エステティシャンはお客様の「運命の人」になれる仕事【プライベートサロンAnge aider代表 長屋かおりさん】♯2
美容師見習いから、アパートの一室でひとりサロンAnge aiderを開業した長屋かおりさん。自身がよいと実感したものだけをお客様にすすめることで、施術も物販も好調なスタートを切った長屋さんですが、スタッフの育成面では苦労したことも…。
自身やお客様の年齢が上がってくると、女性特有の悩みが気になり始め、新たなサロン「フェムテック大分」をオープン。女性が通いやすいような形を追求し、24時間営業・予約不要・通い放題という画期的なシステムを生み出した長屋さん。20年を振り返り、仕事とはチャレンジを恐れず、自己成長を遂げるものと語ってくれました。
24時間営業・予約不要のフェムケアサロンをオープン

――フェムテック大分というサロンも経営されているそうですが、始めるまでの経緯を教えていただけますか。
40才のときに骨盤底筋ヨガを始めて、インストラクターの資格をとるほどハマったんです。それ以降もピラティスや解剖学を勉強していく中で、気持ちよく体は動かせるけど、筋肉をつけるほどの運動はなかなか難しいなと思ったんですね。サロンのお客様も年齢が上がるにつれ尿漏れや股関節の痛みなど不調のある方が増えてきて、わたしが効果を実感できるものをおすすめはするのですが、自分も含めなかなか続かないんですよね。そんなときに「エムペルヴィ」という椅子を紹介してもらったんです。
――どんなものなのでしょうか。
1回30分座っているだけで約12,000回の筋肉収縮運動ができ、通常のトレーニングでは難しい骨盤底筋が鍛えられます。座り方次第ではお尻や下半身の筋肉も強化。この「エムペルヴィ」をメインにしたサロンを作りたくてフェムテック大分をオープンしました。

――お客様の反応は?
80代のお客様でまったく尿漏れしなくなったという方もいらっしゃいます。ダイエット目的で座る方もいるんですが、そういえば尿漏れがよくなったという方もいますね。
ちゃんと統計をとったことはないんですが、エステ体験後の成約率ってそんなに高くないですよね。でも「エムペルヴィ」はちょっとやってみようかなと気軽に始める方が多いんです。ということは、相談しにくい女性特有の悩みを抱えている方が多いということです。近隣に「エムペルヴィ」を置いている泌尿器科もあるのですが、行きにくいからとうちに来てくださる方もいらっしゃいますね。
――フェムテック大分ではユニークなシステムを採用しているとか?
椅子が1台だけのときは、1回30分5,000円で完全予約制にしていたんですが、「効果はありそうだけど続けるのが難しい」という声があったんですね。とくに女性は子どもの体調不良など予約していても行けないことも。だったら、そういったものを全部排除したシステムを作ったらいいんじゃないかなと思ったんです。それで椅子を3台設置して、予約なし・通い放題9,900円/月・24時間営業というスタイルにしました。
――24時間営業、通い放題なんですね。
お客様ひとりひとりに会員番号を発行しているので、誰が来たのか分かるシステムになっているんです。仕事前の朝5:30に来る方もいれば仕事帰りに立ち寄ってくれる方も。現在会員数42名。まずは100名を目標にしています。目標達成したら、例えば尿漏れがほぼよくなった方向けに週1回の低価格プランなんていうのを作ってもいいのかなと考えています。
――施術メニューは「エムペルヴィ」のみですか。
月木金の週3回、業務委託でヨガやピラティスの先生に来てもらっています。本当に体を整えるためには、10人一緒のグループレッスンではなく、その人の困っていることを直接指導してもらえたほうがいいですよね。椅子に座った後、先生がいる3時間の間に、肩こり解消法や希望部位の筋肉のつけ方などを教えてもらうスタイルをとっています。
――サロンが2つあることで相乗効果はありますか。
もともとアンジュエデのお客様だった方がフェムテック大分の会員になってくださるケースもすごく多いですし、逆にフェムテック大分のお客様がエステに興味を持たれることもあるので相乗効果はありますね。
エステティシャンはお客様の人生を変えられる仕事
――サロン開業20周年を迎える長屋さん。改めてエステティシャンってどんなお仕事だと思いますか。
お客様の人生を変えられる「運命の人になれる」仕事だと思います。わたしも最初は気軽にエステティシャンの仕事を始めたんですが、やればやるほど責任を感じています。
――それはなぜですか。
お客様はお悩みがあってエステに来てくださるので、ときに友達にも話さないようなことを聞くこともあります。そういう意味でも本当に責任は重たいと感じますね。
わたしを信頼してきてくださったお客様に同じ施術をしても、ときには結果を出せない人も。その理由を追求していったら最終的にメンタルにたどり着いたんです。思ったことが現実になることってやっぱりあって、「わたしはきれいになれない」と思っている人をきれいにするためにはメンタルケアが必要なんです。
――メンタルケアでは具体的にどんなことをされるのですか。
お客様が少しでも前向きになれるような声がけを心がけています。ヨガや心理学を学んだのも、自分がインストラクターになりたいわけではなくて、サロンのお客様に前向きに生きられるヒントみたいなものを伝えたいと思ったからなんです。きれいになりたいだけだったら医療機関に行った方が早いかもしれませんが、エステはゆっくり改善しながらキープする方法を伝えるところだと思っています。
――そのエステの定義、いいですね!
わたし、ちょっとしつこいところがあって。この方ちょっと気になるなと思ったときの対応って人それぞれだと思うんですが、わたしは一歩踏み込むようにしているんです。例えば、その方に合った化粧品を使っていただいても効果がなかったときに、「なにかありましたか」と聞くんです。そうすると他のお悩みがあったりして、本人も気づいてないようなお悩みに寄り添える人になれたらいいなと思っています。
――ではエステティシャンを目指す人にメッセージをお願いします。
エステティシャンはとてもやりがいのある仕事です。女性はきれいになるとポジティブになれる。それが自信になって夫婦関係がちょっとよくなったり。わたし、女性が明るいと家庭も地域も明るくなって、それが世界平和に繋がると本気で思っているんです。エステティシャンはそれをお手伝いできる仕事です。
――最後に長屋さんにとって働くということは?
その人のステージによって、働く目的ややりがいは変わっていいと思っています。オープン当初は子どもを育てないといけなかったので、売り上げ第一の時期ももちろんありました。いまはそこを抜けて、お世話になった方たちに恩返ししたいという気持ちが強いです。そうやって変わっていかないと先細りになってしまうかも。変わることは、新しい自分に挑戦すること。サロンを開業して20年、いま振り返ると2年毎くらいにやっぱり新しいことにチャレンジしてきたんですよね。人のためになることを考え、怖がらずにチャレンジ、そして自己成長する。それが仕事なのかな。
長屋さんが考えるエステティシャンとして長く活躍するための極意
1. 自分で効果を実感したものだけをおすすめして物販も売り上げの柱に。
2. お客様が求める形をつくり出す。
3. チャレンジを恐れず自己成長を遂げる。
自身の人生を変えてくれたエステを仕事に選び、お客様の声を聞き、お客様を励ましながらサロンを成長させてきた長屋さん。長屋さんは、サロン開業20周年を振り返り、エステティシャンはお客様の「運命の人になれる仕事」と語ってくれました。興味のある方はぜひチャレンジを!
取材・文/永瀬紀子
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