肌悩みのある人を救いたい気持ちから、「くすり屋」3代目の総フォロワー数が4万人に!【アトピー・超敏感肌のくすり屋 わくたよしのぶさん】#1
一番最初に始めたYouTubeのチャンネル登録者数1.7万人、次にTwitterのフォロワー数2万人と、敏感肌やアトピーに悩む人たちをターゲットに必要な情報を発信し、確かな信頼を集めているわくたさん。
実は、わくたさんご自身もアトピーには幼少期から悩まされていたと話します。また、現在は北海道を拠点に「老舗のくすり屋・わくた漢方(株)」の3代目も務めており、「アトピー・超敏感肌のくすり屋」という肩書きも。「くすり屋」であるわくたさんが、独自の情報をSNSで発信するようになった経緯・目的とは?
前編では、わくたさんがSNSを始めることにした理由やそれに込めた想い、SNSの遍歴について詳しく伺います。
お話を伺ったのは…
「老舗のくすり屋・わくた漢方(株)」の3代目代 わくたよしのぶさん
新卒で他業種に就職するも、父親の病気を機に退職。その後は北海道にて、祖父の代から訪問販売を行っている「老舗のくすり屋・わくた漢方(株)」を継ぎ、3代目となる。現在は、くすり屋と並行しながら幼少期からアトピーに悩まされた経験を活かし、SNSにて発信を行っており、SNS総フォロワー数は4万人ほど。さらに、自社より敏感肌の人に向けたスキンケア商品を自ら開発するなど、肌に悩む人々を救うべく意欲的に活動中。
医療従事者と患者さんとの間にあるギャップに気づき、SNSで情報提供することを決意
――くすり屋の3代目として働きながら、SNSで情報を発信しようと思ったきっかけをお聞かせください。
僕は普段、SNSで発信する以外にも「くすり屋・わくた漢方」の3代目として、実際にご利用いただいているお宅を訪問して薬を販売しています。医療従事者の方たちともお話をする機会もあって。そうして仕事をしているうちに、患者さんと医療従事者の間にギャップがあることに気がついたことがきっかけになりました。
――患者さんとお医者さまの間の「ギャップ」とは…?
僕と同じくアトピーに長年悩まされている慢性的な症状の患者さんがいるとして、それに対応する医療従事者ができることって限られているんですね。医者からしたら、「できることは精一杯した」という見解ですが、患者さんからすると「もっと何か他に方法があるんじゃないか」って模索をすると思うんです。そういったギャップが年代を問わずに起こっているのではないかと、仕事をする中で気づいてしまって。僕自身もアトピーに長年悩まされて病院に通っていたこともあり、かすかに思っていることでもありました。
そこで、ギャップを埋めるために僕ができることを考えた結果がSNSで発信することでした。僕自身、アトピー持ちなので発信するうえでは活かせる要素だと思ったんです。当時は、アトピーだけに特化した美容系の配信者は稀でしたし。
――たしかに他にはない、ニッチな印象を受けました。
自分でもそう思います(笑)。だからこそ、僕が発信する意味があるとも感じていましたね。というのも、美容について持論などを展開している一般の配信者も多く見受けられますが、僕のようにアトピー肌や敏感肌といった方たちには通用しない情報もあったりもするので…。中には詐欺まがいのような情報を平然と流している場合も見受けられます。真偽が不明な情報がたくさん出回っている中で、まどわされず本当に悩んでいる方たちに正しい情報を責任持って届けたいなという想いもありましたね。
――そんな想いを持ってSNSを始めようと決めてから、準備したことは?
まずは、勉強をし直しました。いくらアトピーを経験していて詳しいとはいえ、多くの人たちに情報を発信する身となれば、正しさが求められます。主に、医学書や論文などを読んで確かめたりするなど徹底して勉強に励みました。
信頼=実力の時代。発信したい情報を伝えるためには、フォロワー数を獲得すること
――なるほどです。最初はどのツールから始めましたか?
最初に開設したのはYouTubeですが、勉強と並行して解説したのはTwitter。当時Twitterは、アトピーや敏感肌についてもっと勉強が必要と感じて勉強した内容をまとめておくために使用していましたね。勉強の際に本で得た知識を僕なりにまとめてツイートしていました。
――現在Twitterでは約2万人のフォロワーがいらっしゃいますが、はじめに取り組んだことはなんでしたか?増えたきっかけも併せて教えてください。
フォロワーさんを最低でも1万人に増やすことから始めました。世間の流れ的にフォロワー数=実力と捉えられることが多いうえに、僕がターゲットにしている層ってニッチですから。まずは数で信用を勝ち取らなければ情報を届けるに至らないと思い、一定のフォロワー数が必要になってくると考えたんです。
増えたきっかけは、美容に精通した方たちを中心に交流をしたことですね。僕の意見をただ一方的に垂れ流しているだけでは信じようがないですから。僕の意見や見解を肯定してくれる人がいれば、見ている人も納得しやすいと思って。フォロワーさんを多く抱えている美容に精通した方たちと交流する機会にも恵まれ、僕が発信した情報を拡散してくださったり、コメントしていただいたりするようになったことで、だんだん認知されるようになりました。
あとは、どれだけインパクトのある書き方ができるかを考えたりしました。特に反応が良かったのが「化粧水の浸透感への誤解」をテーマにした投稿で、約4万件のいいね数がありました。
Twitterのフォロワーさんが増えた影響で、この頃に開設したYouTubeでのチャンネル登録者数も自然に増えたように感じます。
「僕」ではなく、正確な「情報」を届けることが最も重要なポイント
――ではつぎに、YouTubeで動画を投稿する際に意識しているポイントや工夫などを教えてください。
これは、動画投稿を続けていくうちにわかったことなのですが、僕のチャンネルを視聴してくださっている方の年代は親御さんが多く、30〜50代の方が圧倒的なんです。その中には親御さんもいらっしゃるようで実際にコメント欄を見てみると、「うちの息子・娘が悩んでいる」などというお声が多くて。
今までは年代を意識するというよりは、とにかく「アトピー肌・敏感肌に悩む方」をメインにしていたので、あまり考えたことがなかったのですが…親御さんの年代と若い年代の方向けでは動画の方向性もかなり変わってきますから、動画を制作する際には必ず年齢層も意識するようになりましたね。それを受けて僕のチャンネルでは、他の美容系配信者のようにセンセーショナルな表現はせずに、どんな成分が良いのか、どのような影響を与えるのかについて淡々と伝えている動画がほとんどです。いかに誠実に真っ直ぐに伝えるかがポイントになってくると考えています。
加えて、僕のチャンネルを登録してくださっている層の多くは「僕」ではなく、「僕が提供している情報」を知りたくて見てくれていると認識しています。それぞれが抱えている肌悩みに対して、どのように解決してくれるのか、どんな方法があるのかと、その期待に応えることが必要だと感じていますね。
――確かに必要な人に届けるためには、年齢層も大事な要素のように感じます。
そうなんです。あとは、欲しい情報がさっと手に入ることを目的としている視聴者様が多いので、どんなことについて話している投稿なのか、パッと見でわかるようなサムネイルにすることを心がけています。
自身がアトピーで辛い思いをしているからこそ、同じ悩みの方から絶大な信頼を集めていることが分かりました。後編では、主要としているYouTubeの動画制作時に気をつけていることやどんな気持ちで取り組んでいるのか伺います。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI