リラクゼーションサロン開業に必要な準備とは?|サロン開業のメリットと注意点
心身の癒しを提供するリラクゼーションサロンの人気は年々高まっています。そんな人気のあるリラクゼーションサロンを個人で開業しようと考えている人も、なかにはいるのではないでしょうか。
比較的低リスクで運営できるリラクゼーションサロンですが、個人が独立開業するためには知っておくべき知識や準備があります。
今回は、リラクゼーションサロンの開業までに必要な準備や注意点をご紹介しますので、開業を考えている人は参考にしてください。
リラクゼーションサロンを開業するために必要な6つのこと
リラクゼーションサロンを開業するためには、なにからはじめればよいのでしょうか。ここでは、開業までに必要な6つのステップを解説します。
1. 施術内容・サービスを決める|フェイシャルエステやマッサージなど
まずは開業するリラクゼーションサロンのコンセプトとメニューを決めます。どういうサービス内容でサロンを運営するか、どういうお客様をターゲットにするかを考えて、目指したサロンの全体像を決めていきましょう。
同じリラクゼーションサロンでも、フェイシャルエステや各種マッサージ(オイルマッサージやアロママッサージ)など、施術方法はさまざまです。どんなサービスを提供するかで、そのお店の方向性が決まるといってもよいので、しっかりと独自性を出して「何の施術が受けられるサロンなのか」ということを、お客様がすぐわかるようにしましょう。
メニューが決まったら、それに合わせて料金を設定します。ほかのサロンの料金相場をチェックしつつ、適切な料金設定を検討してみてください。
独立開業には資格は必要なの?
リラクゼーションサロンの開業に特別な資格は必要ありません。しかし、自信を持って施術を提供できたり、お客様の信頼を得られたりするため、以下のような資格を持っていると強みになります。
・マッサージ:あん摩マッサージ指圧師
・アロマテラピー:アロマテラピー検定、アロマテラピーアドバイザー
・リンパマッサージ:リンパケアセラピスト、リンパドレナージュセラピスト
・リフレクソロジー・足つぼ:リフレクソロジー
・ストレッチ:ストレッチングトレーナー
リラクゼーションサロンの開業の際には、税務署に「開業届」を提出します。また、サロンで以下のサービスをおこなう場合には、保健所への届け出も必要です。
・「まつエク」「眉カット」など、美容師資格が必要となる美容行為
・「あん摩マッサージ」「鍼灸」なと、国家資格が必要な施術
2. 開業する形態・場所を決める
メニューが決まったら、サロンの形態や場所を検討します。「人通りは多いか」「ターゲット層が集まりやすいか」「近くにライバル店はないか」「テナント料は手頃か」などを考慮して、開業する場所を決定するとよいでしょう。
リラクゼーションサロンは多様な形態での運営が可能なので、それぞれにメリットやデメリットがあるようです。以下で、サロンの形態をご紹介します。
テナントを借りる
もっとも一般的な運営形態は「テナント」です。人通りが多い駅前やにぎやかな商業ビル内のテナントを借りれば、宣伝もしやすく、開業当初から多くのお客様が足を運んでくれるメリットがあります。
しかし、一方で好立地のテナントは毎月の賃料が高く、敷金や礼金、内装工事など、多額の初期費用がかかることも考慮しなければなりません。
自宅をサロンにする
自宅の一部を改装してサロンを営業する形態なら、コストを抑えて開業ができます。また、ターゲットの客層によっては、アットホームな雰囲気になるのがメリットです。
一方で、住宅街での営業は集客が難しいうえ、お客様に生活感を感じさせない工夫も必要となります。なお、自宅がマンションの場合は「営利目的の開業が可能か」をオーナーや管理会社に確認して許可を取ることが必要です。
レンタルサロンを利用する
レンタルサロンとは、指定した日時に施術スペースを借りて営業する形態のことです。店舗を持たず、必要なときにだけ借りるので内装工事などの初期費用は必要なく、経費を大幅に節約できるメリットがあります。
しかし、ひとつの場所でつねに営業するわけではないので、通りがかりの人を新規客として誘致するのは難しいでしょう。SNSやWebサイトなどを利用して宣伝し、予約を募るなど上手に集客する工夫が必要です。
フランチャイズに加盟する
全国的に知名度があるサロンとフランチャイズ契約を交わして、開業する形態もあります。有名サロンのネームバリューを利用できるうえ、設備や宣伝、技術などのサポートを受けられるのがメリットです。
しかし、経営方針や施術方法などは本部に従わなければならず、「自分らしさ」は出せないでしょう。また、毎月ロイヤリティの支払いが必要です。
3. 資金計画を立てる|費用を準備する
サロンの形態や場所が決まったら、それに合わせて具体的な資金計画を立てます。サロン開業のための「物件の取得」「内装工事」「宣伝費」などには、どのくらいの費用が必要なのでしょうか。ここでは、初期費用や運営資金について解説します。
サロン開業に掛かる費用はどれくらい?
サロン開業に必要な金額は、開業する場所や店舗の規模、形態によって大きく異なります。初期費用のおおよその金額は以下のとおりです。
・物件取得費:150〜200万円
・内装工事費:50〜250万円
・什器・備品費:50〜120万円
・広告宣伝費:5〜50万円
・合計:250〜620万円
内装工事費を抑えたい場合は、「居抜き物件」がおすすめです。また、待合室の家具や施術用のベッドなどは、中古品を探せば安く購入できます。
開店後も月々の運営資金が必要でしょう。以下は、売上に対する運営資金の目安です。
・人件費:売上の40〜50%
・賃貸料:売上の10%
・水道・光熱費:売上の2〜3%
・消耗品費:2〜5%
・広告宣伝費:売上の8%前後
4. 開店準備|内装工事・必要物品の購入
自宅サロンであれ、賃貸であれ、サロンのコンセプトに合わせた内装工事が必要です。「どんな雰囲気のサロンにしたいか」というイメージを膨らませ、家具の準備や内装デザインを進めていきましょう。
必要な物品を揃えよう
全体的な内装が整ったら、施術に必要な用品を整えます。代表的なものとしては、以下のとおりです。
・施術用ベッド
・施術用チェア
・待合室のソファー
・マッサージオイルやエッセンシャルオイルなどの各種オイル、パウダー
・タオル
・事務用のレジやパソコン
自身のサロンのサービス内容に合わせて、必要なものを揃えていきましょう。
5. スタッフの採用と教育
スタッフを雇用する場合は、開店準備と並行して求人広告を出して採用し、オープンまでに教育・研修を完成させなければなりません。
リラクゼーションサロンには「施術」「接客」「事務作業」など、覚えるべき業務内容がたくさんあります。人件費や教育費を無駄にしないためにも、スタッフに業務のどの部分を任せるのかをよく検討し、計画的に採用することが大切です。
6. お客様の集客方法|ホームページやSNSを利用しよう
サロンをオープンしても、人に知られていなければお客様は増えません。もっとも効果的で有効な集客方法は、ネットを活用して宣伝をすることです。開業するサロンのホームページを立ち上げたり、美容・エステ専門のポータルサイトに登録したりするのもひとつの手段です。TwitterやInstagramなどのSNSも有効に活用しましょう。
サロンに来たお客様がSNSでお店の情報を発信すれば、それが拡散されて新たな顧客につながるという好循環が生まれやすいので、SNSでの宣伝・発信はとくに重要です。ネットで地道に宣伝していけば、それなりの集客に繋がっていきます。
また、昔ながらの方法ではありますが、地域性の強いフリーペーパーの利用も即効性があるのでおすすめです。
リラクゼーションサロンを開業するメリットとは?
ここ最近はリラクゼーションへのニーズも高まり、リラクゼーションサロンの市場規模は年々拡大しているようです。ここでは、個人がサロンを独立開業するメリットをご紹介します。
1. 自分の得意・好きな施術ができる
自分のサロンを開業すれば、得意な施術でメニューを組むことが可能です。たとえニッチなサービスでも、オーナー自らが高い技術で施術すれば、大手サロンには出せない個性になります。
個人サロンでは施術だけでなく、内装やオイル・こまかい備品にいたるまで、自分好みの空間を作り上げることが可能です。オーナーのこだわりにお客様が共感すれば、リピーターとして何度も来店したり、知人に口コミをしたりしてくれるでしょう。
2. 比較的低リスクで開業できる
個人サロンは自己資金が少ない場合でも、大きな借入金をせずに比較的低リスクでの開業が可能です。
たとえば、自宅の一部を利用したサロンなら家賃や敷金・礼金の支払いが必要ありません。テナントを借りずに、マンションの一室で小規模に開業することも可能で、この場合は内装費用を抑えられます。また、レンタルサロンなら、開業コストは備品を買い揃えるなどの少額で済むでしょう。
3. 少ない費用で経営できる|利益を出しやすい
リラクゼーションサロンは、少ない運用資金での経営が可能で、利益を出しやすいというメリットがあります。上述したように、自宅やレンタルサロンを利用して開業した場合は、家賃などの固定費がおさえられます。
また、リラクゼーションサロンの商品は「サービスの提供」なので、小売店のように商品を仕入れたり、在庫を抱えたりする必要がありません。オーナーだけで切り盛りする小規模なサロンなら、人件費を抑えられます。
4. お客様とのコミュニケーションが取りやすい
個人サロンは、お客様との距離が近くコミュニケーションが取りやすいのが特徴です。そのため、お客様の希望に寄り添った施術ができるメリットがあります。
周りに多くの人がいる大規模サロンでは、お客様は本当の悩みを打ち明けづらいものです。しかし、個人サロンでは、信頼するオーナーやスタッフに安心して自分のコンプレックスを相談できます。そのため、お客様との信頼関係が深まり、ニーズに合った施術をすることが可能です。
リラクゼーションサロンを開業する際の注意点とは?
サロンの独立開業を失敗で終わらせないためには、開業することにどんな注意点があるかを理解して、対策することが大切です。ここでは、個人がリラクゼーションサロンを開業する際の注意点をご紹介します。
1. 業務負担が多め|自分の代わりがいない
個人サロンの場合、自分自身が働かなければサロンの運営はできません。自身の体調管理には、細心の注意をはらう必要があります。自分の代わりはいないため、病気や怪我などで休業すれば収入はゼロになるからです。
とくにオーナー自身が経営と施術の両方をおこなう小規模なサロンでは、オーナーの業務負担がかなり多くなります。業務外ではリラックスを心がけ、心身ともに健康な状態でサロンを運営することが大切です。
2. 1日の利益に上限がある
スタッフが少ない小規模サロンでは、1日に施術できるお客様の数は限られます。このため、1日の売上には上限があり、大きな利益をあげるのが難しいことがデメリットでしょう。
売上を伸ばすためには、小規模サロンならではのメリットを活かし、繰り返し来店してくれるリピーターを増やすことです。リピートしてくれるお客様はオーナーや担当スタッフを信頼しているため、高額なメニューを希望したり、知人に宣伝してくれたりする可能性があります。個々のお客様に丁寧に対応して、サロンのファンを増やしましょう。
3. 競合が多め|差別化が重要
低リスクで開業できるリラクゼーションサロンは新規参入しやすく、エリアによっては競合店が多い場合があります。開業する場所を決める際には、周囲にターゲット層が被る競合店がないかをよく見極めることが重要です。
さらに「オーナーの個性を徹底的に反映したサロンづくりをする」「他店にはない施術をおこなう」など、競合店との差別化を検討するようにしましょう。
素敵なサロンを開くためにはしっかりとした準備と計画が必要!
お客様に認められ、人気が高まるサロンというのは、料金面だけでなく、サロンそのもののサービス内容とお店の雰囲気が優れており、「何度でも足を運びたい」と思ってもらえるところにその強さがあります。
「安定した売り上げがある=リピーターがたくさんいる」ということですから、どうすれば固定客を獲得できるか、何度でも足を運んでもらえるようなお店づくりにできるかが重要なポイントといえるでしょう。
たくさんの人がリピーターになってくれるような魅力的なサロンを作り上げるためにも、明確なコンセプトと独自性、そしてそれを実現するためのしっかりとした準備と計画が必要です。