好き8:ニーズ2で集客の最適解を見つける 美容師あおいさん
「grow秋葉原店」の代表でプロデューサーを務める、美容師のあおいさん。「grow恵比寿店」在籍時代に「何ができる美容師なのか」をシンプルに打ち出し、スタイリストデビューから3カ月で売上200万円という記録を作ったそうです。その実績を買われ、秋葉原店を任されることになったあおいさんは、秋葉原店に在籍するスタッフのプロデュースに力を入れているといいます。
今回、お話を伺ったのは…
あおいさん
美容師/「grow秋葉原店」プロデューサー
美容専門学校卒業後、都内サロンを経て「grow恵比寿店」に業務委託として入社。SNSを使った集客を得意とし、スタイリストデビューから3カ月で200万円の売上をあげるなど成果を残す。「grow秋葉原店」の立ち上げから携わり、「grow秋葉原店」プロデューサーを務める。現在は美容業界初の「AIフォトサービス」の提供もするなど、多岐にわたって活躍中。
ギャル以外のエクステのニーズをつかみ、売上200万円を達成
――スタイリストデビューから3カ月で200万売上を達成したとお聞きしました。どのようにして実現したのでしょうか。
「プルエクステを使った可愛いスタイル」をインスタや集客サイトに打ち出したことで、集客をできるようになりました。プルエクステとは、エクステの先端の紐と地毛を結んで取り付けるタイプのもので、これを恵比寿で唯一取り入れていたのが以前在籍していた「grow恵比寿店」でした。
それまでエクステというとギャルが使うイメージが強かったと思うのですが、僕がギャルのスタイルをあまり好きではなくて。ギャルではないけどエクステを使ってみたい層は確実にいると思ったので、そこに特化することにしました。プロフィールにはエクステを使った可愛いスタイルを作っていることを書き、そのような写真を多く投稿するようにしていましたね。
――SNSを使った集客が得意とのことですが、SNS集客するために一番大切なのはどんななことでしょうか?
「この美容師は何をできるのか」「どんなスタイルが得意なのか」が一目瞭然で分かることだと思っています。投稿そのものよりも、プロフィールでシンプルにそれを伝えられるほうが大事だと僕は思っています。
――あおいさんは、SNS以外にも集客のためにやられていたことはありますか?
「grow恵比寿店」のときは、とにかく認知度をあげたくて、インフルエンサーの方たちにプルエクステを体験していただいたこともありました。元々のつながりはなかったので、DMを手あたり次第お送りしましたね(笑)。どんなに高い技術を持っていても知ってもらえれなければ意味がないので、認知を広げていくことが大切なんだと思います。
スタッフがやりたいこととニーズをかけあわせ、色を付ける
――現在は「grow秋葉原店」のプロデューサーだとお聞きしました。あまり聞かない肩書きですね。
実際は「grow秋葉原店」の代表なのですが、どうも「代表」という言葉がしっくりこなくて。代表というとお店を背負ってるイメ―ジになると思うんですけど、実際に背負っているのはスタッフで、そのスタッフをどう輝かせるかが僕の仕事だと思っているので。肩書きにこだわっているわけではないのですが、代表という言葉に違和感がありすぎて、プロデューサーと名乗っているという感じです。
――スタッフを輝かせるために、どんなことをされているんでしょうか?
色を付けることです。先ほどもお話をしたように、集客で一番大切なのは「この美容師は何をできるのか」が一目瞭然で分かることだと思っています。そのために、スタッフの好きなスタイルややりたいことをヒアリングし、ニーズも見極めながら方向性の提案をするようにしているんです。うちのサロンはお店としての集客力もありますし、業務委託サロンなのでスタッフにSNS運用を強制することはありませんが、SNSに力を入れたいスタッフがいたらアドバイスもしています。
――これまでスタッフの方をプロデュースした事例があれば、教えてください。
最近だと、過去にメンズ地下アイドルとして活動をしていたスタッフが入社してきたので、「メン地下アイドルが可愛いと思うスタイルを作る」というブランディングを提案したことがありました。推しに好かれたいと思っている子たちを獲得できると思ったんです。そのスタッフ自身、レディースを担当したい、カットよりもカラーがやりたいという希望があったので、そこにプラスして、地雷系のセットもできるようにしたほうがいいとも伝えました。このように、本人がやりたいことをベースにしながら、ニーズも見極めて、SNSで発信していけばだれでも必ず集客ができると思っています。
自分の「好き」をいかに表現できるか
――好きなこととニーズがかけ離れていたらどうするのでしょうか?
僕は「好き」の方を重視すべきだと思っています。以前働いていたサロンでは、僕の作るスタイルは受け入れてもらっていなくて、「可愛くない」と言われていました。でも自分は可愛いスタイルだと思っていたし、自分と同じように感じてくれる人はいると信じていました。その人数が多くなくても、その人たちに届くようにSNSを運用していれば、間違いなく成功するという自信があったんです。実際、今僕が担当しているお客さまは、自分の作るスタイルを可愛いと思ってくれる人ばかりです。
――求められるものを選んだ方が活躍できるようになるという意見もあると思いますが、そのあたりはどうですか?
求められているスタイルを作ることを楽しめるならいいと思うのですが、僕は自分の好きなスタイルを作り、美容師として働く時間を楽しみたいという思いが強いので、売上が多少少なくなったとしても好きなスタイルを作っていきたいです。というのも1週間のうち仕事の5日が辛くて、休日の2日が楽しいとしたら割に合わないと思っていて。美容師の仕事を楽しむという選択肢があってもいいというのが、僕の意見です。
プロデューサーあおいさんが考える美容師が活躍するための3つのコツ
1.自分が好きなこと、やりたいことをベースに強みを打ち出す
2.SNSのプロフィール欄は、一目見て、何ができる美容師なのかが分かるようにする
3.売上をあげることだけでなく、楽しく美容師を続けることも視野に入れる
後編ではあおいさんが新たに始めた「AIフォトサービス」について伺います。AIによる画像生成をベースにスタイル写真を作り出すこのサービスで、美容業界の働き方改革もできると考えているというあおいさん。その背景にあったのは、美容師を尊敬しているからこそ、楽しく働く選択肢を作れないかという思いでした。後編もお楽しみに!