美容師はひとり仕事じゃない。チームワークに貢献できる協調性のPRが重要「HONEY shibuya」近 菜摘さん
東京、横浜にグループ5店舗展開し、カジュアルから韓国風ヘアまでさまざまなトレンドを発信するサロン「HONEY」。2022年に入社し、現在スタイリストを務めているのが近菜摘さんです。
前編では、就活のスタートや採用試験の準備などについて伺いました。面接官の心に響くような回答をするために質問の答えは文章ではなくフレーズで覚えていたといいます。
後編では、近さんが面接試験で意識していたことや学生時代に取り組んでおいてよかったと感じたことについてお聞きします。先生が働くサロンが併設され、サロンワークの練習をする機会が多い学校に通っていた近さん。来店から退店までの流れや掃き掃除のやり方を熟知していたため技術を磨くことに専念できたそうです。
今回、お話を伺ったのは…
「HONEY shibuya」スタイリスト
近 菜摘さん
新潟県出身。高校生時代に美容師にときめきを感じて目指すようになる。国際文化利用美容専門学校を卒業後、2022年に「HONEY」に入社。現在入社3年目でスタイリストを務めている。ボブスタイルのカット、スタイリングを得意としており、社内で期待を集めるスタッフの1人である。
チームワークが必要不可欠だからこそ協調性を猛アピール
――面接試験で意識していたことは何ですか?
協調性のある人というイメージをつけることを意識していました。美容師はお客様と1対1で取り組む仕事と見られがちですが、常に他スタッフと連携しており1人のお客様に対してサロン全体で動いているんです。
例えば、シャンプー台の数には限りがあるのでタイミングが被ってお客様を待たせてしまうことがないよう注意しなければなりません。ほかのスタッフと日頃からコミュニケーションがとれていることが大切なので、そういった協調性を持っていることを伝えようと思ったんです。
――協調性があることはどのようにアピールしたのでしょう?
自己PRのときにバイトや部活でのコミュニケーションの話をしてアピールしました。1つ挙げるとすると、私は高校生時代に自動車学校の食堂でアルバイトしていたんです。利用者のほとんどがバスやタクシーの運転手と年上の人ばかりだったのですが、年の差に臆することなく接客ができていました。さらに知り合いの人に食堂に訪れるよう呼びかけてもらえるほど、多くのお客様と仲良くもなれていたんです。
――お客様に愛されるスタッフだったんですね。他にも面接で意識していたことはありますか?
継続力があることを伝えるようにしました。美容業界は離職率が高いので、簡単に辞めない人が求められると思ったんです。そこで私は面接でバイトや部活を途中で辞めることなく、在学中3年間続けてきたことなどを伝えました。
サロンワークを事前に習得。実習経験が入社後のスムーズな活躍につながる
――採用が決まったときの心境はどうでしたか。
とても安心しました。当時の「HONEY」は、合格した場合は電話で採用の連絡がきて、不合格の場合は郵送で履歴書が返送されるという形だったんです。そのため家に帰ってポストを見るのが怖くて、合否連絡が来るとされる期間の1週間ほどは友達の家に泊まっていました。それほど不安が募っていたなかで内定をいただいたので安心が大きかったです。
早い時期に就活をスタートさせたこともあって就職先は2年生の6月に決まって。国家試験まで半年以上あったので余裕を持って試験準備できました。
――学生時代に学んだことで、入社後に活きたと感じることは?
サロン実習ですね。私が通っていた美容専門学校には、先生をはじめとするスタッフが働くサロンが併設されていました。そこで授業の一環としてスタイリストのヘルプに入ったり、掃除をしたりしていたので、お客様の入店から退店までの流れや接客対応を把握できていました。その経験があったため入社してから新たに覚えることは比較的少なく、技術を磨くことに集中できたんです。
――なるほど。一方で取り組んでおけばよかったと感じることはありますか。
専門学生時代もアルバイトをしておけばよかったと思います。というのも私が専門学校に通っていたときはコロナ禍でリモート授業も多く、先生や同級生など人と直接コミュニケーションをとる機会がグッと減ったんです。そのためコミュニケーションの取り方を忘れてしまって。居酒屋などの飲食店でバイトしていれば、コロナ禍でもコミュニケーションを取る機会が増えて、アシスタント時代ももっと積極的にお客様と交流ができたのではないかと思います。
人間関係はサロン見学で徹底リサーチ
――就活期に悩んだことはありましたか。
人間関係づくりに対する不安がありました。美容師に限らず一般企業でも辞職の理由でよく聞くのが人間関係です。トラブルや挫折なく働けるよういい人間関係が築けそうなサロンを探していましたが、正直入ってみないとわかりません。「このサロンは大丈夫かな」という不安を抱えながら就活をしていて、入社したときにようやく解消されましたね。
――近さんはどのように見極めたのでしょうか?
私はサロン見学のときにスタッフさん同士のコミュニケーションを見ていました。人間関係に何かトラブルを抱える職場であれば、スタッフ同士の連携やコミュニケーションにも何か影響が出ると思います。
そのため、担当スタイリストだけでなく、手の空いているスタッフや受付スタッフが話している内容や行動をじっくり見ていました。結局のところ、最終判断は直感になってしまうので確実とはいえませんが、サロンに何度も通って観察し、判断材料を増やすことは大切だと思います。
――最後に就活を控えている方へアドバイスをお願いします。
サロン探しの前に絶対に譲れない明確な条件を1つ決めておくといいかもしれません。世の中にはサロンが数多くあるので、入りたいサロンのイメージが決まっていないと迷い続けて時間だけが過ぎていってしまいます。
まずはカリキュラムやサロンが得意とするヘアスタイルなどリサーチすれば分かるものを条件に掲げていき、私が不安に思った人間関係については入りたいサロンの目処が立ってきてから気にするのがおすすめです。最後に2軒で迷ったりしたら、直感を信じて選んでみるといいと思います。何かを感じたということは本能的に合う部分があるはずです。
近さんが考える就活を成功させるための3つのポイント
1.チームワークに貢献できる協調性と継続力をアピールする
2.バイトに取り組んでコミュニケーション慣れをしておく
3.サロン見学に何度も行って人間関係を見極める
取材中、天真爛漫な笑顔とトークで終始和やかな雰囲気だった近さん。アルバイト時代のエピソードからも分かるように、人を惹きつける人柄と、円滑なコミュニケーションが今の活躍につながっていると感じました。迷ったときに直感でチョイスする大胆さ、かっこよさも見習いたいです。これから就活や採用試験を控えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。