犬山市で14年目のアイラッシュサロン。スタッフが根付けばお客様も根付く【MURU 代表 瀬谷美保さん】#1

愛知県犬山市で14年続くネイル&アイラッシュサロン「MURU」。代表の瀬谷美保さんは、当時まだ認知度の低かった「ネイル」「マツエク」を地元の犬山市に導入し、業界を盛り上げてきた立役者の一人です。未開拓地ゆえに、やはり開業当初は「売上が立たず、結構苦しかった…」そうですが、今では地域になくてはならない愛されサロンに。

前編では、子育てとの両立をはかるため独立したこと、集客で苦労したお話、長く続く経営に必要不可欠なスタッフの存在についてお聞きしました。

教えてくれたのは…
「株式会社MURU」代表 瀬谷美保さん

ネイリストとして美容人生をスタート。その後、マツエクの技術を独学で習得し、名古屋市内のネイル&アイラッシュサロンに勤務。28歳で地元・犬山市に戻り、ネイル&アイラッシュサロンを開業。愛知県内に3店舗を展開する他、9年前に「MURU academy」を創設し、少人数制&マンツーマンの指導を自ら行う。二人の男の子のママ。

子育てと仕事を両立するため、地元に戻って開業

スタッフのみんなと。「若いスタッフは私の息子と年齢が変わらないので、つい親目線で接してしまうんですよね(笑)」と瀬谷さん。その母性、取材中もしっかり伝わってきました!

――独立するまでの経歴を教えてください。

次男を出産した24歳頃に、ネイリストの友人にネイルを施してもらったことがきっかけで、「自分もネイルやってみたい!」と思ったんです。はじめのうちは友人に技術を教えてもらっていましたが、もっと本格的に勉強したいと思い、スクールに通ってネイリストの資格を取得しました。

その2年後くらいにマツエクが流行りだし、マツエクの技術も勉強したいと思うように。しかし、当時はマツエクの認知度が今よりも低く、教えてくれる先生はあまりいませんでした。なんとか一日限定でレッスンをやっている先生を見つけ、あとは独学で、試行錯誤しながら技術を磨いていったんです。その後2年間、名古屋市内のネイル&アイラッシュサロンに勤め、28歳頃に独立をしたという経緯です。

――ネイリストとアイリストの二刀流で活動されていたんですね。独立を決意したのはなぜですか?

今でこそ働く女性をサポートする制度が増えましたが、当時はまだ少なく、幼い息子たちを育てながらサロンで働くことが難しかったんです。保育園のお迎え時間に間に合わなかったり、日曜も出勤しなくてはいけなかったり。息子たちと過ごす時間も全然取れなくて。子育てと仕事をきちんと両立したいと思い、地元の犬山市に戻り、サロンを開業することに決めたんです。

今、うちのサロンでは「日曜・祝日定休&18時閉店」を徹底していますが、それもその頃の経験が根底にあるんです。

――お子さんとの時間を優先するための独立だったのですね。開業準備は苦労しませんでしたか?

幼い頃から通っていた美容室の社長さんに相談したら、近々トータルビューティサロンに変える予定とのことで、「良かったらテナントとして入らない?」と誘ってくださったんです。開業準備はその社長さんが手助けしてくれたので、特に困ることはなかったんですけど……集客には相当苦戦しましたね(笑)。

地元でネイル&マツエクの認知度を上げることが何よりも大変だった

2022年に3店舗目「nanun」をオープン

――どんなサロンを目指していたのですか?

地域密着型のサロンを目指していました。オープン当時、犬山市にはネイル&アイラッシュサロンが1店舗もなく、うちが地元で第1号店だったんです。「ネイルはやりたいけど、名古屋までは行けない」という声もよく聞いていたので、都心に行かなくても、地元で気軽に、すきま時間にネイルやマツエクができたら良いなと。しかし…。

――なぜ集客に苦戦したのですか?

もともと名古屋市内のサロンに勤めていたので、地元の犬山市ではゼロスタート。

昔あるあるのやり方ですけど、ポスティングの他に、夜は駅前でチラシ配り。最初はとにかく歩いて歩いてって感じでした(笑)。犬山市ではネイルもマツエクもまだ認知度が低く、チラシを配っていても「ジェルネイルって何?」「マツエクってどう付けるの?」というレベルだったので、一から説明するところからのスタート。認知度を上げることにまず苦労しましたね。

名古屋のサロンでは、ターゲット層に響くメニューを打ち出さなければ集客できないと言われていましたが、地方はネイルに興味がある人がそもそも少なく、ターゲット層を絞ってしまうと逆に集客できないんです。自分が名古屋でやってきたことは、地元では技術以外何も役に立たなかったんです。予約枠が埋まるようになるまでは一年くらいはかかったと思います。

ロンドンで学んだ技術『ボリュームラッシュ』

――ネイル&アイラッシュサロンが普及していない地域での開業は思いのほか大変だったのですね。

後にも先にも、オープン当初の集客が一番大変でしたね。「このコロナ禍が最も経営が大変だった」というサロンさんが多いようですが、むしろうちの場合はコロナ禍に過去最高の売上をつくることができました。「都心に出て行くのが怖いから、近場のサロンでやりたい」という方の来店がすごく増えたんです

――オープン当初はネイルもアイラッシュも瀬谷さん一人でやられていたのですか?

それが最初からスタッフを雇用したんですよね、無謀にも(笑)。

美容室に併設されたサロンだったので、土日も営業、かつ夜遅くまでお店を開けておかなければなりませんでした。子育てと両立するために地元に帰って来たのに、美容室独自の働き方に合わせるとなるとその意味がなくなってしまう。それで、助けていただける方を他に雇用しようと思ったんです。

一緒に働いてくれたスタッフさんがいたから、子育てと仕事を両立することができたと言えます。名古屋で働いていた頃よりも時間ができたことで、保育園のママ友との交流が増えたんですね。彼女たちがお客様を紹介して下さったりして口コミが広がるようになり、集客や営業で大きなプラスとなりました。ママ友発でこの業種の認知度や理解が深まっていったと思います。息子たちが小さい頃は本当に助けていただきました。この「人脈」が地域密着型サロンになれた理由の一つでもあるかなと。

スタッフが根付いてくれる。それが、サロンが長く続く理由

インスタでも技術をレクチャー

――開業して今年で14年目とのこと。長く経営を続けてこられた秘訣とは?

スタッフが長く勤めてくれているからですね。1号店である犬山店のスタッフはオープン当初からずっと勤めてくれていますし、新しい子でも勤務年数は3年くらい。スタッフが根付いてくれているので、お客様も根付きやすく、オープン当初からの常連さんも多いんです

――スタッフさんと向き合う上で、どんなことを大事にしてきましたか?

スタッフに無理強いすることはしません。私自身が「これをされたら嫌だな」と思うことはスタッフには絶対にしないようにしてきました。あと、子育てしながら働いているスタッフもいるので、夏休みや冬休みは子どもを連れて出勤するスタッフもいます。そういうことは柔軟に受け入れてきたし、スタッフたちとは常にコミュニケーションを取るように心がけてきました

今3店舗を展開していますが、どの店舗もスタッフの仲が良いんですよ。馴れ合いではなく、仕事する上で良い関係性が築けているなと。「こんなに楽しい職場ははじめてです」と言ってくれるスタッフもいます。

――美容業界の長年の課題は離職率の高さ。若手を育てる上でのコツはありますか?

「私のときはこうだったから」という風には教えないようにしているんです。みんなそれぞれ大切にしているものや優先しているものって違うじゃないですか。だから、他と比べないこと。スタッフ一人ひとりをきちんと見るようにしています

「今どきの子は」ってよく言うじゃないですか。大体は否定的な意味合いで。けれど、私は「今どきの子は」をあまり悪い意味で捉えていなくて、「今どきの子たちだからこういう風に育てていこう」と前向きに考えるようにしているんです。


瀬谷さんの器の大きさが伝わってくるお話でした。瀬谷さんが日頃どんな風にスタッフさんと向き合っているのか。そこに「スタッフが根付く=お店が長く続く」ヒントが隠されているはず。スタッフづきあいについて、後編でさらにお聞きします。

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)

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