世界で愛されるメイド・イン・ジャパンのシザーズ ジョーウェルシザーズ/東光舎
理美容師さんにとって、必需品であるシザーズ。ヘアカットに行っても案外じっくり見ることはありませんが、理美容に関わる方にとってはパートナーのように大切なものです。今回はそんな縁の下の力持ちであるシザーズを100年もの間作り続けている東光舎さんに、モノ作りについてインタビュー! その技術の高さで日本の美容業界を支え、世界中のスタイリストたちに愛されてきたシザーズ。その一本一本に込められた思いと、こだわりについてうかがってきました。前編の今回は、専務取締役の井上真大さんに東光舎の歴史について語っていただきます。
日本の美容文化を支えてきたシザーズ
――まずは、東光舎さんの歴史を教えてください。
「私の曽祖父にあたる、井上豊作が1917年に創業しました。当初は医療用のハサミを作っていたのですが、不況の影響で需要が減ってしまったんです。そこで、医療用ハサミの製造で培った技術を何に使えるだろうと考えたときに、床屋さんのハサミを作ろうということになったんですよ。そうして1970年頃、ツイッギーが人気だった時代ですね。その頃に日本でも“サスーンカット”が流行し始め、いわゆる美容の技術も一気に広まったんです。そこから、理容店が使う大きいハサミに加えて美容院用の小さいシザーズも作るようになりました」
――海外でもこちらの製品は人気のようですね。どういった経緯で海外でも使われるようになったのでしょうか。
「実は会社として海外進出したのではなく、商品が先行して海外へ行ったんですよ。先ほどもお話したサスーンカットが流行った1970年代、日本人学生がロンドンの美容専門学校へ当社のシザーズを携えて留学したんです。そこで、たまたま東光舎の製品を使った向こうの先生がその品質のよさに驚かれたそうで。ドイツ製のものが主流だった当時、メイド・イン・ジャパンはまだ知られていなかったんですね。そこからうちにも問い合わせが来るようになり、より要望にあったものを提供するためにも、イギリスに代理店を設置することになりました。アメリカでも同じようないきさつで製品が知れ渡り、今では世界50ヵ国以上で販売しています」
“より永く、よりよいものを”
――では、品質の高さの秘密を教えていただけますか?
「もともと医療用のハサミを作っていたこともあり、理容用のハサミにシフトする時点で刃物の素材はかなり追求できていたんです。早くからよりよい、より新しい素材を独自で開発できたのは、そういったバックグラウンドがあったからかもしれません。そんななかに、当社がいち早く取り入れた“コバルト”という素材があります。これはうちの代名詞と言ってもいいぐらいでして、“より永く、いいものを使ってほしい”という考えのもと、代表が自ら研究・開発したものなんです。この素材を使った製品は、発売から数十年経った今も安定してお客さまにご高評いただいています」
――お客さまの声は、どのようにして取り入れてきたのでしょうか?
「創立当初はここ千石に工場があったので、集まってくれた床屋さんに手で製品を売りながらハサミ談義をしていたそうです。会社が大きくなるにつれて、販売を流通にお任せするようになったのですが、やはり利用者の声を聞かないと開発した商品がニーズに合わないことだってありえますよね。そこで、ここ10年、20年は、私たちも直接理美容師さんにお会いして、ご意見を聞かせていただくようにしているんですよ」
中編では、東光舎さんの製品開発に対するこだわりについて、より深くおうかがいします。
Information
株式会社 東光舎(ジョーウェル・シザーズ)
〒113-0021 東京都文京区本駒込6-12-16
TEL:03-3945-4011(受付時間:9:00~18:00)
FAX:03-3945-4012(受付時間:随時)
http://www.joewell.co.jp/
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