ネイリストにも難度が高いスカルプチュア!確実に行うには?
強度が高いスカルプチュアは、爪の長さをしっかり出せるのが特色です。華やかで見栄えがするため、希望者の多い高い施術といえるでしょう。その一方、スカルプチュアの難易度は高めなので、なかなかうまく仕上がらないと感じるネイリストがいるかもしれません。
そこで今回は、スカルプチュアを確実に行うための方法についてご紹介します。スカルプチュアに必要な道具や下準備の進め方、長さ出しの手順や作業中の心がけ、失敗したときの対処法などをまとめましたので、参考にしてください。
スカルプチュアに必要な道具とは?
スカルプチュアの基本アイテムとして、アクリルパウダーとアクリルリキッドが必要です。アクリルリキッドはプラスチックを溶かす恐れがあるので、陶器やガラスでできた蓋つきのダッペンディッシュに入れておきます。また、接着前に爪の表面の汚れを落とすプレプライマーや、爪の接着力を高めるプライマーも準備します。プライマーは、ブラシタイプよりもペンタイプを選ぶと、塗りやすくふき取りの手間が省けます。
ネイルブラシについては、薬品で溶けないよう動物の毛でできたものが必要です。さらに爪の調整をするのにエメリーボードとファイル、爪の表面を整えるバッファー、仕上げ磨きに使うシャイナーも準備しておきます。
ファイルは150~180Gが目安で、バッファーについては、スポンジバッファーを使うと爪のカーブに合わせて楽に磨けます。また、スカルプチュアづくりの際に土台となるフォームとハサミも必要です。フォームのカーブを整えるときには、Cカーブスティックがあると便利です。
また、甘皮処理のためにキューティクル・リムーバーとセラミックプッシャーも準備しておきましょう。そのほかに、ファイリングで出たダストを処理するためのブラシや、薬剤を吸い込ませるためのキッチンペーパー、修正作業用にオレンジウッドストック、密閉処分用の袋を準備しておくと作業がスムーズに進みます。
出来栄えを左右するのは下準備!
美しいスカルプチュアを完成させるためには、丁寧な下準備がポイントです。
まずは、エメリーボードを使って爪の長さを調整しましょう。白い部分が少し残る程度の 短めに揃えると、フォームが定着しやすくなります。次にバッファーを使って爪の表面を削り、キューティクル・リムーバーで甘皮を柔らかくしてから、セラミックプッシャーを使ってルースキューティクルを押し上げていきます。ルースキューティクルをしっかり処理すると、きれいな状態が長持ちします。爪の表面の削りカスはブラシできれいに掃除しておきましょう。
爪の表面を整えたら、プレプライマーで爪についた汚れや油分を落としていきます。ここまで準備ができたらフォームを準備します。最初に、フォームの中心部にある丸いシールを外して裏側の下部分に貼りかえて補強します。次にフォームを爪に合わせ、イエローラインに沿うように根元の部分をハサミで少しずつカットしていきます。カットが終わったら爪のカーブに合わせてフォームを装着します。装着の際は爪とフォームを密着させ、すき間ができないようにしましょう。
フォームはネイルベッドの幅より広くならないよう形を整え、中心線が傾いていないこと、横から見たときに爪とフォームが平行になっていることを確認します。フォームの形を整えるときに、Cカーブスティックを使うとスムーズに形が決まります。
長さだしは手順に従って慎重に!
フォームが装着できたら、長さ出しを行います。最初にプライマーを爪の上にのばします。プライマーは皮膚にはみ出さないよう、少しずつ乗せて薄く広げて行くのがポイント。次にアクリルリキッドをダッペンディッシュに移し、その中にネイルブラシの先端を入れて湿らせます。ネイルブラシの水気が滴らない程度にダッペンディッシュのフチを使って調整し、ネイルブラシの先端でアクリルパウダーを2~3mmくらいの大きさに丸めるようにして取り出します。取り出しに失敗したときにはペーパーでふき取ってからブラシをリキッドで洗い、再度ペーパーでふき取っておきます。
アクリルリキッドとアクリルパウダーを混ぜたものは、ミクスチュアと呼ばれます。これを爪とフォームの境目にあたる部分に筆の先で乗せて広げます。広げるときにはネイルブラシの面を使うように押さえていくと、薄く広がります。長さについては、イメージしている長さより少し長めにつくっておくといいでしょう。
爪の先端部分ができたら再度ミクスチュアをつくり、これまでの境目を埋めるようにしながら爪の根元に向けて広げていきます。ミクスチュアが固まるまでの時間は1~2分程度なので、テキパキ作業を進めましょう。
最後に爪の根元部分も段差にならないよう、筆先を使って丁寧に広げます。ミクスチュアが固まったらフォームを外し、爪のカーブを整えます。次に、爪の先端やサイドをファイリングしていきます。全体がきれいに整ったらバッファーで磨き、シャイナーで仕上げれば完成です。
スカルプチュアは換気が大切!その理由とは?
スカルプチュアに使うアクリルリキッドの主成分は、メタクリル酸メチルです。メタクリル酸メチルは引火性が高く、メタクリル酸メチルの蒸気が空気と混ざり合ったものは爆発のリスクもあるとされています。そのため、ネイリストが作業する空間では安全に配慮して、お客様の喫煙は控えてもらいましょう。人体への影響としては、目に対する刺激が強く、吸い込むと喉が痛くなることがあります。
また、皮膚につくと赤くなって痛みが出ることがありますし、臭いで気分が悪くなることもあります。このようなことから、スカルプチュアを行うときには窓を開放し換気扇も回しっぱなしにして、外からの空気を循環させておくことが大切です。
また、後始末でも心がけておきたいことがあります。ミクスチュアづくりに失敗してふき取りをしたペーパーや、はみ出した部分をふき取ったものなどは、そのままゴミ箱に捨ててはいけません。必ずひとまとめにしてビニール袋の口を縛り、密閉してから処分するようにしましょう。片付けの際のダッペンディッシュの取り扱いにも注意が必要です。ダッペンディッシュをきれいにするときには、保護手袋をつけてからペーパーで水分をしっかりふき取ります。アクリルリキッドにはプラスチックを溶かすほどの作用がありますから、残った液体をそのまま排水口へ流してしまうのは絶対に避けてください。
失敗したときの対処法について
ミクスチュアは固まるまでの時間が短いので、つけているうちに固まってしまい、表面がデコボコしてしまうことがあります。そんなときには、へこんでいる部分にミクスチュアを足して均等な厚みになるように整えるとよいですね。ミクスチュアの量が多くて全体がこんもりと厚くなってしまっているときには、それ以上ミクスチュアは足さずに、全体をファイリングして整えていくといいでしょう。
ミクスチュアが皮膚についてしまったときには、気付いたらすぐにオレンジウッドストックを使うと無理なく落とすことができます。時間がたって固まってしまったときには、端の部分からゆっくりはがしていきます。はみ出している部分は削ることができそうなら、ファイリングして形を整えましょう。サイドがデコボコしていたり、引っかかる部分があったりすると傷みの原因になることがあるので、エメリーボートを使って滑らかにしておきます。ミクスチュアは皮膚につくとかゆみやただれを起こす可能性があるため、皮膚につかないよう注意して少量ずつ塗ることが大切です。
なお、施術中にプライマーが指についてしまったときには、作業を中断してすぐに水道水で洗い流します。付着したのが少しの量であっても、そのままにしておくと皮膚がヒリヒリしたりヤケドしたりすることがあるので、確実に対応するようにしましょう。