役者のレッスンとして始めたヨガ。心や体への効果を感じて、生涯続けることを決意。【ヨガインストラクター・理学療法士 堀川ゆきさん】#1
ヨガに出会い、「私はこれを一生続けていくだろうな」と確信したという堀川さん。アメリカで資格をとり、さらに体の構造への理解を深めるために4年間かけて理学療法士の資格も取得します。ヨガを中心に美容や健康、ウェルエイジングの世界へと活動の幅を広げる、堀川さんのキャリアを伺います。
お話を伺ったのは…
ヨガインストラクター・理学療法士 堀川ゆきさん
舞台役者を目指し上京後、ヨガに出会う。心と体が救われたことをきっかけにヨガインストラクターになることを決意。講師をしながら身体の構造をさらに深く学ぶため理学療法士の資格を取得。さらに、アンチエイジング研究の権威でもある坪田一男氏の元で指導を仰ぐなど、ヨガによるウェルエイジング(心身ともに魅力的に年齢を重ねていくという生き方)を追求し続けている。
HORIKAWA’S PROFILE
- お名前
- 堀川ゆき
- 出身地
- 滋賀県
- 出身学校
- 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修修士課程修了
慶應義塾大学大学院医学部博士課程中退 - 憧れの人
- 坪田一男慶應大学名誉教授・友利新医師・前職の同僚
- 趣味
- 洋裁・レストラン巡り・散歩
落ち込んでいた時に受けたヨガに心が揺さぶられた
――ヨガを始めたきっかけを教えてください。
20歳の頃舞台役者を目指して上京しました。日舞やバレエ、声楽などのレッスンを受けながら、友人に誘われてヨガも経験しました。それが初めてのヨガ体験です。ただその時は「あくまでレッスンのひとつ」という認識だったので、特にこれといった感想は抱いていませんでした。
――ヨガにハマったのはいつですか?
上京して数年後、母親が病気で亡くなるという不幸がありました。ひどく落ち込んでいた私を友達がヨガに誘ってくれて、軽い気持ちでレッスンに参加したんです。その時に受けたヨガに衝撃を受けました。1時間のレッスンがストーリーのようで、その感覚は今でも忘れられません。
その時になんとなく「私は一生ヨガと付き合っていくんだろうな」と思ったんです。
またヨガを続けていくうちに、体へのいい効果も実感し始めました。まずは、ヨガをすると体が健康的に引き締まります。あとは長年の悩みだった便秘も解消し、肌荒れも良くなりましたね。
食生活に関しても、ヨガをしているだけで、体が自然とナチュラルなもの、体にいいものを欲するようになってきました。
美容と健康にもヨガはいいんだ、ということを感じ、ますますのめり込みました。
――それでヨガの先生になろうと。
はい。ヨガにハマってからは、ヨガ教室に入り浸りで(笑)。レッスン後に残って先生に質問をしたり、苦手なポーズの練習に付き添ってもらったりしていました。そんな私を見た先生が、「RYTというヨガインストラクターの資格があるよ」と教えてくれて、資格を取ることを決意しました。
――日本ではなくアメリカで資格を取ったのはなぜですか?
ヨガはインド生まれアメリカ育ちとも言われています。せっかく資格を取るなら本場で!と思って、アメリカで取得することを選んだのですが、実際は言葉の壁にぶつかってとても大変でした(笑)。3ヶ月滞在して、本当に毎日泣きながら勉強をして、なんとか取得することができました。
学ぶと教えるは違うことを知り、自信喪失
――資格取得後は、インストラクターとして活動を始めたのでしょうか。
はい。帰国後日本のヨガスタジオでインストラクターとして働き始めました。でもインストラクターの資格を取ったからといって、上手に教えられるわけではありません。自分が生徒だった時と、先生になって人に教えるというのはこんなに違うんだなということに気づき、すぐに壁にぶつかりましたね。
――どういうところが大変でしたか。
ヨガを学びに来る人は年齢も体のコンディションもさまざま。若い人もいれば高齢者もいます。また病気や怪我をしていて「手術したばかりなので、リハビリのひとつとしてヨガを始めた」という人もいます。
インストラクターを始めたばかりの頃の私は、さまざまな異なる事情を持つ生徒さんに相談を受けても「無理をせずやってくださいね」程度のことしか言えませんでした。知識も経験も全然足りていないことを自覚させられ、その結果自分に自信もなくっていました。
――どうやってその壁を乗り越えましたか。
「とにかくたくさんの先生のもとに行って、指導法を見て学ぼう」と思いました。そこからは有名な先生や、素敵だなと思っていた先生のクラスにどんどん参加して、この先生の教え方が好きだなとか、この先生の最初の雑談が惹き込まれるなとか、そうやって自分の好きなところを見つけて、どんどんインプットしていきました。
あとは、スタジオについても観察しました。ヨガスタジオはそれぞれカラーがあって、私がスタジオを作るなら……というイメージを膨らませながら、いろいろなところに出向いていました。
ヨガをより理解するために「理学療法士」の学校に通うことを決意
――ヨガインストラクターでありながら理学療法士も目指したのはどうしてですか。
さまざまなヨガの先生と出会う中で、特に中村尚人先生の指導法に特に惹かれました。尚人先生のヨガは、ポーズそれぞれにある意味まで解説してくださいます。それは解剖学や生理学に基づいたエビデンスのあるもの。
「これが私のやりたいヨガだ!」と思って、尚人先生も持っている理学療法士の資格を私も取ろうと思いました。
あともうひとつ、理学療法士の資格を持つことで、自分のヨガに自信をつけたいという気持ちもあったと思います。生徒さんの前に立っているのに、いつまでたっても自信が持てない自分を変えたい、という思いも大きかったですね。
自分のヨガスタイルを確立するためにも、理学療法士の資格取得を決めた堀川さんですが、資格取得までの道のりは想像以上に過酷だったそう。後編では、理学療法士の資格取得からアンチエイジング研究の研究室に所属するまで。ヨガを軸にした「ウェルエイジング(心身ともに魅力的に年齢を重ねていくという生き方)」を広める堀川さんの現在と未来について伺います。
取材・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/ワタナベミカ