初月売上ギネスは目指さない。失客しない仕組みでトップ美容師へ COA銀座 青木大地さん

銀座の一等地に美容室「COA銀座」をオープンさせた、美容師の青木大地さん。店内は2フロアあわせて170坪、広々としたラグジュアリーな空間が広がっています。そしてスタイリスト16名にアシスタント45名と多くのスタッフが在籍。経営者として成功をおさめているだけでなく、プレイヤーとしてもお店に立ち続け、平均して500万円近い売上をあげているそうです。

前編では青木さんに、どのようにして人気美容師になったかを伺いました。美容師の多くが照準をあわせるスタイリストデビュー月の売上記録は狙わず、あえて売上の上限を決めるという驚きの選択をした青木さん。そうすることで失客を防ぎ、無理なく売上を継続し続けることができたといいます。

今回、お話を伺ったのは…

青木大地さん

美容師/「COA銀座」共同代表

美容学校卒業後、イギリスでの修行を経て有名店に就職。新卒代表に選ばれるなど注目を浴びつつも、なかなか成果が出せない日々が続く。その後、起死回生をかけて、池袋「ROULAND」の立ち上げに参加。代表の指導のもと、徹底したコンテンツ作りを行い600万円の売上を誇る人気美容師となる。2021年には美容学校時代の同期だった小西恭平さんとともに、銀座の一等地に2フロアあわせて170坪を超える「COA銀座」を立ち上げ。スタイリスト16名に対してアシスタント45名を抱えるなど、美容室経営を成功させ話題を集めている。

instagram:@daichiaoki99coa

初月の売上をあげるほど、失客率は高くなる

華々しい経歴を持つ青木さん。しかし最初に勤めた有名サロンではかなり苦労をされたそう

――華々しいご活躍をされていますね。

そのベースとなっているのは、今から8年ほど前に「ROULAND」にアシスタントとして就職し、代表の西岡さんにインターネット集客の仕組みを教えてもらったこと。それまでは技術やコミュニケーションがあれば美容師は成功できると思っていましたが、どんなに技術があっても認知度が低ければ成功することはないと分かり、衝撃を受けました。今となっては当たり前の話ですが、当時は一般的な考え方ではなかったんです。

そこからはSNSやホームページ、キュレーションサイトなどに、ターゲット設定とSEO対策をしたコンテンツを作り込む日々を送りました。夜の12時まで技術練習をして、そのあと深夜3時くらいまで、ひたすらコンテンツを作っていましたね。当時の僕は「グレージュカラー」にターゲットをしぼっていたのですが、「グレージュカラー」と検索すると、上位に出てくるのは僕の画像だけ。また検索結果の上位にも「青木大地」が出てくるようになり、集客に成功しました。この方法は今でも使っていますし、COAグループのスタッフもこの方法で集客が可能になっています。

――ではスタイリストデビューは順調に?

集客できるベースはできましたが、どのようにデビューし、どのように売上を上げていくのか、徹底的に戦略を練りました。というのも僕は「ROULAND」の前に働いていた有名店ではどんなに練習しても一切結果を出すことができず、一時は美容師の仕事から離れたこともあったんです。「ROULAND」で成果をあげなければもう後がないと思っていました。そこで思いついたのが、徹底的に失客しない仕組みです

その実現のために最初に取り組んだのが、スタイリストデビュー月の売上の上限を決めることでした。最初に売上を上げすぎると失客する確率が高くなると思ったんです

――それはなぜですか?

売上があがるほど対応する顧客数が増えていきます。初月はマンツーマンだったとしても、すぐにアシスタントがいないと対応ができないようになり、1人のお客さまに対応する時間が急激に少なくなってしまいます。どんなにがんばって売上の水準をあげても、お客さまに不満が募り、失客と集客を繰り返すことになってしまうと思うんです

そこで僕は徐々に忙しくなることを一緒に楽しんでもらえるような関係性をお客さまと築き、失客しないこと、無理なく顧客数を増やしていけるようにプランを立てました。僕の場合は初月の売上上限を180万に設定し、予約枠がいっぱいになったら翌月に予約をとってもらっていました。そこからゆっくりと顧客数を増やし、半年かけて300万円まであげていくことにしたんです。

目指すのは「地下アイドル」。夢を語り、応援してもらう

青木さんが独立の夢を叶え、2021年10月にオープンさせた「COA銀座」

――忙しくなることを一緒に楽しんでもらう関係性とは、どのようにすれば築けるのですか?

夢を語ることを大切にしていました。僕はお客さまに独立すること、自分でオリジナル商品を作りたいことなど、実現したいことを常に話していたんです。それを理解していただければ、忙しくなったり単価があがっても、夢に近づくということで喜んでもらえようになります

そもそもデビューしたての自分についてくれているお客さまは、応援したい気持ちの強い方がほとんどだと思うんです。いってみれば地下アイドルとそのファンのようなもの。技術力やデザイン力を求めているなら、カリスマ美容師のところに行けばいいわけですから。僕を選んでくれている理由は将来の成長への期待や、人間的に興味を持ってくれているからだと思うんです。

だからこそ臆せず大きな夢を語りました。カリスマ美容師よりも大きな夢を語れば、その点では負けませんから(笑)。こうして自分を応援してくれる人を増やしていったんです。

――失客しないための対策というのは具体的にはどんなことでしょうか。

初回来店したお客さま全員にLINE@を登録してもらい、失客しないための仕組みを3つ作っていました。1つ目はLINE@でアフターケアを行うことです。髪の毛の乾かし方、髪の巻き方などを解説した動画を事前に撮影しておいて、来店いただいたその日に「今日はありがとうございました。今日説明した前髪の乾かし方をお送りしますので、忘れてしまったら見てみてください。」というような言葉を添えてお送りしていました

また来店周期や日々の髪の悩み、どんなヘアケア商品を使えばいいかなどの質問や相談もLINE@で受け付けていて、すべて答えるようにしていました。当初抱えていたのは150人ほどのお客さまだったので、無理なく対応できていました。またさまざまな相談に対して丁寧に対応をしていくと、半年も経つとほとんど質問がこなくなるので、新規のお客さまをフォローしていくという流れで、信頼関係の強いお客さまを無理なく増やしていくことが可能になったんです。

時間誘導や事前カウンセリングも。徹底的に失客を防ぐ

「COA銀座」のメンバーにも失客しない仕組みを実践してもらい、高いリピート率を誇っているという

――2つ目、3つ目の活用方法も教えてください。

2つ目は時間誘導です。店が忙しい時間に来店しているお客さまはどうしても失客リスクが高まり、暇な時間に来店いただいたお客さまの方がリピートにつながりやすくなります。そこで忙しい時間やおすすめの時間を、LINE@で事前にお伝えしておくんです。仮に時間誘導ができなくてもお客さまは忙しい時間だと分かって来店してくだるので、こちらの事情もご理解いただけます。

3つ目は事前カウンセリングです。美容室に行くと緊張してうまく説明できないという方もいるので、事前に希望のスタイルやイメージ写真を共有してもらうようにしました。すべて納得した上で来店いただけますし、美容師側にもカウンセリングの時間が大幅に減るというメリットがあります。

――最終的に、売上はどのくらいになったのでしょうか。

徐々にお客さまを増やし、単価アップなどを経て、独立直前は売上が600万円くらいになりました。今でも僕のリピート率は高く、デビュー当時のお客さまも「COA銀座」に通い続けてくださっています。


青木さんが美容師として成功した3つの理由

1.SNSやホームページのコンテンツを作り込み、「グレージュカラー=青木大地」で集客に成功した

2.お客さまに夢を語り、単価アップや忙しくなることを喜んでくれる関係性を築いた

3.LINE@を活用した失客しない仕組みづくりで、高いリピート率を達成した

後編では青木さんが、専門学校時代の同期である小西恭平さんと作りあげた「COA銀座」について伺います。銀座の一等地に内装にもこだわった広大なサロンを展開している青木さん。スタイリスト16名、アシスタントを45名も抱え、アシスタントでも歩合給は最高で70万円と驚きの給与条件を実現しているそうです。

そんな夢のようなサロンを作った理由を「最強の近所の公園にしたかった」と青木さんは言います。一体どのような意味なのでしょうか。後編もお楽しみに!

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Salon Data

COA銀座
住所:東京都中央区銀座6-13-9 girac銀座7F、B1F
電話番号: 03-6264-1369
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