ちょっと不安を感じても「信じて任せる」。これが子育て成功の極意!【トップカラーリスト 依光晶子さん#1】

美容業界でキャリアを築きながら子育てもがんばっているワーキングママとパパを紹介するこの企画。今回はkakimoto arms GINZAのトップカラーリスト、依光晶子さんのインタビューをお届けします。

トップカラーリストとしてサロンに立ちながら後輩の指導もこなしている依光さん。前編では、理想的なパートナーとの出会いや心おきなくサロンで仕事に集中できる秘密などをご紹介します。

お話を伺ったのは…
kakimoto arms GINZA トップカラーリスト
依光晶子さん

山野美容専門学校を卒業後、2009年kakimoto armsに入社。2014年トップスタイリストに昇進し、2016年にはkakimoto arms GINZAのカラーディレクターに就任。2020年11月から産休に入り、同年12月に男の子を出産。2021年3月より復職し、サロンワークと後輩の指導にあたっている。

思い通りにならないことを経験したくて「出産」を決意!?

現在41歳のパートナーと1歳10か月の長男のツーショット。

――20代のころは結婚や出産について考えていましたか?

もともと結婚願望がなくて、結婚はしてもしなくても「どっちでもいい」と思っていました。友人の紹介で彼と会って、「この先、この人より良い人に出会うことはないだろうな」という思いがありました。彼と結婚しなかったとしても、ずっと一緒にいるんだろうから「それなら結婚しておくか」という流れです(笑)。

この時は子どもはいらないと思っていましたし、結婚式にもまったく興味がなかったので挙げていません。写真すら撮りませんでした。

――結婚なさったのは何歳の時ですか?

私が25歳で彼が35歳です。結婚する前に2年ほど同棲していました。ただ、私たちの周りで同棲しているカップルは上手くいっていない人たちが多かったんです。「お互いに冷め切っているのに、お金がないから別れられない」という話を聞いていたので、一緒に住む前に2人でルールを決めました。いつでも別れたくなったら家を出られるように引っ越し資金をそれぞれが貯金することに。「親しき仲にも礼儀あり」ではありませんが、お互いに甘えすぎず緊張感を持って生活できたので、決めておいてよかったです。

――貯金していたお金はどうなりましたか?

彼のお金は私の婚約指輪になり、私の貯金は歯科矯正に充てました(笑)。

――お子さんはいらない気持ちが変わったのはなぜですか?

子どもが産まれるまで、私の人生の中で大切なものは仕事でした。美容師の仕事はやったことが正しかったのか、お客さまの反応を見ればすぐに分かりますよね。達成感が得られやすいというか。自分の思い通りにキャリアが積み重なって、理想的な彼と結婚をして、ポンポンポンと順調に進んでいくうちに、何か自分の思い通りにならないものと向き合いたくなったんです(笑)。

籍を入れて4年が経って「このままでもいい」と思う反面、2人だけの生活に何か共通の変化があってもいいのかもしれないと思い始め、自分が成長するためにも「子どもを育ててみよう」と決意しました。1年くらい時間をかけてゆっくり妊活を…と思った矢先に妊娠して。お酒が大好きでしかも喫煙者だったので、本当に焦りました。

彼に妊娠したことを話したらすごく喜んでいて、一緒に禁煙と禁酒をしてくれたんですよ。

――産休はどのタイミングで取ったんですか?

12月1日の出産予定日だったので、区切りよく10月末まで働きました。カラーリストの責任者なのに産休・育休に入ってしまうので、最後まできちんとやり遂げたい思いが強かったですね。通常通りのサロンワークをこなしながら、最終日の朝まで朝練を開いていました。今思えば、やり過ぎでしたね。つわりもなく、体調もよかったのですが、家に帰ると一歩も動けないほど疲れ切って、放心状態でした。毎朝、足はつるし、身体は悲鳴を上げていた気がします(笑)。

時短にしたり、産休を早めたり、いろいろできたのに、自分で決めたことを曲げたくない強がりから、週5日21時までのフルタイムで働きました。反省しています(笑)。

お客さまのカラーリング状況を考えて産休・育休を4か月取得

妊娠を機に、先輩ママ美容師に仕事のこと、復職のことなどいろいろ教わったとか。

――産休に入る前から、復職のことは考えていましたか?

いちばん気がかりだったのはお客さまのことでした。私が4か月お休みすると、1か月周期のお客さまは4回、2か月周期の方は2回、店のスタッフに任せなければなりません。kakimoto armsはチーム制なのでお客さまの引き継ぎがスムーズですし、お客さまにとっても担当が休んだからといって何かが変わることはありません。これがチーム制のメリットですよね。スタッフに任せられるとは言え、産後3か月で戻るつもりで準備しました。

――復職するには保育園を探さなくてなりません。すぐに見つかりましたか?

産休に入る前に、保育園の状況を調べました。以前、私たちが住んでいた地域は生後6か月以上でないと預けられなかったんです。私は早く仕事に復帰したかったので、生後3か月で預けられて、家から歩いて通える保育園がある地区が理想でした。出産前にいろいろな手続きが必要だったので、産休に入る前にまったく縁のない今の住まいに引っ越しました。

――大きなお腹で引っ越しですか!それは大変でしたね。

今の地域は子育て支援が充実していて、家の近所に20か所も保育園があるんですよ。たいへんでしたが、引っ越してよかったです。妊娠が分かってから、美容師の先輩ママたちに産休や育休の間にできることや復職ことなどいろいろ聞けたので、とても参考になりました

――パートナーは育児に積極的に関わっていますか?

育休を取っている間は、基本的に月曜から金曜の夜まで1人で面倒を見ていました。仕事復帰は3月の土・日と決めていたので、それまでに彼には私と同じことができるようになってほしかったんです。

生後5日目に初めて彼が赤ちゃんを抱っこしたとき、あまりにぎこちなくて、すごく不安に感じました。たぶん母親の本能で「赤ちゃんを守らなくちゃ」と思ったのかもしれません。この時、パパに任せられないママが多い理由が分かった気がしました。

「パパに任せるとなんだか不安だし、自分でやった方がいい」って、思っちゃうんでしょうね。初めての抱っこのとき「彼もすぐ上手くなる」と思い直して、手を出したいのをグッとこらえました。あの初日のハラハラは、ママ側のパパに任せられるかどうかですよね。任せるのが良いとか悪いとかではなくて、ママの気持ちが大切だな…と感じました。ママがどうしたいのか、パパとしっかり話す必要があるな~と思いました。あれから、彼はすっかり育児に慣れて、私より器用にこなしていますよ(笑)

――復職はスムーズでしたか?

計画していた通り、産後3か月で復帰できました。お客さまのなかには4か月もカラーリングやハイライトを待ってくださる方もいて、本当に幸せでした。彼がお休みの土日に復職したので、2日間はパパと息子の2人っきり。初日は何をしたらいいのか分からなくて、かなり手こずったようです(笑)。

でも、2日目からは、息子が何をして欲しいのか分かるようで、楽しんで育児をしていたみたいですね。私の携帯に「どうすればいいの?」なんて泣きついてくるかなと思ったら、そんなこともなく、ちょっと寂しかったですね。

復職してから2か月間は土日のみの勤務だったので、ちょうどいい息抜きになりました。子どもはすごく可愛いけれど、言葉も発せない小さな生き物を1人で守るのはすごいストレス。何もしていないのに1日があっという間に終わってしまう孤独感もあったので、週2日、仕事ができて涙が出るほど幸せでした。

そんな小さな命を週末のお休みを朝から晩まで守ってくれて、おまけに私の食事まで用意して待っていてくれる彼には、尊敬と感謝しかありません。「1人で育児をしている」と感じたことは一度もありません。子育ても私のメンタルも支えてくれて、本当にありがたいですね。

ワーキングママになるための依光さんから3つのアドバイス

1.復職のタイミングや環境に合った保育園を探す

2.パートナーを信じて家事と育児を任せる

3.決めたことを守れなくてもいい。無理はしない

「すべて私を中心に、私のことを第一に考えてくれる人」という最高のパートナーに出会い、子育ても仕事も楽しみながらがんばっている依光さん。

後編では、ジョークだと分かっていても傷ついてしまったこと、「仕事がいちばん」だった生活が出産を機に大きく変わったことなどをご紹介します。

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撮影/森 浩司

Salon Data

kakimoto arms GINZA
住所:東京都中央区銀座6-8-7 交詢会ビル3F
電話:03-5537-1088
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