【子育て応援メソッド】コミュニティを開設して、みんな違ってみんないいと思えるようになった。MAMABI PARKゆうこさん#2
現役美容師で2人の子どもを育てるシングルマザー、そしてママ美容師向けコミュニティ「MAMABI PARK」の園長でもあるゆうこさん。サロンワークをこなしつつ、MAMABI PARKの運営では、セミナーやイベントで日本全国を駆け巡り、その他ZOOMでのセミナーなど多忙な日々を送っています。
ゆうこさんは、自分がいわゆる「良いお母さん」ではないと悩んだこともあったそうです。でも、コミュニティを開設して、さまざまなママ美容師のスタイルに触れることで、みんな違ってみんないいと思えるようになったのだそうです。
お話を伺ったのは…
MAMABI PARK園長 ゆうこさん
ママ美容師コミュニティ「MAMABI PARK」仕掛け人。中2男子と小5女子を育てるシングルマザーで現役美容師。アシスタント1年目で妊娠を機に退職。復帰しようとするも就職先を探すのに苦労した経験から、ママ美容師向けに発信を始める。複数のママ美容師コミュニティ立ち上げを経て、2021年7月に「MAMABI PARK」をオープン。現在は「世界一ママ美容師を応援してるシンママ」を名乗り、ママ美容師がさらに活躍できるよう尽力している。
気の合う仲間と繋がって、さらに枝分かれしていくのがコミュニティの良さ
――コミュニティでは、さいたまスーパーアリーナでのママフェス、有名講師陣を招いてのセミナーなど多数のイベントを開催されていますが、いままでにそういった職歴があるのですか?
いえ、まったくないです。わたしが、MAMABI PARKを開設したのは、アシスタント1年目に妊娠して、産後復帰しようとしてもなかなか就職先が見つからず、落ちこんだ経験からなんです。活躍している同期と比べては、産まなきゃ良かったと後悔したり。ママでアシスタントは自分だけじゃないかと思っていました。
そんなことをインスタで発信するようになってから、共感してくれる方や励ましてくれる憧れの存在の方がたくさんいて、ひとりじゃないんだと安心できたんですね。いちばんきつかった自分と同じ状況の人たちを助けるにはどうしたらいいのか。いまの自分では励ましたところで、なんの影響力もない、ただの人なんですよね。だったら、まずは影響力のある人になろう。人前に出るのは全然得意ではないのですが、そのためにイベントで人前に立ったり、セミナーを企画したりしています。
――コミュニティを始めて2年目ということですが、始める前と比べてご自身の生活になにか変化はありましたか?
まず、こんなに考え方の近い仲間が全国にできたことは衝撃的な変化でした。MAMABI PARKには、ママ美容師の中でも、人のためにがんばれる層が集まっています。勤めているサロンにもママ美容師さんはいますが、近すぎて言えなかったり、友だちや家族にも言いづらいことってありますよね。でも、コミュニティの仲間たちは、いつも顔を合わせるわけではないけれど、繋がりたいときはすぐに繋がれる、絶妙な距離感なんですよね。
――コミュニティでは具体的にはどんなやりとりをするのですか?
FANTS(ファンツ)というコミュニティ用のプラットフォームを利用しています。まずメンバー登録していただいて、相談や悩み事を掲示板に書きこんでもらうと、それにコメントをもらえる仕組になっています。そこで繋がったママさん同士が、さらに分かり合えそうなママさんとインスタで繋がって、そこでコミュニティ全体には言いにくいような悩みを解決できたりというケースもあるようです。気の合う仲間と繋がって、どんどん枝分かれしていく感じですね。
わたしの場合、子どもが小さいときはアシスタントだったので休みやすかったのですが、スタイリストさんだと、育休明けにお客様が待っていてくれるのか不安だったり、いざ復帰したら別のスタイリストに移行して楽しそうにしていて落ちこんだとか。わたしには分かりきれない悩みもたくさんあるんですよね。一口にママ美容師と言っても様々なので、いろんな立場のママ美容師が集まって、分かる人同士で相談できるのがメリットだと思います。
――ゆうこさんもコミュニティで相談したりするんですか?
どこかにコミュニティを運営しないといけないという意識があるので、同じ悩みを抱えているママ美容師がいるかもしれないから、話題を振るということはあります。そうすると、さまざまな立場にいるメンバーからコメントをもらえるので、個人的にもとても助けられていますね。でも、この前解決したことで、また落ちこむなんてこともしょっちゅうなんです。そうすると、同じような話題をまた振って、「そうだよね。大丈夫だよ」ってみんなが支えてくれて。それぞれが与えあっている感じがします。
――相談を持ちかけると、何人くらいの方が答えてくれるのですか?
子どもの学校のこと、不登校の悩み、育児のこと、仕事のことなどさまざまなジャンルがありますが、仕事を辞めようかどうしようか悩んでいるというテーマには、20人くらいの方がコメントしてくれていました。
自分軸が明確になれば、子どもがいてもそこに向かって進んでいける
――コミュニティを開設して、ゆうこさん個人としてよかったことはありますか?
俗に言う「良いお母さん」像ってあるじゃないですか。部屋をきれいにして、ごはん作って、子どもに向き合ってみたいな。もともと家事育児が苦手だし、結構忙しくしているので、そういうお母さんにわたしはなれてないなという気持ちがずっとあったんです。
でも、コミュニティには様々な働き方のママ美容師がいて、いろんな子どもとの向き合い方を見せてくれるので、わたしのこういう育児もありなんだなと思えたことは良かったと思います。みんな違っていいんだということに気づけたので。
――MAMABI PARKを今後どのようにしていきたいですか?
いま月イチのペースで全体の交流会をやっているんですが、そこで仲間ができるというよりは、交流会がきっかけで、その後に個別で話したり、地域別で直接会って仲良くなったりすることが多いんですよね。全体だと聞く側になってしまい、そこでしゃべる勇気が出なくて、楽しかったけど、ただ聞いてるだけの視聴者で終わってしまう。
コミュニティに参加してよかったなと思えるのは、自分がみんなから知られて、ちゃんと名前を呼ばれて、仲間になったなと思えたときだと思うんです。なんとなく参加しきれていない人が多いので、昼にサロンやってる人だけ集合!みたいに少しずつジャンルを分けて、1対1の関わりが築けるようなコミュニティ作りを目指したいと思っています。
――最後にママ美容師の方にメッセージをお願いします。
みんな違ってみんないい、ということが分かれば、だいぶメンタルが落ち着きます。子どもを言い訳にして、ママだからできないと言うのは悔しいじゃないですか。それをもし子どもが聞いたら、生まれてごめんなさいと思ってしまうかもしれない。
もちろん子どもは大事ですが、自分が何をしたいのか。ひとりの美容師としてどうありたいのか。自分の強みは何なのか。その軸が明確になっていれば、子どもがいてもそこに向かって進むことができるんですよね。ママだからできないと、子どもを言い訳にしないことがいちばん大事だと思います。
MAMABI PARKを開設してママとしてのゆうこさんが得たことは
1.全国に考え方の近いママ美容師仲間ができた。
2.コミュニティで自らも話題提供し、励まされている。
3.みんな違ってみんないいと思えた。
ゆうこさんがMAMABI PARKを始めたのは、自身がアシスタント時代にママになったことで就活に苦労した経験から。ママであることを言い分けにしないためには、自分軸を明確にすること。それができれば、子どもがいてもそこに向かって進んでいけるという言葉が説得力を持って伝わってきました。
取材・文/永瀬紀子