面接で見ているのは周囲との協調性。自分のなりのアピール方法を模索して【apish 渡辺 梨沙さん】#3

美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!

アットホームな雰囲気が特徴のサロン「apish」。前回に引き続き、apishにてスタイリスト兼採用担当者の渡辺 梨沙さんにお話を伺います。

第3回目の今回は、面接について。面接で見ているところや評価が上がるスタイルブックの例をお聞きします。

お話を伺ったのは…
apish 渡辺 梨沙さん

国際文化理容美容専門学校(渋谷校)を卒業後、apishに入社。スタイリストとして活躍する傍ら、新店舗のベース作りや新入社員を育てるなど、社内のいろいろな業務を担当。今年で美容師歴23年目に突入し、スタイリストとして会社の人事部として奮闘中。

見ているのは「対話」の様子。周囲と円滑なコミュニケーションを取れる人が高得点

――#1で、面接の重要度は高いと伺いました。
面接で注目しているところは?

やはり接客業なので、ある程度のコミュニケーションが取れるかどうかは、注意してみています。話している相手の目を見て話せる、要所要所でうなづいて聞いているなど、会話の基礎ができていると印象が良いです。

どうしても自分をアピールすることに気を取られると思いますが、その人の対応力を見たい気持ちがあります。面接官やほかの志望者とのコミュニケーションが円滑に取れているかどうかは大きなチェックポイントになります

――では、面接の概要をお聞かせください。

集団・個人どちらもあります。1つのエリアへの希望人数が多いときは集団で、ガイダンスなど事前に会っていてより詳しく知りたいときは個人で行います。集団は人数によって変動はありますが2時間ほど、個人のときはだいたい1時間が平均です。

#1でも話したように、エリアごとに募集をしているため、履歴書に記載いただいた志望先の店長や副店長が面接を担当します。そのほかのスタッフは自由参加。志望者の方の中で、事前にお客様としてサロンに来店していて顔見知りであれば、その担当スタイリストに同席してもらっています。その方が、学生も緊張が和らぐかなと。

稀に面接官の人数が多くなってしまった場合は、圧迫感を減らすためにzoomを使用して画面越しに参加するケースもあります。

――面接時に必ず確認していることはありますか?

配属希望の店舗の確認は取るようにしています。

apishは「●店はパーマがウリ、●店はカラーがウリ」のように店舗ごとで色が違うので、apishに入社したときの配属希望店舗とその理由を必ず聞いています。そもそも、apishという会社、または一つの店舗のどちらを志望しているのか、知りたいんですね。

――その確認によって、見ているところは?

もちろんその人の意向を汲み取るためでもあるのですが…。apishには、スタッフの視野や経験、スタイリストとしての幅を広げるために各店舗をローテーションする仕組みがあって。希望店舗のほかにも会社の意向を理解して、柔軟に対応できるかチェックするためです。希望の店舗以外でも意欲的な人はこちらとしては安心ですし、前向きな要素として印象に残ります。

求めているのは正解ではなく自身の思考。自然体で飾らない姿をアピールするのが吉


――必ずしている質問はありますか?

個人的にするのは、感謝している人または喜びを伝えたいと感じる人は誰なのかという質問。相手は誰でも良いんです。日頃から、自分と関わっている周囲の人たちに、感謝できているのか、その気持ちを認識できているのかを見ています。

基本的には、店舗ごとに担当する者が違うので、テンプレートはないです。ただ、周囲を見ていてよくあるのが「先輩が黒と言ったものが白だった場合、どうする?」といった質問。これについても、正解・不正解はありません。

強いて言うなら、自分で一旦考えて答えに関しての背景や理由が分かることが望ましいですね。こちらが求めている答えじゃないからといって不合格になるわけではないので、一人一人の意見を聞かせてほしいです。

――面接で好感を持つ行動やしぐさは?

やっぱり周囲の話にもしっかり耳を傾けていたり、話しをしている相手の目を見てうなづくなど、聞いている姿勢が分かる人は印象が良いですね。

反対に、聞いていなかったり明らかに興味のなさそうな態度の人はちょっと残念に感じていまいます。

――自然体でいることが求められるのですね。
アピールとしてスタイルブックを持参する割合はどのくらい?

こちらから強制はしていませんが、9割くらいの人たちは持参してきますね。おそらく学校の先生がそういう教育をしているのだと思います。

スタイルブックの評価は内容よりも作成する背景に注目している

――スタイルブックに求めているものは?

伝えたいことを自分なりにアピールできる方法で提出してもらえると嬉しいです。以前に人望をアピールするためか、周りの人たちの寄せ書きが入ったものを持ってきた人がいました。自分の人間性や周りとの良好な関係性を伝えたかったのかもしれませんが、「面接の日のために」用意してきたものではないところが気になりました。

「今日のためにこれだけやってきました!」と分かるものである方が嬉しいですし、評価しやすいです。

――内容の質よりもそれまでの過程や姿勢を重視しているのですね。
印象に残っているスタイルブックについてお聞かせください。

自分のアルバイト先の魅力をまとめたプレゼンをした人です。スタイルブックではないですが、働いている場所に対して込められている気持ちが伝わり、すごく印象が良かったです。周りが王道のスタイルブックを持ってくる中、一味違うアイデアだったところも魅力に感じました。

自分が伝えたいことを明確にして、取り組んでいればOKです。

――サロンワークの実施は毎回ではないと伺いました。
どんなときに行われるのですか?

我々が志望者に対して、もう一度話すチャンスがほしいときです。

うちに合いそうだとか良い人だとか、好印象ではあるのですが、一次面接の際にちょっと元気がなかったり目を見て話せなかったり…緊張によってそうなっているのなら勿体ないですから。

一生懸命に仕事しようとするよりも、周りのスタッフやお客様とのコミュニケーションを円滑に取っている姿が見られると嬉しいです。

採用される面接時のポイントまとめ

1.会話の基礎を身につけ、社交性をアピールする

2.自分の考えを持ちつつ、柔軟に対応できる姿勢を見せる

3.誰が見ても分かりやすい手段を考えて実行する


取材・文/東 菜々

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