完全予約制×ひとり施術体制で築く患者さんとの密な関係 川口元郷名倉堂接骨院 院長 森永悠介さん#2

患者だった接骨院の先生の下で10年修行し、川口元郷名倉堂接骨院を開業した森永悠介さん。前編では、接骨院で働きながら専門学校の勉強に励んだことや接骨院での修行時代についてお伺いしました。

この後編では、患者さんを家族だと思って接するという院のコンセプト、猫背矯正や女性向けの治療に注力していることについてお聞きします。そして歴24年の森永さんが思う柔道整復師の仕事とは?

完全予約制、施術者ひとりだからこそ築ける患者さんとの密な関係

「骨継ぎを始めた人が『名倉』というらしく、お年寄りの方にはケガすると名倉さんに行っておいでと言う人も多かったそう。ここは川口元郷にある名倉堂です」

――川口元郷名倉堂のコンセプトを教えてください。

院や自分に関わっていただいた方に、ここに来て良かったと思ってもらえるような院を目指しています。とくに意識しているのは、患者さんを自分の家族だと思って接すること。もし自分のおじいちゃん、母親、子どもだったら病院で精密検査をさせるなと思ったら病院を紹介するし、治療の方向性を決めるときも家族だったらこうするな、これはさせたくない。それと同じように診療内容を考えています。

――すごく温かい接骨院ですね。施術者は何人いらっしゃるのですか。

わたしひとりで受付から施術、お見送りまでしています

――受付までひとりで? 通常の接骨院とは雰囲気が違うなと感じていましたが、おひとりだからですね。そのメリットはどんなところですか。

誰に遠慮することもなく、お互い1対1で深い話ができることです。隣のベッドにも患者さんや施術者がいるとどうしても遠慮しちゃうことってありますよね。でも完全予約制、施術者は僕だけなので人がワチャワチャ出入りすることもなく、患者さんと深い関係性が築けることがメリットです

猫背矯正の導入で婚活男女など患者さんの層に変化が

猫背矯正の患者さんが結婚、出産され、産後の骨盤矯正の施術後に、ご主人が来院されるパターンも。

――注力されている施術について教えてください。

まず猫背矯正です。「どうしたら姿勢がよくなりますか」という現場の声が多かったのと、例えば膝の痛みを訴えているけど、もっと全体的に治していかないといけない患者さんがいて、そのときに姿勢だなと思ったんです。

――猫背矯正を導入されたことでどんな変化がありましたか。

患者さんの層が変わりましたね。猫背矯正の最初の患者さんは、30代の婚活男性。婚活の担当者に「あなたは姿勢が悪いことで第一印象が残念。まずは姿勢を直してください」と言われ、ネットで調べてここにたどり着いた方でした。それまでのウチにはなかった患者さんですよね。その方は姿勢を改善して見事ご結婚。それを聞いたときは僕もすごく嬉しかったです。

――施術メニューで患者さんはそんなに変わるのですね。猫背矯正は何回くらいするのですか。

週に1回3ヶ月で治していこうというスタイルでやっています。結構早い段階で改善することが多いんですが、それをキープするのが難しいんです。そのため3ヶ月くらいかけて正しい姿勢をキープするようにしています。

――女性向けの治療にも力を入れているそうですね。

はい。うちは女性の患者さんが比較的多く、猫背矯正と産後の骨盤矯正を軸にその人に合った施術を提供しています。

――産後の骨盤矯正は注意することがたくさんありそうですね。

そうですね。出産時は骨盤が開くんですが、授乳することによって今度は骨盤が閉じるホルモンが出てくるので、その時期からのほうが結果が出やすいんですね。施術する際は、もともとお腹が大きかったとか、妊娠前から腰痛があったなどヒアリングは細かくするようにしています。

来院からお見送りまで、僕から声をかけて僕で終わる

「接骨院には性別も年齢も職業もさまざまな人が来ます。自分の引き出しが多いと患者さんに寄り添えるので、アルバイトでいろんな経験をするのもおすすめです」

――森永さんは猫背矯正マイスター講師のご経験もあるそうですね。

はい。猫背矯正マイスターは現在17名いるんですが、講師として伝える仕事をしていました。院が休みの日を利用して全国を巡り、当時はほぼ休みなしの状態でしたね。

――講師業のご経験は、その後の院の運営や施術に役立ちましたか。

教わるよりも教えることのほうがアップデートされて勉強になるなと思いました。分かっているつもりだったことがより深いレベルで理解できて、現在の診療にもすごく活きていると思います。

――森永さんは28才で開業されて今年14年目ということですが、柔道整復師はどんな仕事だと感じていますか。

柔道整復師は、骨折や打撲捻挫など、ケガを診るための国家資格です。だからケガは診れて当然なんですが、患者さんと1対1で接するのでケガ以外の悩みを打ち明けられることも多く、中には家族以上のお付き合いではと思える方も。そんなふうにパーソナルな関係を築くことで、ケガだけでなくトータルでその人を診れるというメリットもあると思います

――パーソナルな関係を築くために心がけていることは?

コミュニケーションを大事にしています。完全予約制で何時に誰が来るのか分かっているので、カーテン越しでも「鈴木さんこんにちは」と声をかけ、お見送りのときは「お大事に」だけでなく「風邪気をつけてね」とか必ず一言二言軽いアドバイスも。来院からお見送りまで、僕から声をかけて僕で終わるように心がけています

――では森永さんにとって働くとはどういうことでしょうか。

壮大な質問ですね(笑)。僕にとって働くことは、生き甲斐です。患者さんから「趣味は何ですか」とよく聞かれるんですが、考えてみたら仕事が趣味だなと。現場でいろんな患者さんとお話しながら、患者さんをいい状態に導いて、人に感謝される。患者さんの「ありがとう」という言葉は、エネルギーになります。だから、僕にとって働くことは生き甲斐です。

森永さんの成功の秘訣

1.接骨院で働きながら専門学校での学びを成し遂げた

2.師匠である院長に精一杯感謝しつつ、自分の考えも主張

3.患者さんを家族と同じように思う診療スタイル

「師匠には感謝しかない」という謙虚な気持ちと、「師匠よりも10年、20年長く接骨院を続けるからには時代を見据えたスタイルを」という森永さんの2つの思いが、川口元郷という地で温かな接骨院を継続させる秘訣なのかもしれないと感じました。

撮影/佐藤克己
取材・文/永瀬紀子


1
2


Check it

川口元郷名倉堂接骨院
住所:埼玉県川口市元郷1-23-2
TEL:048-226-6688

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの柔道整復師求人をリジョブで探す

株式会社リジョブでは、美容・リラクゼーション・治療業界に特化した「リジョブ」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄