まだまだ挑戦中!これまでになかったパーソナルジムで、人生をもっと豊かに 私の履歴書 【パーソナルトレーニングジム・トレーナー兼オーナー 山口大地さん】#2
現在、俳優としてドラマや映画、舞台にと活躍しながらも、「精神と時のジム(通称:時ジム)」というパーソナルトレーニングジムの事業も展開し、二足の草鞋を履く日々を送る山口大地さん。月額制による通い放題を可能にした、所謂“サブスク”を取り入れたシステムは時流にも合ったうえ、質の高いトレーニングやサービスが会員の心を掴んで離さず、高いリピーター率を誇ります。
前編では、ご自身のトレーニングとの出会いからパーソナルトレーニングジム事業をスタートし、数々の試練を乗り越えてきたところまでをお話しいただきました。
後編では山口さん自身のことも交えながら、俳優業との両立についてやこの事業への思い、そしてまだまだ成長過程にあるという「時ジム」の今後の展望にも迫ります。
「自分の生き方に責任を持ちたい」――公表したのは、俳優業のためでもある
――昨年秋、俳優業とパーソナルトレーニングジムの事業との両立を公表されましたが、何か心境の変化があったのでしょうか?
「自分の生き方に、もっと責任を持ちたい」
この思いが募りに募ったのが、一番の理由です。
――そう思われた経緯についてお聞かせください。
事業を始めた当初は、役者業のためにジムのことは公表しないでおいた方がいいと思っていました。しかし時代も変わり、今は副業自体もかなり一般化したように思います。そんな時流を踏まえて、改めて俳優業とこの事業との両立について考えたんです。
よくよく考えると、ジムの事業を運営することは別に悪いことではないな、と。副業に対する理解も浸透したことで、公表してもジムの事業が俳優業に影響しなくなってきたと感じました。僕は純粋に芝居が好きで、楽しく芝居がしたいと思っていて、俳優業についても全力で取り組んできていましたから。
そもそも、俳優業が制約になると考えること自体、ファンのみなさまに対しても失礼だな、と。後ろめたい気持ちは何もないし、隠し事をし続けるのも嫌でした。
俳優としての自分もこの事業をしている自分も、まずは自分自身が責任を持って肯定し、受け入れたい。どちらに対しても真摯に向き合っていきたい。そんな意思表示も込めて、公表を決意しました。
公表に際して、ご理解いただいた事務所の方々にはとても感謝しています。
――俳優業とこの事業を両立されていて良かったこと、逆に大変だったことなどはありますか?
大変だったことや苦しかったことは、本当にないんです。むしろ、僕自身や俳優業にとってプラスに作用しているんじゃないかな。
普段の俳優業は、演者として現場にいる立場ですが、ジムの事業では、現場にいるスタッフをサポートする立場になります。どちらも経験もすることで、事務所のマネージャーというサポートする側の立場に対する理解が深まり、マネージャーの皆様との関係構築にも良い影響を与えていると感じています。
私たちが提供しているのは、トレーニングだけではありません
――「精神と時のジム」の名前の由来を教えてください。
ご存知の方も多いと思いますが、当初の単純な由来としては、名作漫画『ドラゴンボール』の作中に出てくる用語をもじったものです。トレーニングする時間って、いつもと違って時間の感覚が変わるじゃないですか。たった数十秒が、トレーニングの最中はものすごく長く感じたりする。そんな非日常な体験をする場所、という意味合いで名付けています。
しかし、私たちが提供するのは、トレーニングだけではありません。
――どういうことですか?
トレーニングはあくまで手段なんです。目的は、お客様がここで質の良い「時間」を過ごすこと。そのために、時ジムでは“お客様が、どう思うか”という「心」を最優先に考えて、環境やトレーニング、サービスを組み立てています。。トレーニングに関するお客様のニーズを汲み取るのも、その一環です。これは他のトレーナーたちにも徹底してもらうよう心がけています。
このように考えると、ジムで過ごすお客様方の「心(精神)」と「時間」を大切にすることは、「精神と時のジム」というネーミングにもつながってくるな、とも感じています。後付けのようですけど、ダブルミーニングって言うのかな(笑)。
――確かにそうですね! 山口さんが、そこまで人のためを思い行動できる原動力は何ですか?
僕はそもそも、自己完結していたら社会で生きている意味がないと思っているんです。自分もトレーニングを手段として質の高い時間を過ごす中で、心を満たし、体調を回復させていきました。この経験に基づく自分にできることを他者にも還元することで、喜びや幸福は増幅する。人のためになることを通じて、僕自身も幸せに生きるため、ですね。
「時ジム」で過ごす時間を通じて、人脈、健康、そして心も豊かに
――今年の6月にオープンされた2号店・二子玉川店は緑がいっぱいの内装が特徴的ですよね。トレーニングジムとしては珍しく感じましたが、なぜこのような内装に?
妻の実家が植物屋を営んでいることから、ご自宅にも植物の在庫がたくさん置いてありました。そちらを訪ねた際、緑がある環境の心地よさを実感したのがきっかけですね。
ありがたいことに、ちょうどジムの経営的にも2号店を出すことを検討してもいい時期でした。植物に関しては義父にもご協力いただけることになり、「植物がいっぱいのトレーニングジムを作ろう!」と決意した次第です。
――二子玉川店でも、渋谷店のようにDIYを?
はい。むしろ、渋谷店よりも一層本格的なDIYを行いましたね。知人の紹介を通じて、DIYのプロフェッショナルとして知られる山田芳照さんにもご協力いただけることになりまして。初期費用は抑えながらも妥協のない、こだわりの内装を実現できました。
――2号店をオープンされたばかりですが、今後の展望をお聞かせください。
直営店はもっと増やしたいと思っていて、現在3店舗目も構想中です。さらに、ここまで紆余曲折してきた自らの経験を生かしたくて、フランチャイズも始めました。当面は、直営店10店舗とフランチャイズ30件が目標かな。日本の健康ビジネスはアメリカなどに比べたらまだまだ小さいくらいなので、これからもっと拡大していくはずです。
また、ゆくゆくは僕の地元である鹿児島にも「時ジム」を作りたいですね。生まれ育った地にも何か貢献できたらな、と考えています。
――山口さんにとって、「働く」とは?
「自分なりの人や社会に対する還元方法」ですね。
米ハーバード大学が長年続けている、「幸せ」についての研究があります。それによれば、幸福度が最も高い人とは「身近な人と良好な関係を築けている人」。この事業を始めたのは、この研究を知ったこともきっかけの一つです。他人の幸せを考えられないと、結果として自分も幸せから遠ざかってしまうんですよね。
だから、僕にとってのトレーニング、そして「精神と時のジム」の事業とは、人と人とが豊かに繋がり、良好な関係を築くための手段や場所。人間としての幸福度を上げるためのものなんです。
山口大地さんの成功の秘訣
1. トライアンドエラーを恐れない
2. どん底の中でも考え続ける
3. 周囲との関わりの中に幸せを見出す姿勢
撮影/内田 龍
取材・文/勝島春奈
Gym Data