スタイリストの接客術! カウンセリングからクレーム対応まで、お客さまとの上手な接し方!!『ヘアーサロン・SOLEIL』
お客さまとどのように接していくかはとても重要ですよね。「接客の腕」によって、スタイリストの人気も評価も大きく変わってしまいます。今回は「カウンセリング」から「クレーム対応」まで、お客さまとの上手な接し方について「ヘアーサロン・SOLEIL(ソレイユ)」のスタイリスト・高田悠輔さんと飯島弘貴さんにお話しを伺いました。
ライフスタイルに合わせた「説明できる髪型」をお客さまに提唱したいと思っています!
――高田さんはカウンセリングでどんなことを注意していますか?
自分がカウンセリングで心掛けていることは、お客さまのライフスタイルを聞き出すことです。これはその人の生活習慣に合わせたヘアスタイルを提唱したいと考えているからです。
例えば趣味でスポーツをやっている女性であれば「髪を結ぶ機会が多いと思うので表面はあまり切れませんね……」。着物を着る機会が多い方の場合は「短くできないでしょうから、内側だけすいておきましょう……」というようにしっかりと理由を説明しながら施術します。髪を洗うのが朝なのか夜なのかでも違いますし、子育てをしている方などはそれに合ったヘアスタイルが必要だと思います。
特に女性のお客さまの場合、自分の髪型に「言い訳」をしたいときがあると思います。「なんでこの髪型にしてるの?」と聞かれた時に、僕がしっかりと説明しているので、ライフスタイルに合わせたヘアスタイルであることを答えることができます。
「僕が語っていた」ということなど覚えていないかもしれませんが、お客さまが自分のヘアスタイルは「(他の人に比べて)ちょっと機能がプラスされているのよ!」と思ってもらえれば嬉しいです。
もちろん仕上がりが似合っていることは大前提ですが、丁寧なカウンセリングを元に、完成したヘアスタイルに「どういう時のための……」といった説明をプラスしていくことで、お客さまとの信頼関係も深まると思いますよ。
お客さまの「嫌い」を見極めるようなカウンセリングを心掛けています!
――飯島さんのカウンセリング方法と、お客さまとの接し方は?
カウンセリングについては、この人は何が「嫌い」なのかを見極めながら行ないます。「こうしたい」「こうゆうのが好き」ということよりも、何をされるのが嫌いなのかを探るような感じです。お客さまとの関係性が深まれば「前の美容室になんでいかなくなっちゃったの……」と聞いてしまう時もあります(笑)。
十分なカウンセリングから、お客さまの想像を把握し、それを超えるヘアスタイルを仕上げることができれば、感動に繋がります。次回来てくれた時に「みんな(周りの人)に髪型を褒められた……」とニコニコと言ってもらった時が一番嬉しいですね。少しでもお客さまに感動を与えることができれば、リピーターになっていただけますし、お友達にお店を紹介してくれたりもします。
スタイリストの中には「紹介」でいらっしゃるお客さまにプレッシャーを感じる方も多いようですが、僕はそのプレッシャーが大好きです。紹介でいらっしゃる方は、求めているスタイルのハードルが高いですが、サービスもクオリティも想像以上を提供することに全力を尽くし、それが成功した時のお客さまの満足した笑顔を見たいと思っています。
難しいお客さまには「笑顔」「左側」「下手に出すぎない」が重要です!!
――気難しいお客さまもいらっしゃると思いますが高田さんは、どのように対応していますか?
美容師を長く続けていると「何が問題で怒られたのだろう」「自分の振る舞いの何が悪かったのだろう」と考えてしまうような、理不尽なお叱りをぶつけてくる難しいお客さまにも出会います。単純に言えば「機嫌の悪いお客さま」です。「長年の感(笑)……」で、入店される瞬間になんとなくそういうお客さまの気分が分かるようにもなりました。
美容業界に入ったばかりで、そういうお客さまの対応に苦心されている方にアドバイスするとすれば、とにかく「笑顔」が大事です。自分は満面の笑顔で応対することを心掛け、切り抜けるようにしています。ただし、あまりずっと低姿勢な対応をしていてもダメです。ずっと機嫌の悪いまま怒られ続けます。無理な注文は無理と正確に伝え、できることをちゃんと説明することで「そうなんですね!」と納得していただける場合が多いです。
また、心理学を勉強して分かったのですが、お客さまの左側から話し掛けることで、受け入れてもらいやすい傾向があります。人間は右から聞いた言葉はそのまま流してしまいがちなのですが、左から聞いた言葉は、一度脳に溜め込んで咀嚼するそうです。もちろんすべての人がそうとは限りませんが、自分はなるべくお客さまの左側に立ちカウンセリングを行なうようにしています。
お客さまもこちらのサロンやスタッフのことを探ってきています。「私のことを担当してくれるのは新人なのか、ベテランなのか……」といったことから始まり「腕が良いのか悪いのか……」という具合です。年配のお客さまもいらっしゃるので、Tシャツよりも襟付きのシャツを着るなど服装もしっかりしていないと、お客さまに見透かされる原因に繋がりますね。
クレームを言われるお客さまこそ大事にするべきだと思っています!!
――飯島さんはとても接客が上手に見えますがどのような経験を積まれてきたのですか?
以前の職場では「クレーム担当」といった役柄でした。他のスタッフが「この方は厳しい……」と嫌がるお客さまが自分のところにまわってくる形です。
「あなたじゃ嫌よ……」「他の人に変えて……」など、すごく怒っているお客さまは、美容師としては担当するのが辛いですよね。
クレームを言われるお客さまの対応としては、一度すべての不満を聞きだすことが重要です。そして「美容師とお客さま」という関係ではなく「一緒の方向」を見るようにします。ちょうどゴルフのキャディーのような役割で「こうやっていくと似合うんじゃないですか……」「次はこんなスタイルはどうですか?」と話しかけ、きれいになるように「一緒に頑張っていきましょう」という気持ちで接していくことす。
同じ目線に立ち信頼を得た上で、すべてをお聞きしてスッキリしてもらいます。そこから改善点を話し合い、お客さまが求めていること以上の技術を提供できれば、笑顔になってもらえるものです。
厳しいお客さまこそ、十分に満足させることができればしっかりとリピートに繋がりますし、他のお客さまを紹介してくれたりします。自分は率先して、そういうお客さまを担当するよう動いてきました。
しかし、上手に対応しているように見えるかもしれませんが、もちろん失敗もあります。つい最近も落ち込んでしまうような経験がありました。知り合いの方からカットしたいと電話があり、たまたま席が空いていたのでOKしたのですが、接客中の別のお客さまに怒られてしまったのです。「自分は事前に予約を入れて来ているのに、電話1本で急に来る人を受けるの……」という憤りだったと思います。
そのお客さまはカラーの待ち時間中でしたので、僕は他の方を施術しても大丈夫だと気軽に考えてしまったのですね。お客さまにとって「予約を入れて来店する」という行為が、こちらが思っているよりも重要なことだと痛感させられ、まだまだ勉強が足りなかったと反省しています。
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SOLEIL
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