注目すべきは「エンゲージメント率」。就活でアピールできるSNSアカウントを作るには/YEEELL 鰐川未紗さん #1

SNSでの発信が当たり前になった美容業界。就職採用でSNSアカウントを聞くサロンも増え、SNSの活用が就職活動に与える影響も大きくなってきました。そこで本企画では、就活に効果的なSNSの活用法について、有識者へのインタビューを通して学んでいきます。

今回は、さまざまな企業のマーケティングサポートやインフルエンサーマネジメントをしている株式会社YEEELLの執行役員・鰐川未紗さんにインタビュー。女性インフルエンサーのマネジメントに特化しているYEEELLには、美容系クリエイターも多く在籍しています。

前編では、美容業界におけるSNS事情や、美容学生が就活のために美容系クリエイターとしてSNSを活用するメリットを教えていただきます。

お話を伺ったのは…
株式会社YEEELL 執行役員 鰐川未紗さん


高校卒業後、アパレル卸会社のEC総括部に就職。2010年に化粧品・カラコンのメーカー会社に転職し、インフルエンサー事業部にてインフルエンサーのマネジメントと同時に、企業のPR担当も兼任。2018年に現在の株式会社YEEELLに入社し、インフルエンサーのマネジメントを行うバディマネジメントDivの統括を担当。約2年間の産休・育休を得て2023年に復帰し、2024年1月に執行役員に就任。13年担当していたインフルエンサーマネジメントの経験を活かして、インフルエンサーマーケティングを軸にさまざまな企業のマーケティング戦略を担当している。

活躍しているのは
各プラットフォームの特徴を理解した発信で
知識の深さをアピールできるクリエイター

――今回は美容系職種への就活を目指す方が、SNSを活用する方法として、
  美容系のアカウントを運営していく上でのアドバイスをお聞きします。
  まずは美容系クリエイターを取り巻く、現在のSNS事情を教えてください。

以前のSNSは、発信する人にある程度の知名度があって人が集まる場になっていたり、流行した「コスメ好きでつながりたい」というハッシュタグのようにマニア同士のつながりから交流が生まれていく印象でした。

しかし最近は、発信する人の知識量がどれくらいあるのか、どれだけの商品を試してきた人が本音で伝えてくれているのかという部分が重要視されています。

――美容系クリエイターの活躍の場として、主にInstagram、TikTok、YouTube、Xが活用されている印象ですが、それぞれの特徴は?

SNSの各プラットフォームには、以下のような特徴があります。

Instagram:自分の「好き」が詰め込まれている場所。好きなモノ・コトが同じ人をフォロー、いいね!、をすることで、おすすめには趣味趣向が合う人が表示され情報を得たりシェアしたりできる
TikTok:自分がまだ出会えていなかった興味関心に気づける場所
YouTube:気になることに対して深掘りする場所。理解度を高めるコンテンツとして活用されている
X:好きなもの、気になるものの鮮度の高い情報を獲得できる、リアルな個人の感想が知れる場所

個人的には、「美容だから絶対にコレ」というSNSはないと思います。どのプラットフォームも、しっかり活用されている印象です。

ただ、いずれのプラットフォームでも、「特徴を理解したうえで発信しているか」という点が、アカウントの成長を大きく左右しています。「好き」を極めている人ならInstagram、自分のスキルを興味関心がない人たちにも広く知ってもらいたいならTikTok…など、自分がどういう風に発信したいかで活用されるSNSも変わってくるんです。

――今後のSNSの動向についてはいかがですか?

今のSNSは、すごく知識が豊富で、その分野における理解度の高い方が活躍されていると感じます。また、どのプラットフォームでもショート動画の需要が高く、そこに合致した発信の仕方ができているアカウントは強い印象です。

私たちはYouTubeで活躍するインフルエンサーをメインにマネジメントしていたこともあり、以前は毎月の投稿本数や投稿頻度をとても重視していました。しかし現在は、特にTikTokでバズっている投稿を見ると、それまでの投稿本数が少ない方やインフルエンサーではない一般の方などもバズっているんです。

そういった投稿の共通点は、冒頭2秒で何を伝えたいのかわかる発信の仕方と、情報量がとても豊富なことです。今後のSNSでは、そのあたりを極めていく必要があるんじゃないでしょうか。

企業が求めているのは「一緒にファンを作れる人」。
学生時代にSNSを活用できると学びも多い

――美容学生が美容系クリエイターとしてSNSを活用するメリットは何だと思いますか?

美容職種でSNSを得意とする人を採用したい理由は、おそらく集客面やファン作りといったところを、一緒に頑張ってくれる人を探しているのだと思います。美容学生がSNSを活用して美容系クリエイターになることができれば、「就職したい企業の戦略として自分は活躍できる」というアピールになる、というメリットはあるんじゃないでしょうか。

SNSで発信をしていると、自分に何が足りないのかを知り、学ぶ機会が多いんです。あるものを伝えるためには、どのプラットフォームで、どんな構成で伝えると効果的なのか。そのためには、どんな情報が必要で、どこから情報を集めたらいいのか。そういったことを考え、学ぶ機会になりますし、どんな発信の仕方が自分に合っているか、得意なのかを知ることもできます。就職前からSNS活動をすることで、そういった経験が得られることも大きなメリットになるんじゃないかと思います。

――そういったスキルは、美容系の職種に就職後も役立ちますよね。

ただ、企業で役立つレベルでSNS活動をしていきたいなら、「SNSを始めなきゃ」がスタートではなく、「SNSで何をしたいのか」という目標設定は、最初にする必要があると思います。その目標設定によって、どのプラットフォームを使うのかを決めて、そのプラットフォームに合わせた投稿方法の計画をしていくことになるんです。

自分自身を知ってもらって集客につなげたい、将来的にプロデュース商品を作りたいなど、何かしたいことがあるからSNSを活用するんだということは、大前提として考えて欲しい。「SNSを使って何をしたいか」によって、SNS運用のメリットは変わってきますから。

フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率も重要。
高いエンゲージメント率は就活でもアピールポイントになり得る

――就活という視点ですと、わかりやすい注目ポイントとしてフォロワー数の多さがあるかと思います。その点はいかがでしょうか?

フォロワーが増える=ファンが増えるということなので、フォロワー数を増やすという視点もきちんとメリットがあることだと思います。ただ、私たちはフォロワー数よりもエンゲージメント率の高さの方が重要なんじゃないかと考えているんです。

エンゲージメント率というのは、フォロワー数に対してどれだけの人が投稿を見て反応してくれているのかという割合のこと。例えば、フォロワー1万人中3000人しか見ていないより、フォロワー5000人のうちほとんどが見てくれているなら、後者の方がちゃんとファンに届けられていて、発信する意味があると思うんです。

フォロワーを増やすことはもちろん大事なことですが、エンゲージメント率アップを重視した視点を持っていることも、就活には有利になるんじゃないでしょうか。フォロワー数は少なくても、いつも投稿する内容に「いいね」がたくさんついて、保存数がこれだけある…。そういった情報を面接などで伝えられたら、「この人が発信していることは、こんなに需要があるんだ」と見てもらえるんじゃないかと思います。

エンゲージメント率が上がれば、各プラットフォームの「おすすめ」に出やすくなり投稿を見てくれる人が増える。それが質の高い投稿なら、一緒にフォロワーも増えていきます。

――では、エンゲージメント率を上げるためのポイントは?

エンゲージメント率を高めるには、まず多くの人に見てもらうことが大切です。それには、どのSNSにもある「おすすめ」投稿に出ることが、ひとつ大きなポイントになります。

どのプラットフォームにも共通することですが、プラットフォームを提供している側からすると、自分たちのサービスを活用してくれている人を「おすすめ」に出したいと考えます。全く投稿していないアカウントを、みんなに「見てください」とはならないですよね。

では「自分たちのサービスを活用してくれている」と判断されるポイントは何かというと、定期的に投稿を続けることだけでなく、どれだけ他者とコミュニケーションをとっているかが重要なんです。コメントがついた時に、ハートやコメントを返しているか。Instagramなら、ストーリー投稿をこまめにしているか、アンケート機能を活用しているか。

そういった機能を上手に使って、多くの人とコミュニケーションをとっていくと、エンゲージメント率は上がっていくと思います。

美容学生がSNSを活用するメリット

1.就職したい企業の戦略として自分をアピールできる

2.就職後のSNS活用のための学びが得られる

3.エンゲージメント率を上げる投稿でアピールポイントが増える

次回後編では、美容学生がSNSを活用していくうえでのアドバイスをお聞きします。

取材・文:山本二季

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