柔道整復師など治療の仕事ならでは!治療家あるある話

柔道整復師、整体師、鍼灸師、マッサージ師など治療の仕事に従事する人は「治療家」とも呼ばれる治療のエキスパートです。外科手術や投薬を行う医療とは異なり、手技療法を用いて治療や健康促進を行うという特徴があります。それぞれの職業によって、資格の種類や治療の専門領域に違いはありますが、仕事のやりがいや悩みの中には共通する点もあるでしょう。
ここでは、治療家を対象として実施されたアンケート結果をもとに、治療家特有のあるある話について紹介していきます。

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これって職業病かも?と思った時

治療家は、毎日患者の身体に触れています。そのため、仕事以外の生活の中でも「整体師として、人の身体に触ってみたくなる」(整体師・35歳女性)と回答した人もいました。たとえば、整体師の仕事は手と指を使って身体の筋肉バランスや骨格、骨盤の歪みを整え、腰痛や肩こりなどを改善します。身体の不調の具合によっては筋肉をもみほぐすマッサージを施すことも。街中などで姿勢が悪い人や、疲れ気味に見える人を見かけると、思わず不調の原因を探してみたくなるのでしょう。

アンケートの回答の中には、「街中で、コール音に近い音に反応してしまう」(介護福祉士・45歳女性)という回答もありました。これは介護福祉士ならではのエピソード。介護を要する人が手元にある呼出ボタンなどで、介護福祉士を呼び出す際の音をコール音といいます。通常のコールの他に、施設によってはセンサーマットと呼ばれるマットがベッドの横に敷いてあります。このマットは、認知症の人などが自力で外に出ようとする際にセンサー音で介護士に知らせるために敷かれているのです。それで、介護福祉士は毎日、常にコール音などの音に気を配っているため、施設外でも似たような音に反応してしまうのです。

ほかにも、「物事を逆算で考える」(柔道整復師・31歳男性)と回答した人もいました。柔道整復師の技術は、東洋医学の考えに従い、人間本来の自然治癒力を利用して治療を行うため、施術によってどのような効果と、どのくらいの期間で完治できるかを医学的に判断する必要があります。治療が長期に及ぶと判断した場合は、完治に向けて計画を立てて、根気強く治療を続けることになります。つまり、治療家は、完治という目的に向かって逆算して計画を立てる必要があるため、普段の生活においても逆算志向が自然と身につくのでしょう。それから、独立開業している柔道整復師や整体師の場合は、経営者として先を見据えた判断を下すことや、経営の知識を身につけることが必要です。しかも、経営者としての責任範囲が大きいので、「物事を逆算で考える」に加えて、常に経営者目線で物事を考えるという癖がつくようになると考えられます。

また、治療家の仕事は、立ったままで行うことが多く、患部の固定やマッサージなどの施術など肉体的にも負担の大きい仕事です。そのため、勤務状況によっては足のむくみや肩こり、腱鞘炎などに悩まされている人もいるでしょう。特にマッサージを毎日行う人は指圧の度に負担がかかる親指に注意が必要です。自分の体重を親指にかけて指圧をするので、時には親指に強い痛みを感じて、長年の間に指の形が変形することもあります。このような痛みの症状には、氷で冷やす、あるいはテーピングをするなどの対策が必要です。これも職業病のひとつといえます。

さらに、仕事の疲れを解消するために訪れたマッサージサロンで、施術中に施術者との会話がはずんで、相手に同業者として細かい質問をしたり、自分が知らない施術を教えてもらったりすることがあるというエピソードがありました。要するに、仕事から離れた場所を訪れたつもりが、結局仕事のことを考えさせられたということです。治療の勉強は学校で習う知識のほかに、臨床で学ぶこともたくさんあります。人によって身体の悩みや施術の効き方は違うので、他の医院や施術者の意見を聞くことも良い勉強の機会といえます。これも、新しい知識や技術に興味がある、勉強熱心な治療家によくある職業病のひとつともいえるのです。治療家は体が資本の職業なので、患者だけでなく自分自身の身体にも気を使うことが大切です。

今の職業ならではの嬉しかったことや得したこととは?

治療家は仕事を行う中で、緊急を要する事態に直面することもあります。骨折などの応急処置をする柔道整復師の場合、「急なことでも慌てなくなった」(柔道整復師・31歳男性)という回答がありました。緊急時にもパニックにならずに落ち着いて対処できる能力が備わるのです。柔道整復師や整体師の資格を持つスポーツ選手のトレーナーの中には、試合中の怪我の応急処置や、その後の処置方法の判断を迫られることもあるでしょう。責任の大きいポジションなので、慌てずに落ち着いて対応する必要があります。緊急時に慌てないということは、仕事以外の日常生活においても必要なスキルなので、仕事を通じて得られたメリットのひとつといえるでしょう。

治療家全般に当てはまる例としては、患者にはもちろん、自分の家族や周囲の人にも「分からないことを教えてあげる事が出来る」(整体師・35歳女性)という点が挙げられます。資格を取得するための専門的な学習や、臨床で学んだ知識や技術を活かして、身近な人の健康に役立つことができるのは、この職業ならではの嬉しい経験といえるでしょう。たとえば、肩こりに悩んでいる両親にマッサージをしてあげたり、友人に健康についてアドバイスができたりと、家族や友人に喜んでもらえるという「特典」があります。それに、骨盤ダイエットの流行などからも、整体院で骨盤矯正の施術を受けることが珍しいことではなくなっているので、整体について興味を持っている人も増えている可能性があります。したがって、周囲の人に質問されたときに有益な回答を行うことができるのです。

さらに、仕事においても、患者が健康になる様子を見ることができて、本人のためになる新しい知識を教えてあげることで、感謝されるということは嬉しいものです。また、人の話を聞くスキルが身につくというメリットもあるでしょう。治療のお仕事は多くの場合、はじめにカウンセリングを行い、まずはどこが痛いか、何で悩んでいるかなどの現在の症状を聴くことから始めます。その次に生活習慣などを細かくヒアリングして、その人に合った施術の判断を行うのです。時には健康状態がすぐれず、機嫌が悪い患者が訪れる場合もあります。

そして、長期的な治療をする場合には、何度も回数を重ねて信頼関係を築くことも必要になるのです。そのため、コミュニケーション能力はとても重要で、この仕事によって培われるスキルともいえます。特に高齢化社会が進む中で、高齢者の患者の数は増える一方です。高齢者の中には、身体への負担を減らすためや身体に傷を残したくないという理由で、なるべく投薬や外科手術を避けたいと考える人もいます。そのため、可能な限り整体師や柔道整復師に相談するという人もいるのです。高齢者の患者さんに話しかける際に、大きな声でゆっくりと話す習慣がついている治療家も多いといわれています。

このような仕事の習慣が身についている人は、普段の生活でも高齢者に席を譲ったり、荷物を持ってあげたりと、相手を思いやる気持ちが自然に行動に出せるようになるのです。その他に、仕事以外の時でも明るく柔らかな口調で話せたり、知らない人とも簡単に仲良くなれたりと、人当たりの良さともいえるコミュニケーションスキルを身につけることが期待できます。

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