美容鍼灸師に必要な資格とは?学校選びのポイントや活躍の場・将来性も紹介
顔の肌荒れやシワなどが気になっていても、敏感肌の人は施術によるかぶれなどが心配でエステへ通えないかもしれません。そのような人を体の内面からケアし、肌トラブルの改善を目指すのが美容鍼灸師です。
美容鍼灸師として働くには、どのような資格が必要なのでしょうか。今回は美容鍼灸師について、必要な資格やかかる費用・学校選びのポイント・おすすめの資格などを紹介します。あわせて、美容鍼灸師の活躍の場や将来性についてもお伝えしますので、参考にしてください。
そもそも美容鍼灸師とは

鍼灸治療とは、鍼と灸でツボを刺激して身体の調子を整える東洋医学の一種です。古くは6世紀ごろに朝鮮半島から伝わり、その後は明治時代にいたるまで、民間医療の中心として活躍してきました。
そんな鍼灸治療のなかでも、美容目的に特化したのが美容鍼灸です。美容鍼灸が目指すのは、シワ・シミ・たるみ・乾燥・肌荒れなど、肌トラブル全般の改善。顔の肌トラブルに悩む人が多いことから、施術のほとんどは顔まわりが中心です。
引用元
医学出版|美容皮膚医学BEAUTY 15|12. 美容鍼総論
美容鍼灸師になるにはどんな資格が必要?

美容鍼灸師として働くためには、国家資格の「はり師」と「きゅう師」が必要です。以下では、2つの資格を取得している場合とそうでない場合に分けて、美容鍼灸師になる方法を紹介します。
引用元
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|はり師・きゅう師 - 職業詳細
はり師・きゅう師の資格をすでに取得している場合
はり師・きゅう師の資格を取得している人は、鍼灸の施術を行えるため、必ずしも追加で資格を取る必要はありません。ただし、美容に関する知識や技術が求められます。
顔まわりは繊細かつ、見た目の印象を大きく左右するため、傷跡を残すようなことがあってはなりません。また、痛みや不安を与えないためにも正しい知識と技術をきちんと身につけておくことが大切です。
美容に関する知識や技術は、関連の資格を取得したり、セミナーや研修へ参加したりして習得できます。また、教育制度が整った職場に就職して、研修でスキルを身につけることも可能です。美容鍼灸に役立つ資格については、のちほど紹介します。
はり師・きゅう師の資格をまだ取得していない場合
はり師・きゅう師の受験資格を得るためには、認定を受けた学校・養成施設に3年以上通い、指定の科目を学んで鍼灸の技能・知識を習得しなければなりません。
学校・養成施設での学習が修了後、年に1回2月下旬におこなわれる国家試験に合格し、免許申請をすることで、はり師・きゅう師の免許が得られます。
はり師・きゅう師の国家試験は本来別ですが、各13科目のうち12科目が共通しており、一方を受ければもう一方の共通項目試験が免除されます。170満点中102点以上の得点で合格です。
引用元
厚生労働省 はり師国家試験の施行
厚生労働省 きゅう師国家試験の施行
厚生労働省|第32回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について
資格を取得するまでにかかる費用の目安
美容鍼灸師になるまでには、学校・養成施設での学習に必要な費用、および国家試験の受験手数料が必要です。学校・養成施設でかかる費用には学費のほか教材費や実習費、白衣などの備品代なども含まれ、入学から卒業までのトータルで約400~500万円が目安とされています。
学校・養成施設によっては、一部費用を無償化、または減額している場合があるため、このような制度があるかを確認しておきましょう。高い成績を維持して特待生減免制度を利用する・奨学金制度を利用する、という手段もあります。
はり師・きゅう師の受験手数料はそれぞれ1万9,500円ですので、合計3万9,000円が必要です。また、2つの免許申請時には、申請手数料や収入印紙などに合計2万9,200円かかります。
引用元
東洋療法研修試験財団|試験概要 | 国家試験の実施
東洋療法研修試験財団|新規登録申請の方 | 免許登録等の実施
美容鍼灸師を目指すなら美容鍼灸について学べる学校を選ぼう

では、はり師・きゅう師の資格をまだ取得していない人が、美容鍼灸に必要な知識や技術はどのように学べばよいのでしょうか。
これまでは、免許取得後に就職先・独学で美容について学ぶのが一般的でした。しかし、昨今は需要の高まりを受け、美容を含む鍼灸を学べる学校・養成施設も増えています。美容鍼灸師を目指すのなら、最初から美容も学べるところを選ぶといいでしょう。
また、少なくとも3年は通うことになるため、自身のライフスタイルに合わせた通い方ができるかどうかも重要なポイントです。ここでは、学校・養成施設を選ぶ時のポイントを解説します。
学校を選ぶ時のポイント
鍼灸が学べる学校・養成施設は、昼間部のみ、あるいは昼間部・夜間部の双方があるところがあります。仕事をしながら資格取得を目指すなら、夜間部がある学校・養成施設が通いやすいでしょう。
そのほか、確認しておきたいのが実習内容とアフターフォローです。鍼灸師としてよいスタートを切るためには、実践的な技術・知識の習得が欠かせません。医療機器や施設環境や生徒と講師の人数比、学校・養成施設に付属する鍼灸院の有無のほか、研修先の紹介制度などをあらかじめ確認しておきましょう。
美容鍼灸師に役立つ資格

美容鍼灸を扱うサロンでは、同時にほかの美容施術を提供していることも少なくありません。そのため、美容鍼灸師として働くならば、さらに美容関連の資格を取得しておくと、より活躍の場が広がるでしょう。
ここでは、とっておくと便利な資格として、「あん摩マッサージ指圧師」「AJESTHE認定エステティシャン」「AEA認定エステティシャン」「アロマなどの資格」を解説します。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、鍼灸師と同じ東洋医学にもとづく資格です。「あん摩」「マッサージ」「指圧」の3施術を用いて身体の調整を目指します。
あん摩マッサージ指圧師の資格を取得するには、認定を受けた学校・養成施設で3年以上学習して修了したのち、東洋療法研修試験財団が実施する国家試験に合格しなければなりません。
試験は年に1回2月に実施され、視覚に障害を持たない人は受験場所が全国の11会場に限定されています。試験は12科目の筆記、合格条件は160点中96点以上の獲得です。
引用元
厚生労働省|あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行
厚生労働省|第32回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について
AJESTHE認定エステティシャン
エステティシャンとしての基本的な知識・技術を証明する民間資格です。なお、ほかにも「AJESTHE認定上級エステティシャン」「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」といった上位資格もあります。
AJESTHE認定エステティシャンを取得するためには、認定校での指定コースの修了または1年以上の実務経験、そしてエステティシャンセンター試験の合格が必要です
試験は一般社団法人日本エステティック協会が実施しており、試験内容は技術・筆記の2段階構成です。技術試験ではフェイシャルおよびボディの手技の実演、筆記試験は4肢択一のマークシート形式で行われます。
引用元
日本エステティック協会|AJESTHE認定エステティシャン
AEA認定エステティシャン
プロのエステティシャンとしてお客様へ施術を行う際に必要とされる基礎的な知識と技術を測る試験です。上位には「AEA上級認定エステティシャン」や「AEA認定インターナショナルエステティシャン」などの資格もあります。
AEA認定エステティシャンの受験要件は2とおりです。ひとつは認定校で指定カリキュラムを履修すること。もうひとつは1年以上の実務経験です。なお、上位の資格になるほど長期間の実務経験を積む必要があります。
認定試験は一般社団法人日本エステティック業協会が実施し、実技・筆記の2段階構成。1年以上の実務経験がある場合は、技術試験をパスできます。
アロマなどの資格
アロマテラピーは、精油の香り成分で体の内面に働きかけ、心身のバランスを整えて健康を目指す施術。美容効果やアンチエイジング効果などが期待できるため、扱っている美容サロンも多く見られます。美容鍼灸師になるなら学んでおいて損はない資格といえるでしょう。
日本には現在、アロマに関連する国家資格・公的資格がないため、アロマの知識・技術を習得・証明したいなら、民間資格の取得を目指しましょう。
アロマに関連する代表的な民間資格としては、公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)が実施している「アロマテラピー検定」や「アロマテラピーアドバイザー」「アロマセラピスト」などがあげられます。
美容鍼灸師の活躍の場

ここからは、美容鍼灸師が活躍している職場について紹介します。
鍼灸院・整骨院
鍼灸院や整骨院は、鍼灸師の代表的な就業先です。最近は、鍼灸の施術のひとつに、美容鍼灸を導入しているところも増えています。美容鍼灸を専門に施術しているというよりは、鍼灸師として美容鍼灸の施術も行っている人が多いです。
エステサロン・美容鍼灸サロン
美容鍼灸師のなかには、美容鍼灸をメニューとして取り入れているエステサロンや、美容鍼灸サロンに就職している人もいます。
エステサロンでは、エステティシャンとしてほかの施術もしながら、鍼灸師の資格を活かして美容鍼灸の施術を担当することが可能です。
リラクゼーションサロン
疲労の緩和や癒やしなど、リラクゼーションを目的としたサロンでも、美容鍼灸を扱っているところが増えています。そこで働く鍼灸師はセラピストとして、ヘッドスパやもみほぐし・美容鍼灸など幅広い施術を行っています。
独立・開業する人も
鍼灸師には開業権があるため、鍼灸院やエステサロン・リラクゼーションサロンなどで経験を積んだのち、独立して自分のお店を構える人もいます。
独立すれば、コンセプトやメニューなどのすべてを自分で決められるので、美容鍼灸に特化したお店作りもできるでしょう。
美容鍼灸の将来性

海外では、およそ20年前に美容鍼灸が注目されはじめました。また、昨今のアメリカでは、補完療法として鍼そのものの需要が高まっています。
日本でも、俳優やモデルが、実際に美容鍼灸の施術を受けていることが話題となったり、雑誌やテレビに取り上げられる機会が増えたりするなど、注目度の高い施術です。
エステ市場や美容医療市場が拡大していることもあり、美容鍼灸はまだまだ需要が高い分野
といえるでしょう。
引用元
スポーツ健康医療専門学校|今話題の「美容鍼灸」とは?美容関連に興味ある人にも必見!
医学出版|美容皮膚医学BEAUTY 15|12. 美容鍼総論
美容鍼灸師として自分に合った職場を探すには?

ここからは、美容鍼灸に携わりたい鍼灸師が、自分に合った職場を探す際におすすめの方法について紹介します。
就職・転職エージェントを活用する|プロに相談可能
エージェントを活用すると、求人紹介や内定に向けたサポートを受けられます。就職や転職に関するプロが相談に応じてくれるため、自分ひとりで就職・転職先を探すことに不安がある人や、業界事情を詳しく知りたいという人におすすめです。
なお、エージェントによって扱う求人や得意な業界が異なるため、美容業界に強いエージェントを利用しましょう。
求人サイトを利用する|自分のペースで進められる
求人サイトは、自分の好きなタイミングで求人検索や応募ができます。スマホやパソコンなど、インターネット環境があればどこからでも利用できるという手軽さも特徴です。
また、求人情報は日々更新されるため、どの時期であっても自分のペースで就職・転職活動が進められます。
求人サイトは多数ありますが、美容鍼灸ができる職場を探す場合は、美容・ヘルスケア業界に特化した求人サイト「リジョブ」がおすすめです。
リジョブは、鍼灸院や整骨院・エステサロン・リラクゼーションサロンなどの求人を多数掲載しており、未経験歓迎の求人も豊富にあります。
上記のように施設形態を指定できるほか、「美容鍼灸」などの仕事内容・客層・立地なども選べるため、より自分好みの求人を見つけやすいでしょう。
国家資格だけでなく美容についても学んで美容鍼灸師を目指そう

美容鍼灸師として活躍するためには、はり師・きゅう師の国家資格のほか、美容に関する知識・技術の習得が求められます。これからはり師・きゅう師の資格を取得する人であっても、すでに両資格を取得している人であっても同様です。
資格未取得の人は、美容鍼灸を取り扱う学校・養成施設を選ぶと必要な知識・技術を身に着けられます。
すでに資格を取得している人は、美容鍼灸の講習やセミナーなどを活用し、美容鍼灸師を目指しましょう。また、研修制度のある職場に就職すれば、一から美容を学ぶこともできます。
美容鍼灸は歴史こそ浅いものの、日本国内外で注目されており、将来性のある分野です。鍼灸師の資格を活かして、美容鍼灸の施術も行いたいという人は、ぜひリジョブをチェックしてみてください。
リジョブは、鍼灸師の求人が豊富にあり、美容鍼灸の施術があるエステサロンやリラクゼーションサロンも探すことができます。転職満足度※が高いサイトでもあるため、転職を考えている人にもおすすめです。
※リジョブ経由で採用された1,242名を対象に実施した満足度自社調査より(実施期間:2023年2月8日〜2023年3月8日)