セレモニー美容の“技をつなぐ” 京都ホテルオークラREKO美容室 #1

美容師なら誰もが一度は憧れを抱くブライダルなどセレモニー美容の世界。最近では専門学校の頃から、将来はブライダルのヘア&メイクになりたい!と目標を掲げ、勉強をしている人も多いと聞きます。京都でも格式が高いホテルの一つ、京都ホテルオークラ内にあるREKO(レーコ)美容室は今年で創業66年を誇る由緒ある美容室です。
婚礼を中心に、成人式や七五三、卒業式やお茶会など、ありとあらゆる行事で京都の女性たちのキレイを支えてきました。ベテランスタッフから若手への技の継承をどのように行っているのか、その舞台裏を取材しました。

日本髪や着付けを“働きながら学べる”好環境

読者の皆さんの中には、和のヘアスタイルやきものの着付けに興味はあっても、専門学校時代の授業で何度か触れただけ、という人も多いことでしょう。でも美容師としてあるときふと目覚める瞬間があります。和の伝統技術を学ぶ“スイッチ”とでも言おうか、ブチッと押されたら最後、どんどんその奥深さに引き込まれていきます。

京都ホテルオークラREKO美容室で働く佐藤愛美さんは京都府出身。今年で入社4年目ですが、そもそもブライダルのヘア&メイクに憧れてこのサロンを選んだそうです。

「専門学生時代、ブライダルの授業で花嫁様のお支度に携われるってステキだなと、このサロンへ入社しました。成人式や洋装のアップはひと通り習得しましたが、今は社内で新日本髪の特訓を受けながら、七五三や十三詣でのデビューを目指しています」

入社3年目の鈴木絵理佳さんは、今アップヘアを勉強しているところ。婚礼の現場では先輩と組んで、花嫁さんのメイクを担当しています。お着付けをするシーンでは、着付けチーフの柏田美和さんの横で紐(ひも)取りなどのアシストに回り、日々着付けの現場でも実践を重ねています。「あと2つのテストに受かれば、花嫁様のヘアも手伝うことができるので、今はひたすら練習あるのみです」と鈴木さん。

佐藤さん
入社4年目の佐藤愛美さんは、現在はまだアシスタントですがブライダルや成人式の現場では貴重な戦力の一人。「婚礼や成人式のお支度は大変だと思われがちですが、一般的な美容のお仕事とまた違う達成感があります。和のアップは面の美しさが大切で、洋のアップとは真逆ですが、ベテランの先輩社員の方から直接、教わることができ、恵まれていると感じます。技術をきちんと教えていただける、歴史ある美容室で働けることを誇りに思っています。

大切なのは“お客様に似合わせる”こと

新日本髪の指導を担当するのは、足掛け26年のベテランでホテル店店長の藤井京子さんです。

「今、京都では和装婚がとても人気で、ホテルとしても和の婚礼に力を入れているところです。成人式や花嫁様のドレス用の洋髪(アップヘア)は全店舗のスタッフが習得し、戦力となっていますが、新日本髪をはじめとする和のアップスタイルは、まったくつくり方が違うため、若いスタッフには一つひとつ時間をかけて丁寧に教えています。

和のアップスタイルで一番大切なのは、お客様のお顔立ちに合った結い方をすることです。和髪はいろいろな技の組み合わせで成り立っているので、型にはめてしまうと“似合わせ”がおろそかになります。花嫁様のかつらも、フィッティングの加減で可愛くも大人っぽくもなりますからね。うちでは今西さんのかつらを使っていますが、植え付けや結い上げなど手作業でつくられているので、お顔映りが美しくとても自然。最初はかつらを敬遠されていた花嫁様も納得してくださるほど、似合わせにこだわっています」

モチベーションを高めながら技を引き継ぐ

婚礼の現場では若いスタッフは貴重な存在です。
「現場では花嫁様の年齢に近い若いスタッフを配置して、ベテラン社員は監督役に回ることもあります。ホテル店のスタッフは入社してからずっとセットやメイクを中心に教えますし、実際に毎週のようにご婚礼のお支度があるので、鍛えられますよね」と藤井さん。

実際、4年目の佐藤さんはカットのデビューはまだですが「もともとセットが好きで入ったので、カットの習得についてあせりはありません。それよりも和の世界をコツコツと勉強できることが他では得られないことです」と佐藤さん。

和髪もさることながら、着付けはさらにお客様のお好みや関東と関西の着付けの違いなど、細かいことが多い、とチーフの柏田さんは言います。

「(サロン創始者の)レーコ先生がこだわっておられた襟の幅や帯の高さ、おはしょりの幅がありますが、着る方は皆、体型が違うので、個々に似合うように対応しなければなりません。マニュアルなどないので、すべて手と口で伝えていきます。通り一遍を教わっただけではなかなかお客様に携われないのですが、スタッフは新年の総会できものを着る、という慣例があり、きものは自分が着せてもらって初めて気がつくことも多いですよね」と柏田さん。

若いスタッフのモチベーションを上げながら、ベテラン社員がサポートをしながら技を伝え、成長を見守っている様子がよくわかりました。

振袖をボディ(トルソー)に着せる特訓
鈴木さん
着付けチーフ、柏田さんに直接、指導を受ける鈴木さん。成人式を想定して、振袖をボディ(トルソー)に着せる特訓を繰り返し行っています。

「現場ではまだ押さえたりお紐取りをしたり、目標もたくさんで山積みですが、ブライダルのお仕事には“ときめき”があります。髪型、メイク、お着付け、すべての技に感動しています」と鈴木さん。先輩たちに早く追いつきたい、そんな一心が今の彼女の原動力と言えそうです。

取材・文/山岸敦子
撮影/編集部

Salon DATA

REKO(レーコ)美容室

REKO(レーコ)美容室

1951年(昭和26年)、創始者の藤本礼子さんがサロンを開業。やがて妹弟でそれを支えようと、美容師や美容の卸業を始める。以来今年で66年。それが今日のガモウ関西(旧フジモトコマイ)、Befine(ビファイン)といった“藤本ファミリー”でREKO美容室は、本店・北大路店・ホテル店ともに親子三代にわたって、京都の女性たちに支持されている。
http://re-ko.jp/ookura.html
http://bridal.kyotohotel.co.jp/

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