20代で成果を残したいという焦りから、インスタに着手。「ハンサムショート」でバズり3倍の売上を記録【美容師 今泉孝記さん】♯1
技術力の高さに定評があり、開業から5年で東京は銀座、蔵前、日本橋、大阪には梅田と4店舗を展開する美容室「GRAFF hair」。オーナーを務めるのが今泉孝記さんです。
新卒で入社した有名サロンを経て独立した今泉さん。前職では厳しい環境のなかで自分のいたらなさを痛感しながらも、12年間在籍するうちに着実に成長を重ねてきました。
そんな今泉さんの転機となったのが、30代を目前にして始めたインスタグラムでの集客。早く活躍したい、成果を上げたいと考えていた今泉さんが、思うようにいかない現実への焦りから始めた行動だったといいます。
インスタを毎日投稿するなど日々の努力が実ると、売上は3倍に。それだけでなく、元々は独立願望がなかった今泉さんが独立するきっかけにもなったそうです。
お話を伺ったのは…
今泉孝記さん

1987年、福島県生まれ。国際文化理容美容専門学校国分寺校を卒業後、有名美容室に入社。12年間経験を積んだのち、2020年4月、銀座に「GRAFF hair」を立ち上げる。2022年蔵前に2店舗目、2023年東日本橋に3店舗目をオープン。2025年1月、大阪・梅田にセカンドブランド「mel by GRAFF」を出店し、現在4店舗を経営。
Imaizumi’S PROFILE
お名前 |
今泉孝記 |
|---|---|
出身地 |
福島県須賀川市 |
出身校 |
国際文化理容美容専門学校国分寺校 |
趣味や休みの日の過ごし方 |
趣味も休みもなし。すべて仕事 |
道具へのこだわり |
シザーズ内山のハサミを使ってから、他は使えないです |
憧れの人 |
松下幸之助 |
「美容師の仕事はやめたほうがいい」。その言葉に火が着いて
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――まず、美容師になろうと思ったきっかけから教えてください。
本格的に美容師を目指そうと思ったきっかけは、高校時代に通っていたサロンの美容師さんに「美容師になるのは絶対やめた方がいい。勉強してもっといい仕事に就いた方がいいよ」と言われたことでした。
元々、美容師の仕事に対して明確な憧れがあったわけではなく、私服で働く姿を見て、「なんとなく楽しそうだな」と感じている程度でした。そこで当時通っていたサロンの美容師さんに「美容師の仕事は楽しそうですね」と伝えたところ、返ってきたのが冒頭の言葉です。理由は聞かなかったので推測になりますが、恐らく給料が安いことや労働環境があまり整っていないという点から、その方なりに真剣にアドバイスをくれたのだと思います。今振り返ると親切な方ですよね。
ただ僕の性格はあまのじゃくな部分があるので、反対されたことで逆に心に火が着いてしまって(笑)。美容師を目指してみようと思ったんです。
――それで美容専門学校に進んだのですね。
はい。たまたま高校の1学年上の先輩に東京の美容専門学校に通っている方がいてお話を聞いたところ、一流の技術を学ぶのであればやはり東京だと思いました。漠然とした都会への憧れもあり、上京することを決めたんです。
――専門学校では、どんなことを体験されましたか。
入ったのが国際文化理容美容専門学校国分寺校という、とても厳しいことで有名な学校でした。当然といえば当然ですが、遅刻をしたら授業を受けさせてもらえないですし、ほかでも厳しさを感じる部分は多々ありました。ただ、コンテストに出るという自分のやりがいを見つけて、在校中に20回ほどは出場したと思います。
校内でもとくに実力で抜きんでていたわけではありませんが、2年生のときに出た学外のわりと大きな大会の学生部門で優勝できたことは、美容関連で得た初めての成功体験でしたね。
――素晴らしいですね。
一方でコンテストに出るための練習や準備に使うウィッグは実費だったので、その点では大変でした。実家からの仕送りをすべてウィッグ代につぎ込んで、食事は塩おにぎりのみ、というようなこともよくありました。
そういった苦労はありましたが、作品作り、もの作りが好きだということを実感しましたし、全体的に充実した時間を過ごせたと思います。
踏みとどまらせてくれたのは、何者にもならず帰るわけにはいかないという思い
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――専門学校卒業後は1社目のサロンに就職したと思いますが、どんな経験を積みましたか。
入社したてのころは、毎日辞めたいと思っていましたね(笑)。朝早くから夜遅くまで練習に明け暮れる毎日でしたし、僕はとにかく気が利かなかったので先輩から怒られることも多くて。一方の同期の女の子たちはよく気が利いて先輩たちに可愛がられていたので、嫉妬もあったと思います。
入社当時からカットがうまくなりたい、早くスタイリストとして活躍したいという思いが強くて、そのことを先輩に相談したところ、「そんなことを言っている場合じゃない、まずシャンプーができるようになれ」と怒られたことも。おっしゃる通りなのですが、できないことが多くて情けない思いもしましたし、心に余裕がなかったです。
――そうだったのですね。アシスタント時代、カリキュラムを進めていくうえで壁だと感じたことはありましたか。
自分は必要ないと思っているカリキュラムに対して、モチベーションが上がらなかったことです。一例を挙げるといわゆる夜会巻きと呼ばれるようなフォーマルアップという技術。スタイリストとしてデビューするのであればどんなお客様からのオーダーであっても対応できるようにしなければならないという理屈は理解していたものの、いつ使うか分からない技術のために3ヶ月から半年も練習し続ける期間が本当に必要なのかということは考えていました。
実際、僕の美容師人生のなかで、フォーマルアップのオーダーは一度も受けたことはありません。
ただ、一部のカリキュラムに対して違和感を覚えた経験自体は無駄ではなく、独立後のサロンのコンセプトやカリキュラムを決めるときに自分の指標になったと思います。コンセプトは徹底的に無駄を省いてスタッフが技術に集中できるサロン、そしてカリキュラムは全員が習得する必要があるものに絞っています。
――新人時代は大変なことが多かったようですが、それでも美容師を続けられた理由は?
両親に反対されながらも田舎から出て来て、何者にもならずに地元に帰るわけにはいかないという思いが強かったです。このまま終わってしまったらかっこ悪い。それだけの思いで日々を過ごしていました。
きっかけは30代への焦り。「ハンサムショート」がバズり、売上がアップ

――前職時代に転機になったことは?
インスタに力を入れて集客に成功したことだと思います。インスタを始めたきっかけは30代を目前にした猛烈な焦りでした。
僕は美容師として働き始めた当初から、とにかく早く結果を出したいという思いが強くて。同期のなかで最初にスタイリストデビューをすることができましたし、売上も同期のなかでは高い方だったと思います。
しかし、外の世界を見渡してみると「デビュー初月に数百万円を売り上げた」というような美容師もいるなかで、自分が思っていたような成果を上げることができていなかったんです。当時の僕は20代後半で、このまま30代になってしまったらどうしようという焦りがありました。
当時、同じ会社に、のちに「COA」を立ち上げた小西恭平くんが後輩として在籍していて、インスタで集客に成功したのを間近で見ていて、「これからの時代を生き残るには、今からSNSに注力しなければいけない」と直感的に思いました。小西くんをはじめ、ほかのスタッフとも情報交換をしながらインスタの投稿を始めたんです。
――具体的にはどのようにインスタを運用したのですか。
当時の僕はショートヘアに絞って、毎日投稿を続けていました。またターゲットも「雑誌でいうと『GISELe』を読んでいる人」の様に、なるべく明確にしていましたね。毎日投稿するには写真やネタが必要なので、休日はモデルさんを呼んで撮影をさせていただくことも多かったです。
――成果はすぐに出たのですか?
いまだによく覚えているのですがインスタを始めてから3ヶ月後に、インスタを見た3名のお客様が来てくれました。次の月に15名、その次は30名とどんどん増えていき、最終的にはそれまでの3倍ほどの売上を達成することができました。
集客の大きなはずみになったのが、僕が投稿していた「ハンサムショート」というかっこいいショートスタイルがバズったことです。その当時、僕は29歳だったのでギリギリ20代で成果を上げることができたという感じでしたね。ただ喜んだのもつかの間で、妙に冷静になった自分もいました。
それまで一切の独立願望はなく、会社に貢献したいという思いで結果を出そうとしていたのですが、いくら売り上げたとしても現場の人間1人で組織のルールや不文律を変えるのは難しいことに気づいたんです。そうであれば自分が1からサロンを作るほうがいいのかもしれないと思い、独立を決意しました。ここが自分の人生のターニングポイントだったと思います。
後編では、今泉さんの独立後について伺います。今泉さんが立ち上げた「GRAFF hair」は、現金や紙、肩のマッサージのサービスなど従来の美容室には当たり前のようにあるものが、導入されていません。効率を重視し、美容師が技術提供に集中できるように設計されているのです。
経営についてのさまざまな工夫について伺うなかで、今泉さんの仕事観も見えてきました。
Check it
GRAFF hair銀座店
東京都中央区銀座1-4-3カルチェブラン銀座ビル5F
03-6228-7065
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