナーがよく話す人だったので「自分は聞く側に回ろう!」って方向転換できたんです。その方がバランスも取れるだろうと。だんだんとお客様からも指名いただけるようになりました。お客様も話を聞いてくれると心地よく感じてもらえるようですし、こちらもお客様からお話を聞いているうちにドラマを観ているような感覚で楽しい時間を一緒に過ごせていてとても嬉しいです。
――地方ならではの親密な接客スタイルが功を奏したのですね。接客以外に試したことはありますか?
メニュー展開は気にしていますね。都度、新しいスタイルや施術方法を取り入れてお客様からのご要望に柔軟に応えられるようにしています。一人ひとりの髪質や頭の形で付け方が変わってくるので、位置や毛束の太さを微妙に変えながら施術をして期待以上の仕上がりで提供できるように努めています。
新しいメニューをどこよりも早く展開し、高評価なお客様満足度を維持
――新しい施術スタイルというと、例えばなんでしょう?
だんだん一定の集客が得られた3年目くらいに、「何か新しいことをしてブームをおこしたい」と思い、日本でも数店舗しか取り扱いの少ない「プルエクステ」を栃木県で初めて導入しました。
――「プルエクステ」とは…?詳しく教えてください!
編み込みやシールエクステなど名前の通りの施術方法ですが、「プル」も同様で、糸を引っ張ると自毛にくっつく仕組み。SNSなどで有名なモデルさんたちもこぞって施術している、今話題のエクステ方法なんです。大変好評をいただいており、今ではサロンの看板メニューとなりました。他店舗と差別化が図れますし、うちにしかないという強みになりました。
あとは、増毛メニューも「エクステンション キュー(extension Q)」のオリジナルメニューです。地方は、ご高齢の方が多いので人気メニューになると考えてのメニューになります。質の高いものになっているので、ぜひ利用していただきたいですね。
常に新しいメニューや地域のお客様の要望に応えられるサロンを目指していくためにいろいろ模索中です。
地方で経営を成功させるために取り組んだ3つのポイント
1.競争率の少ない土地を選ぶ
2.技術力をあげる
3.どこよりも早く新しいことを取り入れる
河原さんが「自分で一からどこまでできるか挑戦したい」という気持ちで始めたサロン。今では、地元に愛される関東圏でも屈指のエクステサロンに成長しました。後編では、スタッフとの関係性を維持するためにしている習慣や今後の展望などをお聞きします。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)